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映画「クレオの夏休み」

監督:マリー・アマシュケリ

父親とパリで暮らす6歳のクレオはいつもそばにいてくれるナニーのグロリアが大好き。母娘のような2人だったが、ある日グロリアは家庭の事情から故郷カーボベルデに帰ってしまう。その年の夏休み、クレオは海を渡りグロリアに会いに行くのだ。

予告を見た時からこいつはハンカチマル必案件だぞと思ってましたが、やはりタオル地のハンカチ最高です。ただし泣かせに行く演出はありません!
むしろ"そっちだったか〜"と想定の斜め上を見させられた感覚でした。私だけかな。想定は人それぞれだもんね。 

 (※以下ネタバレ含みます)
好きな人と別れて会いに行ってまた離れてって単純な出会いと別れの映画じゃないです。グロリアはフランスでナニーの仕事をしていたが、金銭のために自分の家族と離れていたワケで。カーボベルデにいるグロリアに会って彼女の境遇や家族についてクレオが理解していく、無条件で注がれているように思えた愛情が実は自分だけへのモノではなかったこと、人の側面の存在やどうしようもない部分を初めて認識する少女の夏なんですね。だからこそ旅の終わりにあのシーンに、、ついこれ以上のネタバレしたくなっちゃうよ〜グッとこらえましょう。

大好きな人の記憶が美しいままであってほしい、感謝はきっと時間を経て湧いて来るのかもなあ、、なんて。クレオとグロリアの幸せな未来を願ってしまいますね。もっとあざとく感動させる仕立てにも出来たのにそれを選ばなかったのはこの物語が映画のためのネタじゃなくて監督の実体験だからかもしれません。リアルとズレた商業的なあざとさは要らない物語なのです。 

ちなみに1つ。
要所でアニメーションが挟まれます。おそらくクレオの現実と心の間にある曖昧な箇所をアニメで表現したんだと思われます。その塩梅と手書き感が素敵です。抽象的な質感は6歳の時の記憶のような、、夢幻を思わせます。夏休み前に1人の少女の眩しい夏物語をご鑑賞してみてはいかがでしょう?


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