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映画「ゴヤの名画と優しい泥棒」

監督:ロジャー・ミッシェル

1961年ロンドンのナショナルギャラリーからゴヤの名画が盗まれた。犯人は60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。盗んだ理由も真相も驚きの実話。この程度のあらすじしか書きたくないですねw
ぜひ鑑賞してほしいです。

伝記映画のお手本のようでした。もし私が伝記モノを作る際には参考にしたいと思います。 諸々の塩梅がパーフェクトだと思います。事件をどこからどこまで切り取るのか、キャラクターをどこまで掘るのか、事件の裏側の挿入具合。全部パーフェクト!下手な脚本だと余計なシーンやセリフで説明的にしちゃうところを巧みにさばいてる。バントンがどんな思想の持ち主で、周りにどう思われてて、なぜこの行動に出たのか充分把握できて見れる我々観客は幸せです。バントン自身がウィットに富んだ人物ということもあり、ユーモア盛り盛りフィルムですから95分楽しい。ストレスなし。そうか、この事件を95分尺にまとめてるのも優れてるな大体w

事実の入れ方(タイトルや当時の写真・動画など)も絶妙なライン。伝記物特有の「実際どうだったのかな?」「この後どうなったんやろ?」と気になってくる事を気持ち良いタイミングで適量の情報を与えてくれる。
"わかってる"監督です。
バントンが自らの主張を語るシーンがあるのですが、マジ金言だらけです。実際彼の語りが庶民の心を掴んだから伝説の名もなき英雄になったのでしょう。ほんとは劇中のセリフを引用したり事件の真相部分も書いて私の熱を伝えたいのですが、このnoteを読んでくれたどなたかが映画館に行ってくれる事を期待してネタバレ慎みます。 

今作のロジャー・ミッシェル監督(ノッティングヒルの恋人の方)は昨年65歳で亡くなり、これが遺作となりました。
不謹慎な言い方かもですが、なんてオシャレな遺作なんだ!
笑って泣けて、道徳に溢れた優しいセリフもあって。後味スッキリな物語で、この世を去るなんて。オシャレがすぎますよ。
さようならロジャー・ミッシェル。ありがとうございました。


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