人に何かを勧めること

デニムという製品を通して、瀬戸内の産業を発信しているEVERY DENIMにとって、言うまでもなく、その伝え方はとても大事です。

いまは基本的にECサイトと試着展示会のみで販売しているので、実際にご注文頂いた方のほとんどが、ぼくたち兄弟どちらかと対面した上で手に取ってくださっています。

ということは、ぼくたちのあり方や話し方、話す内容が、商品の価値に少なからず影響してきます。どれだけ個とブランドを切り離そうと頑張っても、いまの段階ではそうはいきません。

その事実に対して、どう向き合うか。まず何よりも、商品に対して誠実であること。その商品が他のものと違ってどうなのかを、できる限り冷静に把握することが大切だと思います。

次に、商品に対して愛と自信を持つこと。自分たちが考え生み出したものを誇りに思い、信じることも同じくらい大切です。

この2つは、どちらが欠けてもいけないでしょう。盲目的に作られた作品や、売り手が勧めてくることもない無機質な商品は、受け手にとって決して気にいることのできないものたちのはずです。

なのに、最近のぼくは、この2つ目の視点を、大きく見落としていたような気がします。傷つくこと恐れて、否定されることを恥らい、平凡で紋切口調のような「セールストーク」に逃げようとしていた自分がいました。

少なくともEVERY DENIMの商品は、そのような届け方であってはいけないと思います。

ぼくは小さいころから、何かを人に勧めるというのが、極端に苦手でした。起こるかもわからない不確かな影響力に怯えて、自分がそれを働かせることを嫌っていました。

でもぼくはいま、自分がつくった商品を人に勧める役割を負っています。そんな役割なんて、似合っていないと思いながらも、恥ずかしいと思いながらも、うまくなりたいと思ってやっています。

そんなことをやってみてはじめて、人に何かを勧めるということは、人のことを考えることだと気がつきました。お土産でもプレゼントでも、アドバイスでも、相手に合うことをまず何よりも大事に考える。

そして、自分が気に入りもしてないものを、人に勧めるはずがない。言われてみれば当たり前のことに、ようやく気がついたのです。

EVERY DENIMにおいての自分は「〜してるらしい」なんて言い方は一切できません。もしかしたらそれは、勇気の要ることなのかもしれないけど、逆にその分、ぼくの言葉が一番力強いはずです。

10月のイベントでお会いするみなさん、今月のぼくは、ちょっと騒がしいかもしれません。

山脇、毎日。