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映画「いつかの君にもわかること」

監督:ウベルト・パゾリーニ

窓拭き清掃員のジョンは33歳にして病に侵され余命宣告されている。4歳のマイケルを育てるシングルファーザーである彼は残された時間でマイケルの養子先、新しい家族を探そうとする。

チラシであらすじを読んでこれはマズイぞ泣けてしまうぞって想定しとったけど。むしろ泣きに来たお客さん多数かもですね。肌感ですが3/4くらいの方が涙をすすってました。これは仕方ない。
パゾリーニ監督は前作もそうでしたがとても抑制を保つ監督です。設定で十分泣きそうな物語だからって理由なのか、そもそもの好みなのか分かりませんがめっちゃ抑制されてて涙を煽るような演出は無い。父子のさりげないシーンで勝手に泣けてきちゃう事を見越してると思います。
どれだけジョンがマイケルを愛しているか一緒にいないシーンでも伝わります。死の恐怖以上に息子の未来を案じているから献身的なソーシャルワーカーに強い口調になったり、一人でいるふとした時にだけ悲しみが溢れる。

ジョンとマイケルが候補の家族と順々に面談するといつの間にか見てる私も選び始めるんですね。自分だったらどの家族にマイケルを託したいか、どの家庭なら愛されて幸せに暮らせるか考える。シーンとしては父子の幸せな暮らしも多く静的でまだあと1年くらい生きれるんじゃないかって希望を持ってしまう。だけどソーシャルワーカーや街の人々との接点でジョンの余命を時折感じさせるから目が離せない展開。急に倒れてしまうことも予感しちゃうし、早くベストな養子先を!とこっちも焦る。

面談を重ねるとマイケルが自分の置かれた状況を少しずつ理解してくるんですね、でもパパとずっと暮らしたいって言葉と視線がせつなすぎる(ToT)
いよいよ最後が近づいたジョンは窓拭きの仕事を丁寧に後輩に引き継ぎ、将来の息子への手紙などをしたためた箱を用意する。ネタバレしたくないけどあの赤いローソクが、、、く、涙を我慢できません!
物語の最後。マイケルを託すのはどの家庭なのか、答え合わせやいかに。
ジョンの選択をどう解釈するかはそれぞれの胸の内にあると思います。
私はジョンらしい配慮が感じられる優しい選択だったと満足して劇場をあとにしました。

https://kinofilms.jp/movies/nowhere-special/



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