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家でも学校でもない高校生の居場所

(2021年9月17日よんチャンTV放送分のこぼればなし)

学校の中にあるのだけれど教室とは違う。子ども達の居場所、となりカフェってご存知ですか。

2019年度の大阪府の進学率は92.8%(全日制など昼間の学校)でした。不登校の子どもは5924人で全体の2.9%です。これは1.6%という全国平均を超えています。

今回、私は高校生たちにとって家庭でも学校でもない第三の居場所があると聞き大阪府立西成高校に行ってきました。ここには校内に民間の支援団体が運営するカフェ「となりカフェ」が存在します。寄付で集まったお菓子や飲み物が無料で提供されていて、昼休みになると子どもたちが集まってきます。

運営にあたるスタッフは先生でもPTAでもありません。生徒たちにとっては気軽に話せるお姉さん、または少し歳が離れた友達のような関係性だと言います。

「誰にも話せない悩みを聞いてくれた。もしとなりカフェが無かったら不登校になっていたかも。」そう話してくれる3年生の男子生徒。

「父親が亡くなった時に、ここで会話をすることで気持ちの整理がついた。」と話す男の子。

「となりカフェで気の合う仲間が見つかった。学校内でリラックスできる大切な場所。」と、お弁当を食べながら教えてくれた女子生徒たち。


カフェで8年間活動するスタッフの奥田さんに話しを聞きました。

「ここ最近、寄付が多く集まるようになってきた。コロナ禍なので個包装のお菓子がありがたい。冷凍庫もあるので保存できる軽食も重宝している。満足に食べられていない子どもも多い。食事とまではいかないものの、少しでもお腹を満たすものを提供したい。」

私が訪れた日は支援で届いた冷凍の豚まんをレンジで温め振舞っていました。食べ盛りの高校生にとっては魅力的な良い香りが漂っていました。

複雑な家庭環境にいる生徒も多いと言います。親がコロコロ変わり戸惑っている子ども。物心ついた時から施設で暮らし家庭を知らない子ども。

「彼らが話す内容は、もちろん楽しいこともあるけれど、悲しいニュースを聞くこともある。しかし、悲しいニュースを話す場所が大切。聞いてくれる人がいることが大切なのだ。」と奥田さんは口にしていました。

となりカフェは大阪府の「高校中退・不登校フォローアップ事業」がきっかけで始まりました。今年が10年目。となりカフェで時を過ごした高校生たちが卒業し仕事に就き社会での経験を積んだ後に、休みの日を利用してカフェに手伝いにやって来る、そんな循環も生まれていると言います。

となりカフェが影響しているのか、この10年で西成高校では中退や不登校の生徒は減ったと校長先生は話していました。

安全だと感じられる場所。自分を受け入れてくれるコミュニティ。SOSを発せられる空間。

命をつなぐ居場所、それがとなりカフェです。

一般社団法人office ドーナツトークを通して我々も支援することができます。



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