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映画「痛くない死に方」

監督:高橋伴明

〜在宅医の河田(柄本佑)は忙しさに追われ、妻に愛想をつかされ、医師としても大事な何かが欠けていた。ついには延命治療を拒んでいた肺ガン患者の井上(下元史郎)を雑に診断して苦しませたまま死なせてしまう。相談した先輩医師 長野(奥田瑛二)の下で在宅医のあるべき姿を学び直し〜数年後、末期ガン患者の本多(宇崎竜童)を担当することになる。

在宅医の長尾和宏さんのベストセラー著書をベースにした映画。ズシン。祝日の朝に胃もたれする内容!普段映画をnoteに記すのは、鑑賞の数日後ゆっくりと時間あるタイミング。でもこれ昨日見て今朝書いてます。シネスイッチ単館ですぐ上映終わってしまう可能性もあり、早く書けばどなたか映画館を訪れてくれるかも、と思ったから。

映画において死を扱うことは何も珍しくないですが、今作の生々しさったらない。ヤバイ。高齢者でガンだし、直球でリアルな死に向き合っています。ばあちゃんの最期を思い出しました。序盤における井上役の下元さんの苦しむ迫真芝居が撮れたからこそ、この映画は成立してます。間違いない。在宅で献身的な介護をしてた娘の智美(坂井真紀)の辛さは、、観客も自分ゴトでした。終盤の本多家、痛みと闘いつつも明るく暮らす夫を献身的に見守る妻役の大谷さんの強さと脆さの芝居!家族のリアルな姿でしたね、、素晴らしいです。 

映画の筋としては病院での延命治療と在宅での自然死を対比させてます。ただその2択ではないし、タイトルでいう「死に方」とは捉えませんでした。むしろ生き方の選択を考える映画。死を迎える本人と家族の意思をサポートできる体制を整えることや尊厳の保持を個々人が理解できている社会が望ましいでしょうね。死ぬまでをどう生きるかです。団塊世代が80歳になる2025年から日本は多死社会へ突入するんです。身近にある避けられない問題なのです。深く拝見できて良い映画でした。

 脚本の好みとしては河田医師の成長物語に"しなかった"こと。河田はあくまで視点の1つなんすよね、主役は死に向き合う人々それぞれ。だから終盤でも智美が出てくる、これは効いてたナイス脚本。どんだけ河田医師が成長しても井上さんの死は忘れちゃいけない事実であり、きっとこの後悔は無くならない。チャンチャンってならない人が世にいるんすよね。

今年の映画賞の助演俳優賞は下元史郎さんと大谷直子さんが独占して欲しいな。もし受賞が無い場合は私が個人でトロフィーと賞状を贈りたいw


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