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映画「悪なき殺人」

監督:ドミニク・モル

南フランスの雪深い村で1人の女性が失踪する。疑われた変わり者の農夫ジョセフ、そのジョセフと不倫しているアリス、妻のアリスに隠れてネットで出会い系にハマる夫ミシェル、遠く離れたアフリカはコートジボワールの詐欺師アルマン。彼らが複雑に絡み合う中、ある偶然から事件は起きた。

期待していた映画が期待を超える出来栄えって最高ですね。大変よく出来ていました。いわゆる"羅生門"方式です。複数人の視点で章を区切り、なるほどあの時のあれはそういうことだったのか!と謎がどんどん解けていく。失踪・殺人の要素からサスペンス映画なのでしょうけど、1つの偶然によって悪い方に人々が転がり続けてしまう皮肉な物語は滑稽な笑いも生んでコメディに感じます。基本はクスクス程度の笑いな気がしますが、ツボって爆笑しちゃってるお客さんも1人いましたw 

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事件のきっかけはバタフライエフェクトではあるけど根底には人間の欲深さ、愚かさがある。肉体的な繋がりはあっても釣り合った愛はなく、傷つき哀れな登場人物たち。後半になるにつれて悲劇が露わになるのにクスクス笑けてくる不思議。

劇中のあるセリフ「人間は偶然には勝てない」と。こいつにこの映画の要言を喋らせるのか!って思わせる演出も皮肉が効いてて大好き。充分2時間堪能して最後どう締め括るのか気になってきた所で、、、もう1つ"!"。個人的には鮮やかな締めに笑いました、88888。やられた感たっぷりで劇場を出るのはどこか気持ちいいですね。エレベーターで原題のSEULES LES BETESの意味を検索してなるほど腑に落ちたり。おすすめ映画す。


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