触れられない記憶

頭の片隅にいつもある、ぐちゃぐちゃのままになった記憶。整理すると何かが失われる気がして、簡単に触れられない。

後から解釈を加えることで消えてしまう思い出を、ぼくたちはたくさん持っている気がします。事実関係をはっきりさせるだけが正解じゃない。あいまいなまま、持っておきたいもの。

「なんであんなことしたんだっけ」それくらいで留めておきたくても、説明を求められれば、答えを出さないといけない。そこで下された判断は、おそらくもう、覆されない。

「偶然」を「必然」だと思うことの怖さを、知っていて、記憶が洗練されていくことの怖さを、知っていて。

「あのときのキモチ」を失いたくないから、そのまま、そっとしてある記憶。そんなものが、ぼくの頭にたくさんあります。

山脇、毎日。