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せっせと積読_1

臨床文献など面白そうと思いながら、放置されていくものが多かったですので、個人的に気になった文献を少しずつ消化する時間を意識的に作れるといいかなと思い、積読整理を定期的にしていければと思ってます。完全にメモ的なものになります。

①:Multimorbidity・ポリファーマシーの高齢者における薬物療法と減薬戦略の最適化*1

この文献では、臨床・組織・教育・研究と多面的な視点から現役に関する戦略の提案をおこなってくれています。現状、ポリファーマシーへの介入で明らかにポジティブな臨床アウトカムは出ていない印象ですが、認識としては、ポリファーマシーは基本的には悪いものでありなんとかしなければいけない、そのためにはどうしたらいいか、をよくまとめてくれています。
ざっくりと、患者中心に薬物療法は捉えていくべきであり、Multimorbidityのような状態では、横断的に医療職間でも連携をとっていき、多角的・多面的にアプローチできる仕組み・知識・知見の拡充が求められているように感じました。

②:参加型健康情報学(participatory health informatics)の定義*2

こちらも患者中心の医療の需要が高まる中、テクノロジー部分でも、PHRなど発展してきており、その中で、患者さん自身が治療や検査などのデータに触れる機会も多くなってきていると思います。その中で患者さんが自身の健康に関しての情報に参加できることを参加型健康情報学(PHI)と呼ぶようになり、その言葉の定義をしようとしてくれています。定義は以下のように結論しています。

PHI は参加型医療と密接に関係する学際的な分野です。 PHI は、Web、スマートフォン、またはウェアラブルを通じて提供される情報技術を使用して、個人のケア プロセスへの参加を増やし、セルフケアと意思決定を可能にします。 PHI は、利害関係者の積極的な参加と関与をサポートするために必要なリソース、デバイス、および方法を扱います。 これは、長期的な疾患管理が必要なさまざまな病状の状況に適用されています。 個人は意思決定プロセス、ケアプロセス、および/またはセルフケアまたは自己管理プロセスの中心に置かれ、ケアチームとコミュニケーションをとらなければなりません。 PHI は、この作業のためのツール (情報、ソフトウェア、コミュニティ) を提供します。 PHI はまた、そのようなツールの使用が患者、ケアプロセス、または医師と患者の関係に及ぼす影響を、倫理的な問題も含めて研究しています。 PHI を通じて達成される目標には、健康と幸福の維持が含まれます。 医療システムを改善する。 健康上の成果を改善する。 経験を共有する。 人生の目標を達成する。 そして自己教育。

Inform Health Soc Care (IF: 2.44; Q3) . 2021 Sep 2;46(3):234-243.PMID: 33622168

テクノロジーの進歩は激しく、ゲノム治療、マルチモーダルAIなど恩恵は多くてもそれを活用するためには弊害も併せて大きいかと思います。定義では、臨床倫理にも触れておりますし、意思決定の比重や重み付けのようなものも可視化されていく必要があるのかもしれません。PHIという視点も今後重要となってくるのではないでしょうか。

③:慢性疾患患者のContinuity of careと死亡率*3

最近、「Continuity of care」をよく目にするようになり、よくわかっていなかったので、勉強しなきゃなと思いつつ、読めてなかったので、一つ読んでみようと思います。ちなみに、「Continuity of care」とは、以下のように定義されているようです。*4

Continuity of careは一般診療の中核機能であり、長期にわたって (集団ではなく) 個人をケアすることとして定義されます。 Continuityには主に 3 つのタイプがあります:

関係(または個人的な) - 個々の患者と少なくとも 1 人の思いやりのある臨床医との間の信頼できる治療関係を意味します。
情報 — 個人のケアに関わるすべての人が記録を利用できること。
管理 - ケアに関与するすべてのグループ間の調整とコミュニケーション。

Br J Gen Pract (IF: 5.39; Q1) . 2020 Aug 27;70(698):e600-e611.PMID: 32784220

今回、この試験では、喘息、COPD、糖尿病、心不全患者の4つの疾患グループに関して、Continuity of careと死亡率の関係を検証しており、結論としては、COPD、糖尿病、心不全患者ではContinuity of careが低下すると死亡率が上昇する傾向が見られたとしています。
Continuity of careとは、つまり、日本でのかかりつけ機能に近いのかもしれません。一元化ですね。在宅でもケアマネージャを中心にケアの一元化が行われていますし、そのような形で多職種協働のあるべき姿を考えていく必要があるのかもしれません。前述のPHIも関わってくる部分ではないでしょうか。

まだまだ、積読は全然終わらないですが、今後も続けていければと思います。

【参考資料】
*1:Eur Med (IF: 1.71; Q4) . 2023 Dec;14(6):1195-1209.PMID: 37812379
*2:Inform Health Soc Care (IF: 2.44; Q3) . 2021 Sep 2;46(3):234-243.PMID: 33622168
*3:Fam Pract (IF: 2.27; Q3) . 2023 Dec 22;40(5-6):698-706.PMID: 37074143
*4:Br J Gen Pract (IF: 5.39; Q1) . 2020 Aug 27;70(698):e600-e611.PMID: 32784220


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