新しいことを知ってもらえる

モデルでエシカルプランナーの鎌田安里紗さん(arisakamada)と岡山・児島のジーンズ工場を巡っています。

高校生の頃からファッション業界において独自の立場で活躍されている鎌田さん(ありちゃん)。お会いするのは3回目くらいなのですが、ファッションに関する哲学、とくに”みんなが心地よく暮らせるために”本当に真剣に考えてらっしゃる、覚悟を持ったプロの方だなと。今日一緒に岡山・児島のジーンズ工場を見学してみて、改めて感じました。

今回ぼくがなにより嬉しかったのは、このようにして、業界の第一線で活躍されている方を児島にお呼びできたことです。

岡山県倉敷市児島は、デニム産業の一大集積地であり、国内でも貴重な技術が集まっているのは間違いありません。でも、やはりファッションの最先端である東京からは遠いのも事実。よっぽどのきっかけや想いがない限り、ジーンズづくりの現場を訪れようという気にはならないでしょう、これは、良い悪いの問題ではないと思います。

一方で、ぼくは現場に触れることの意義を過剰に信仰している部分があります。それは「ものづくりはやっぱり現場を見てなんぼ」「現場に足を運ばないデザイナーはいけない」と言った類の話ではなく、あくまでジーンズを履く一人の人間として、生産背景を知ることは、大きなインパクトになると半ば妄信的に信じているのです。

きっかけはなんだっていい。よこしまな理由だったっていい。ただ、もやもやしている人の霧を晴らしてあげられるように、無意識な人に道を示してあげられるように、傲慢な形ではない、選択肢を広げられるように。

ぼくたちは、きっかけしか提供できません。その人の価値観の、ほんの隅っこにしか触れられないかもしれません。それでも、見えなかったものを見えるようにすることで開かれる選択肢があるのなら、ぼくはそちらに賭けたいと思っています。

経済学者の水野和夫先生は「見えなかったものが見えるようになる社会こそ経済の成熟である」と説きました。豊かになったぼくたちだからこそ、見せられる姿勢があると信じて、今日も、明日も、新しい工場の形を、みんなと一緒に探し続けたいと思います。

8月よりnoteはじめられた鎌田安里紗さん(https://note.mu/arisakamada)

山脇、毎日。