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次に会うのはきっとあの世

2023年4月。縁あって約3年ぶりにフリーランスを解消して会社員になることに。ドローイング&マニュアルという映像制作会社に加入しました。
それによって2年間パートで週1.2日働かせてもらった訪問介護事務所も退所することにした。スケジュールが読めない映像制作仕事をしながら介護職の副業はそもそも難しいのです。身体介護は徹夜明けで出来ない仕事ですし。フリーだから騙し騙しやってきたけど会社員になるとね、、中途半端にしたくないので一旦介護職は離れます。

ドローイングの方と2月に最初に面談したけど私が他社もいくつか探っていたこともあり入社が決まったのは3月末。訪問介護はパートとはいえ「来週辞めます」と言える状況ではなく、私は主に日曜と月曜出勤していたのでその分を誰がケアに行くのか調整する必要がある。4月中は籍を置いて日曜はせめて介護シフトに穴を空けないようにしました。

退所するまで数週間猶予ができたのでケアに伺っていた利用者の方々にお別れの挨拶をすることができた。反応それぞれに感謝の言葉をいただける。「元気でね」と寝たきりの方に言われるとこみ上げるものがある。不謹慎だけどこれが今生の別れなんだろうなと思っちゃう。

毎週1回入浴ケアにうかがっていたCさん。脳梗塞後に片麻痺があり言語障害もある。リハビリを頑張って家の中なら手すりにつかまりながら歩行できるようになったけど入浴は一人では難しい。人がしゃべってる内容は理解できるけど自分は言語が出てこず「あの〜その〜あれだハハハ」「あ、そう」「あんたもいつもあれだ」「どうもね」って具合。
先週最後の入浴ケアだったので「今までお世話になりました。私は今日で最後です、来週から違う人が来ますよ」とお風呂に浸かってるCさんに話すといつもの調子が面白い。「あ、そう。あれだな。そうか。なんだね」と。
入浴が終わって着替えと片付けが終わると奥様にもご報告。
いつもお茶を出してくださる優しい奥様は急なことに驚かれ寂しがってくださり。「次にお会いするのはきっとあの世ですねえ。私たちはそろそろ行きますけど待ってますよ。でもあなたは50年くらいは来ないでねw」と。

現実的に再会することはきっと無い。Cさん自身いつまで自宅で暮らせるかの話になってるし。真面目に考えちゃうと滅入るなあ。お孫さんが来てる時に饒舌になったり、風呂上がりにお茶する時間が好きでした。訪問介護ならでは生まれるひとときの関係。

帰り間際、いつもは奥様だけ玄関で見送ってくださるのですが、つかまり歩きでCさんも玄関まで来てくださる。「ありがとうねえ、あれですね、どうも」笑顔で深く頭を下げてらっしゃる姿に涙が出てしまいそうで。私も深く頭を下げて挨拶し、素早く玄関のドアを閉めました。
2年間介護チャレンジして良かった。あの世で再会したら一緒に広いお風呂に入ってたくさんしゃべろう。

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