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夏山の危険 神戸市消防局と共に

(2021/8/9よんチャンTV放送分のこぼればなし)

2020年に神戸市消防局が「山」で救助した人の数は111人で、過去20年間で最多でした。コロナ禍におけるアウトドアレジャーの人気も影響しているのでしょうか。111人のうちおよそ半数は六甲山系で助けられました。六甲山系とは六甲山、摩耶山、再度山(ふたたびさん)等が含まれます。

六甲山と言えば神戸っ子の遊び場です。神戸出身の私も幼いころには牧場やスキー場へ、学生時代は親の車を借り何度も友人達と夜景を見にドライブへ出かけました。整備された道路も多く、ケーブルカーで気軽に頂上まで行ける山です。散歩がてら訪れるイメージで、救助という言葉とは結び付かないのが取材を始める前の印象でした。ただ、登山という観点で考えると実はルートは数えきれないほどあり、その中には危険な行程も。

厳しい訓練を乗り越えた精鋭たち、神戸市消防局の特別救助隊と一緒に六甲山に入り芦屋ロックガーデンを目指す登山コースを行きました。

先ずは装備に関しての指導を受けました。スマートフォンやバッテリーに加え紙の地図やコンパスを必ず用意すること。電子機器は大きな武器にはなりますが、常に使える訳ではないということを忘れてはいけません。水や食料はもちろんですが、遭難した時のために非常食を用意しておくことも大切です。有事に備え、懐中電灯ではなく両手が使えるヘッドライトを持っておくこともポイント。

今回はトレッキングシューズを持参して登山を行いました。もちろんコースによってはスニーカーでも問題無いということなのですが、ぬかるみや岩場でも滑りにくい登山用の靴はケガの防止に繋がると言います。

今回の取材で私が一番勉強になったことは「119ばんつうほうプレート」です。

六甲山の登山道で目にする黄色いプレートには平仮名や数字が書かれてあります。通過するたびに写真を撮っておくことで帰り道の目印にもなりますが、実はこれ自分の居場所をピンポイントで伝えることができる優れものなんです。

助けが必要な際、119番に電話をかけ「ひ4-6」等と伝えると、消防はその人の居場所が把握できます。ルートを説明しなくても、この平仮名と数字だけで自分が今どこにいるのかを確実に分かってもらえます。

ケガをして動けなくなった、道に迷った、共に登山する人が倒れた、そういったトラブルがあった時に携帯電話から119番をかける。万が一バッテリーの残量が少ない、やっと繋がったが微弱な電波、、そんな時は細かい状況を説明せずに、ただただ「ひ4ー6」これだけ伝えれば消防は理解できると特別救助隊の皆さんは話していました。是非、ご家族やお子さんとも共有し知って頂きたい仕組みだと思いました。

取材当日の気温は30度を超えていました。私は軽いリュックを背負いながら、特に荷物を手にすることもなくただただ登っているだけでしたが、それでも滝のような汗をかき、息がきれました。

特別救助隊の仕事はこの状況下で人を助けるというもの。熱中症患者を担架に乗せながら下山したり、時には怪我した大柄の男性をおんぶして麓を目指したり。頭が下がります。

徹底したルート確認や装備品のチェック等、事前の準備が大切だと隊員達は言います。オシャレなハイキングアファッションがSNSでも人気で、映える写真を撮影するために初めての登山に挑戦する人も多いそうです。安全に気持ちよく下山するためにも、リスク回避の術をしっかり押さえておくこと、山での危険をイメージしておくことが命を守ることに繋がります。


学生時代山岳部に所属していた母と、探検部で活動していた父をもつ私。ただ登山は大がつくほど苦手です。取材中も、自分も救助隊におんぶされながら下山したいなー。楽だろうなぁーと、頭の中で妄想ニヤニヤ。

冗談です。夏の山でのレジャー、皆さん最大限の注意をはらい楽しみましょう。

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