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映画「親愛なる君へ」

監督:チェン・ヨウジェ

またしても台湾映画。この田中って映像Pは台湾映画ならなんでも好きなんじゃないか?と思われちゃいそうだけど。良作が多いのだから仕方ない!

同性パートナーのリーウェイを亡くしたジェンイー。リーウェイの母親シウユーを介護し孫のヨウユーの面倒もみてきたが、ある日シウユーが死んでしまい、ジェンイーに疑いがかかり追い詰められる。というシンドい物語。だけどなんじゃろ、鮮やかな脚本でした。情報の出し入れが好みで。

まず冒頭がジェンイーと検察官?と対峙してるシーンで「逮捕されてるのか。なんでこの状況に?」と思わせることに始まり、「なんでこんな複雑な関係の3人が暮らしてるの?」とか「このお婆さんはジェンイーをどう思ってんの?」とか疑問に思うポイントが次々出てくるけど、全部良きタイミングで種明かししてくれる。しかもそれが説明的になりすぎず、適度な回想シーンやベタつかないセリフを使って。分からせる塩梅がよく推敲された脚本な気がしました。脚本の評価って難しいですけどね、実際に本を見たわけじゃないし。要素のバランスがとても良いなって感じたまでです。

もしこの事件が新聞記事だったら「老女が急死。同居していた男が逮捕」って1行で済まされそうなもの。でも裏には複雑な事情が絡まってて、社会の問題もあって、情にあふれた物語が存在するんだと、複数の角度を与えてくれる。観てる人々に何かを押し付けるでもなく、総じて悲しい物語なのに良い距離感で眺められる。悔しいくらい巧いって思ったな〜。しかも個人的には爽やかな風が吹いたような読後感で劇場を出ました。ラストの落とし所は意見が分かれそうだけど僕は現実的な範囲で当事者たちにしか見えてない光も感じる気がしたので大好きでした。

もっと語りたいけど今回は短めにしておこう。しかし平日にしてもこの映画すいてた、誰か見てくれないかな〜。


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