物欲にお別れ、うまく付き合おう
デニムという服を売っているぼくが言うのもなんですが、ここ数年、めっきり新しいモノを買うことが減ってしまいました。
若者の物欲減退、とくに洋服においては、今までもいろんな原因が挙げられていて
・モノが溢れ選択肢が増えすぎたせいで逆に選べなくなった
・草食化、SNSの発達により、外見を繕う重要度が低下した
・相対的に貧しくなっており服にお金をかける余裕がなくなった
・差別化が価値を持つファッションでは「これを買えば安心」なモノが生まれにくい
などは、多くの人がもう飽きるほど聞いてきたと思います。
ぼく自身もこの4つについてはどれも思い当たる所があって、たしかに影響されていると思います。でも実は、もっと大きく、明確な理由があって、それは
「何を買っても愛着を持てない自分に絶望したから」
ひとことで言えばこれにつきます。
決して大金ではありませんが、所持金のうちのほとんどをつぎこんで、シャツを買い、靴を買い、コートを買ってきました。
でも、買っても買っても、新しいモノが欲しくなってしまい、いつも「次は何を買おうか」ということばかり考えてしまって、手に入れたモノにちゃんと向き合えませんでした。
誤解されるかもしれませんが、買うときは「すぐ捨ててやろう」なんて思っていなくて、「長く大事にしよう」と思って買うんです。でも、それが長続きしない。
そのうち、だんだんモノに対しても罪悪感を持ってくるし、愛着を持てないことに悲しくなってきたのです。そこでようやく、どうすれば愛着を持って長く使えるのか、真剣に考えるようになりました。
その1つが「購入プロセスを何よりも重視する」ということ。どういう経緯で自分がモノを手にするのかを、大事にするようにしました。それにより、
「他の誰でもない、自分が選んだ」というユニークさが宿り、モノ自体を大切に思えるようになりました、
他にもいろいろ試しましたが、それはまたの機会に言いたいと思います。
とにかく、そういった経験を経て、モノを買うから満たされるわけではなく、モノを愛着持って使って、はじめて心が満たされることに気づいたのです。
「できれば、1つ1つのモノについて愛着持って長く使いたい」
繰り返しになりますが、この想いは物欲にまみれていたころから変わっていません。ただ、愛着をもつための手段、心持ちを考えないと、愛着は持てないんだと思います。
ぼくは、モノに愛着が持てない原因を、モノ自体のせいにしたくなかったし、環境のせいにもしたくなかった。だから、どうすれば愛着を持てるか考えたときに、まず消費についての価値観を見直すことにしました。
消費に対する考え方は、人が持つ価値観の中でもとても大きな割合を占めると思っていて、いろんな考え方があるので、一概になにが良いとは言えません。
例えば、「モノを買いまくって、はじめて見る目を養われる」というのもよく聞く話ですし、そういう目利き力を持ってモノをキュレーションすることで、支持される人もたくさんいると思います。
でも、どちらかと言えば自分は、1つのモノに対して、じっくり向き合う付き合い方を提案したい。そんな風に想いが広がっていく方が嬉しいなあと思っています。
ぼくたちは「欲しいモノがあれば、買いたい」はず。
これは昨年6月から、"もとくら"と運営しているオンラインサロンにおいて掲げた1つの仮説でした。
その検証がこれからいよいよ始まります。年が明け、オンラインサロンは第2章を迎えることになりました。
多くの人と「モノを愛着持って長く使うことの楽しさ」を共有したい。ぼくがサロンで叶えたいことは、それに尽きるのかもしれません。
山脇、毎日。