kojimayouhei0815
Reproの1人目マーケターに聞く、市場がないBtoBスタートアップのマーケティング手法
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Reproの1人目マーケターに聞く、市場がないBtoBスタートアップのマーケティング手法

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#SaaSLovers 秋のブログ祭り8日目は才流(https://sairu.co.jp)でマーケティングのコンサルタントをしている小島(@yooheykoji)から、BtoBスタートアップのマーケティングについてお話させていただきます。

BtoBのマーケティングについてお悩みの方は、是非、気軽にご質問・ご相談ください。可能な範囲で回答させていただきます。
(気軽にDMください) → @yooheykoji

既に市場が明確に存在する場合のBtoBマーケティング手法については、ここ数年で一気にノウハウ化され、多くの企業が「勝ちパターン」を活用できるようになったと感じています。

一方で、市場がまだない(もしくは非常に小さい)BtoBスタートアップのマーケティング手法に関してはまだまだ知見が集積しておらず、私自身悩んできました。

市場がないBtoBスタートアップのマーケティングは、非常に難しい

市場がない(もしくは非常に小さい)BtoBスタートアップのマーケティングが難しい理由は、以下が挙げられると思います。

①直近で受注に繋がるリードが獲得できない
②潜在層のリードを獲得しても、育成して商談→受注に繋げられない


ピラミッドの下に位置する潜在層や準顕在層のリードを獲得し、ナーチャリングしていくのが正しいとは分かっていても、上記の理由からうまくいっていない企業が多い印象です。

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上記について悩んでいた約1年前に、Reproの1人目マーケターとして活躍された伊藤直樹さん(@n_11o)「Saasスタートアップの成長フェーズ別マーケティング活動」というスライドシェアを発見しました。
https://www.slideshare.net/NaokiIto1/saas-81642453

このスライドを要約すると、下記の内容となります。

・シード期はPMFさせることが最優先
・シリーズAは営業やCSの整備を行う
・シリーズBでようやくマーケティング活動を本格化させる
・オウンドメディアを中心にリードを獲得する
・イベント(セミナー)を通じてリードの育成を行う

このスライドが非常にわかりやすいため、これまで色々な方にご紹介してきたのですが、今回は更に踏み込んだ質問を伊藤さんにぶつけさせていただきました。

伊藤 直樹:
新卒で朝日新聞社に入社しサイトとアプリの改善に従事したのち、2016年から一人目のマーケターとしてRepro株式会社に入社。アプリの成長支援メディア「グロースハックジャーナル」やセミナー、カンファレンス運営を中心にマーケティング活動を牽引。2020年からは知人らと共同創業した会社で銭湯の隣でのコワーキング事業、入浴グッズのD2C事業など銭湯のあるくらしを広める活動に従事。

ステージBまで、売上の大半は紹介やテレアポ経由

まず1つ目にお伺いしたのは、「プロダクトや営業・CSの整備が先。マーケティングは後回し、とは言っても直近の売上はどうやって創出するのか?」という質問です。

資金調達を済ませているスタートアップのほとんどが売上目標を抱えているので、足元の数字構築はどうしても必要です。PMF(プロダクトマーケットフィット)しているか怪しい段階で、大規模なマーケティングを仕掛けざるを得ない状況の企業様からご相談いただくこともあり、どうしても聞いてみたい質問でした。

小島:
伊藤さんが入社された当時、どのように売上を創出していたのでしょうか?
伊藤:
実は、紹介やテレアポといったアウトバウンド経由での売上が大半で、インバウンド経由の売上はほとんどありませんでした。
Reproのプロダクトは「アプリの成長を支援するツール」ですが、当時こういったツールを求める市場がなかったため、どうしても啓蒙は必要になります。ただ、非常に多くの時間が掛かるので、シード~ステージBまでは、アウトバウンドでのアプローチがどうしても必要でした。

また、当時はツールを求めるニーズは無くそれだけでは売れないので、サイト解析やリサーチ、事業計画づくりといったコンサルティングとセットでツールを導入してもらうなどの工夫を重ねていたとのことです。

半年で120本の記事を制作

2つ目にお伺いしたのが、「なぜReproのオウンドメディアは成功したのか?」という質問です。Reproでは「グロースハックジャーナル」(※現在は「engagemate」にリニューアルして運営)というオウンドメディアから当時100件/月以上のリードを獲得されていたそうです。

しかしながら、オウンドメディアを運営するBtoBのスタートアップの多くは、「コンテンツの制作が止まっている」「コンテンツを出してもPVが増えない」「PVが増えてもリードに繋がらない」などの悩みを抱えていると思います。そんな中で、なぜグロースハックジャーナルは成功したのでしょうか?

小島:
オウンドメディアを成功させる秘訣はなんですか?
伊藤:
圧倒的な質と量が必要だと思います。グロースハックジャーナルでは僕とインターン生1~2人で、半年間で120本の記事を制作しました。
小島:
半年で120本って、ほとんど毎日ですね!それだけの記事を企画するのはとてもハードだと思うのですが、どうされていたんですか?
伊藤:
そもそも、アプリのグロースハックに関する情報は当時ほとんどありませんでした。まずは自分達が一番詳しくならないといけないので、https://growthhackers.com/posts
などの海外のサイトから情報収集をしていました。その中で質の高い記事の執筆者にtwittterのDMなどで翻訳許可を取って、英語ができるインターン生が翻訳する流れで記事の制作を行っていました。

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※上記記事ははてブ700件、数万PV超えて話題に

なんと、海外のサイトでイケている著者やブログを特定し、個別に翻訳許可をもらっていたとのことです。ほとんどのケースで快く快諾してもらえるらしく、「日本の市場はないが、海外では先行している」ケースでは汎用的に使える施策だなと感じました。

記事毎にオファーを最適化

小島:
海外の記事が元ネタになっていたんですね。ちなみに、PVの増加に伴ってリードも増えていったのでしょうか?
伊藤:
いえ、なかなかリードに繋がりませんでした。そこで記事毎にオファーする内容を見直したんです。ASO(App Store Optimization)に関する記事には、ASOの更に詳しいお役立ち資料のダウンロードをポップアップで表示させるなど、記事毎にユーザーが欲しがるオファーを提示することでCVRが大幅に改善しました。

私も「記事毎にCTAを最適化させる」手法でオウンドメディアのCVR改善をお手伝いしたことがあり、記事からのCVRは3倍~5倍くらいまで跳ね上がったことがあります。オウンドメディアからリードを獲得する際には、非常に有効な手段だと改めて認識しました。

セミナーを週1回、ミートアップを月1回開催

3つ目の質問は「オウンドメディア経由のリードをどうやって商談に繋げていたのか?」です。オウンドメディア経由でホワイトペーパーのダウンロードを獲得したとしても、そこから商談に結びつかないという課題を抱えてる企業が沢山いらっしゃるので、伊藤さんにお伺いしてみました。

小島:
オウンドメディア経由のリードから商談は獲得できていたんですか?
伊藤:
実は商談化率は非常に低く、大きな課題でした。地道な努力によってPVやリード数は伸びましたが、なかなか商談に繋がらなかったのです。そこで打開策として実施したのが、セミナーとミートアップの実施です。

まずは毎週、小規模なセミナーを開催しました。内容は4~5パターン用意していたので、月に1回ペースで同じ内容のセミナーを行っていました。集客は5名~30名くらいの規模感です。また、月1回のペースで100人以上を集客するミートアップも行っていました。

当時のセミナー、ミートアップのテーマはこちら

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小島:
すごい頻度ですね。。集客はどのように行っていたんですか?
伊藤:
小規模なセミナーはオウンドメディアとハウスリスト経由で集客していました。大規模なミードアップになるとゲストが肝なので、どうしても出てもらいたい企業には問い合わせフォームから登壇依頼することもありましたね。
「アプリ業界を一緒に盛り上げましょう」という熱意を伝えることで、快く引き受けてくれる企業が多かった印象です。

市場がないBtoBスタートアップの場合、商談に至るまでの階段設計が非常に重要です。セミナーやミートアップは非常に有効な手段だと思いますし、今ならオンラインセミナーを使ったリード育成も非常に可能性の高い施策だと思われます。

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うまくいかなかった施策

ここまでは、うまくいった部分のお話をお聞きしましたので、逆にうまくいかなかった施策とその理由もお聞きしてみました。

・展示会
当時はアプリ事業者が集まる展示会がなかったため、IT関連の展示会に出展するも、ターゲット企業がほとんど来場せず、ほとんど成果に繋がらなかった。
・検索ボリュームが少ないキーワードでのSEOを狙った記事の制作
当時はかなりニッチなキーワードでも記事を制作していたが、制作コストは他記事と変わらず、上位表示されてもほとんどPVが増えない為、実施しなくても良かった。

いずれの施策も、市場がない(非常に小さい)場合は、掛かるコストに対してリターンが小さいため、優先順位は下げるべきということだと思います。

やっておきたかった施策

続いて、今の伊藤さんが同じ立場でマーケティング活動をされるとしたら、どんな施策を行うかを、あわせて聞いてみました。

・Facebook広告を使ったリード獲得
当時、良質なホワイトペーパーは10本ほどできていたので、Facebook広告を使ってもっと大量にリードを獲得していればよかったなと思います
・戦略PR
当時プレスリリースの作成は行っていたが、作り上げたい世界観を、広く周知してもらう取り組みができていなかった。2018年に『Repro AI Labs』という研究所や今年に『カスタマーエンゲージメント研究会』などを立ち上げているが、アプリマーケティングに関してももっと早い段階で着手できていればよかった。
・インサイドセールス体制の早期立ち上げ
当時、インサイドセールスの担当者がおらず、発生したリードを1週間分まとめてセールスに渡すようなオペレーションになっていたので、リードを獲得してからアクションするまで時間が空いてしまっていました。今思うと、もっと早い段階でインサイドセールスの専任を立てて、リード発生直後にアプローチできる体制を作るべきだった。

近年、Facebook広告やインサイドセールスに関しては多くの企業が取り組むようになったとものの、戦略PRに取り組まれている企業は少ない印象なので、今後積極的に情報収集と発信を行っていきたいと思います。

市場がない(非常に小さい)BtoBスタートアップの顧客開拓ポイント

今回、伊藤さんにインタビューしてわかった「市場がないBtoBスタートアップの顧客開拓ポイント」は下記の通りです。非常にオーソドックスな手法ばかりですが、1つ1つの施策を「やり切る」ことが最も重要なんだなと、改めて感じたインタビューでした。

①シード~ステージBまではアウトバウンドを中心に売上を構築する
②オウンドメディアやFB広告を活用して、潜在的なリードを獲得する
③セミナーやミートアップを通じて、リードを育成する


もちろん、業種・業態や、その時々の環境変化によって最適な打ち手は異なりますが、皆様の参考になると幸いです。

BtoBのマーケティングについてお悩みの方は、是非、気軽にご質問・ご相談ください。可能な範囲で回答させていただきます。
(気軽にDMください) → @yooheykoji

明日の #SaaSLovers 9日目は契約マネジメントシステムを提供されているHolmesの津田さんです。皆様お楽しみに。

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BtoBマーケティングの支援をする才流(http://sairu.co.jp)のコンサルタント。前職では株式会社GENOVAで営業部長→事業開発→メディア責任者。高校中退→大検→同志社大卒。Twitterアカウント(https://twitter.com/yooheykoji