顔が見えて心が燃える

久々に心が燃える体験をしました。先週金曜日、セコリ荘で開催された「ものづくりの学校」説明会。

昨年11月から数えて3度目となる今回は、急な告知にも関わらず30人弱の方にお越しいただき、スケジュールやカリキュラムに関して具体的な説明をしました。

説明会の後、昨年の回にもいらした美大生の方々とお話しする時間がありました。

彼女たちによると、前回の説明会がきっかけで、春休みに全国の繊維産地を回ることに決めたとのこと。自分たちで工場に連絡をし、約2週間分のアポイントを取り付けたそうです。

「説明会を通して、はじめて産地と携わるという選択肢を考えられた」と言ってくださりました。

話す限りでは、みんな学業はとても熱心に取り組み、キャリアもめちゃくちゃ真剣に考えている。

でも、産地の情報を得るにあたってのきっかけが何もない。情報もない。日常生活では意識もできない。

学校共同パートナーの宮浦さんから聞いていた教育機関と繊維産地のつながりの弱さが、まさにはっきり現れていると感じました。

この現状はなるべくしてなったという見方もできるでしょう。でもまさに今こうやって、繊維産地と関わり合いながら生きる道を考えようとしてくれる人たちがいる。その事実にとても心を打たれたのです。

そして、同時に、ぼくはとても熱い気持ちになりました。この人たちのためにこそ何としても学校をきちんと運営しないといけないと気が引き締まりました。

なので、もしかしたら参加者のみなさんよりも、ぼくの方が説明会の恩恵を受けているかもしれません。なぜなら、こうやってこれから生徒になるかもしれない人たちの、1人1人の顔がしっかりと見えるからです。

顔が見えるというのは何かを始めるにあたって本当に心強い。EVERY DENIMも目の前にいるデニム工場の人、とにかくこの人たちのためにと思って始めたからこそ、心を燃やして今日までやってこられました。

「誰かのために」というのはけっして、「失敗もまた誰かに押し付ける」のとセットではありません。そして「自己犠牲の精神」ともセットではありません。

責任転嫁など、ネガティブな感情で燃えている心は美しくないと思います。ぼくは自分を活かして生きるために、自分の心を美しく燃やしていたい。役に立っている相手にとって、ずっと元気な姿と笑顔を見せ続けたい。

かつて自己犠牲の精神が強すぎて、なにをするにもうまく回らず、簡単に人を頼ることもできず、周囲に迷惑をかけ続け、誰からも信頼されなかったぼくは、本当に大切にしたい人や文化を持ってはじめて、変われたと思っています。

心を燃やせる相手ができたら、それは本当に素敵なこと。心で誰かに火をつけられたら、かつての自分に胸を張れそうです。

山脇、毎日。