マネしてまとめ、設計の流れ(弊社の場合)&meviyは使えるのか?
つねぞう商店さん、春夏裏山さんの記事を真似しようと思ってnoteを始めました。
つねぞう商店さん
春夏裏山さん
ものづくりワールド
悲しいことに行ってません。。。行った同僚からお話は聞きました。
影響受けたのは上記noteなので、それをベースに(オマージュして)書いていこうと思います。
設計実務の流れ
基本的に、B2C製品を作るための設備設計としてフローを例に記載します。
購入部品は200点程度、加工品は200点程度、WDH=1000x1000x2000くらいの装置です。
一般的に「装置」Equipmentと言われますが、なぜか弊社では「設備」と言われます。なので、この記事では「設備」と呼称します。(英語だとEquipmentなのになー)
1.構想
まずはフリーハンドでポンチ絵を描きます。ここはほかの方と似た感じです。ただし情報はチームで共有すべし、という不文律があるため、エクセルの図形を駆使してポンチ絵を作成します。
ここで作っておくと、あとで偉い人にパワポ説明するときに流用したり、という裏の目的もあります。
ここで出来上がるのは、ワークをイメージした四角、それをクランプするエアシリンダ、組み立てるためのアクチュエータ、ワーク搬送用スライダなどを並べていますが、これらはなんとなく対象物が分かる四角形の集合体です。なので吹き出しで「シリンダ」「ガイド」「センサ」など説明書きをどんどん加えます。
「過去機種流用」といった文言で写真を貼ってごまかすこともあります。だって過去機種とそっくりなんだもん。
この構想をチームメンバーに公開して、ヒアリングをします。まずは少人数に聞きます。変なところがないか、もっと良い案がないかを聞き取ります。
ただし、メンバーはその前の機種の立ち上げが佳境に入っていたり、炎上していたりするので、あまり真面目には聞いてくれません。さらに自分も炎上に巻き込まれているので、あまり時間を使いたくありません。お互いの利害が一致するので、大した案は出ません。深く考えてるのは担当者だけです。
この構想をもとに、生産ラインを考えます。大体が過去機種の流用です。
「過去機種実績でタクトタイム〇秒だったので、今回は機能追加で□秒追加になって、合計●●秒だな」などと過去実績で決まります。
過去機種が参考にならない場合がまれにあります。その場合は各ユニットの動作をタイムチャートにまとめます。
ワーククランプ 0.5秒
搬送(500mm) 1.0秒
などです。大体0.5秒単位としています。あまり細かくしすぎると計算が大変なのでこれくらいにしています。
この辺までできたら製造部の担当者にレビューします。設備を使う人、もしくは使う人を指導する人ですね。
お分かりのように、実物がない四角の集合体なので、大体が「わっかんねぇ」と言われて終わりです。レビューしたという実績が必要です。「自動化してくれるんだよね」というお話も出ますが、自動で作る前に製品が作れるかどうかのほうが問題なので先延ばしにします。
この辺まできたところで、設備金額を見積もります。といっても部品点数も設備サイズもふわふわしてるので、概算の概算です。偉い人がさらに偉い人から予算を取ってくるためです。過去実績の2倍とか、すごいバッファを取っておきます。足りないとめちゃくちゃ詰められますが、余る分には誰にも怒られません。むしろコストダウンに成功しました!とか言えます。(もちろん「はいはい」といわれて終わりです)
2.構想設計
ここでCADの登場です。弊社では3D-CADを導入しています。
リニアガイド、エアシリンダなどを配置します。配置し終わったくらいで組み立て対象物(ワーク)の3Dモデルが来ます。
そうです、これまで対象物(ワーク)がないのです。ふわっとした機能だけあって詳細モデルがないのです。
逆に、位置決めピン用の穴をここに配置してくれ、組み立てられないから順番を入れ替えてくれ、公差積むと破綻するけどええの?といった文句意見をぶつけます。ヤンヤ言いながらワーク形状をブラッシュアップしていきます。この辺では大体実験的なものに時間を使います。設備設計かどうかはわかりませんが、必要な時間と思っています。
ざっと設備の3Dモデルができたところで、製造部の担当者にもレビューします。やっぱりここでもあまり意見は出ません。
続いて、偉い人にレビューします。設計着手レビューと言われています。この構想で詳細設計に入っていいですよ、という許可をもらいます。
3.詳細設計
設計着手レビューが終わり、詳細設計フェーズに入ります。ただ、前フェーズで3Dモデルができているので、大きな変更がなければそのままです。
実際は、大きな変更がよく入ります。自部門の都合であったり、他部門の都合であったりします。最近では、半導体不足で納期が18か月と回答があったので急遽構想からやり直したり、大変でした。。。
このへんはちょっとオブラートに包みます。
2次元図面にばらして、部品表もまとめます。もちろん電気担当者とも打ち合わせを重ねて電気図面も作成します。
4.見積り
弊社では製作部門がありません。昔はあったのですが、紆余曲折あり金属加工は特殊なものだけ残して解散しました。なので外注さんに協力いただきます。発注側ですが毎度頭が上がりません。貴重です。
商社さんをCCに入れて、外注さんにメールします。
もちろん構想設計くらいで商社さん・外注さんにジャブを打ちます。どこに見積依頼するかは正直担当者の 独断 判断です。上司とも相談しますが、おおよそ得意な設備サイズで2社くらいに絞られ、あとは負荷状況を聞きながら納期が間に合うか探ります。
部品表、図面一式、設備概要説明、スケジュール案を提示して、見積を依頼します。
見積書が返ってくるのに2週間~1か月ほどかかります。
この時間を使って、自分でも見積りしています。
オンラインストアがあるメーカーでは、そこで金額を入手して部品表に記載していきます。ミスミ、オムロン、パナソニック、オリエンタルモーターなどは金額が出るのでありがたいです。キーエンスは過去実績から探します。なければしぶしぶ見積を取ります。爆速で見積回答が来ますが電話攻撃で仕事が止まるのでしぶしぶです。
金額と合わせて納期情報も集めます。見落とすと後で納期に響くので気にしながら集めます。
加工品の見積は正直エイヤッとやります。この辺はたぶん有料ノートかなと思いますので最後のほうにまとめます。
5.製作着手
商社から来た見積書をもとに、偉い人向けに製作着手会を開催します。お金を出す人に「買っていい?」と聞く会です。
ほとんど出来レースです。金額よりも納期が間に合うかが最も重視されます。特に設計起因の不備修正にフットワークよく対応してくれるかが重視されます。なぜならまだワーク形状が変わる可能性が残されているから。
そうなんです、見切り発車で作るんです。怖いです。
偉い人から承認をもらったら、伝票を発行します。
ここからが弊社の変なところ。
伝票には、担当者印(自分)、上司印、部長印が押されて調達部門に行きます。調達担当者印、調達上司印、調達部長印が押され、商社さんへ伝票が渡り発注となります。
その際に、調達部門で数日~十日ほど止まります。なにしてんねん、と思って聞くと値下げ交渉を行ってるとか。納期が間に合うかを重視して発注しているのに、ここでチマチマと値下げさせてから発注するわけです。納期に間に合わなかった場合には調達部門は責任を持ちません。調達の評価軸はコストを下げること、であり、ある意味最適化された行動をとっています。
で、調達さんががんばって下げることを知っている商社さんはどうするかと言えば、そうですね、最初の見積書にはドッカンと利益を乗せておくんですね。ここで茶番を演じるわけです。
これのおかげで納期がヤバい状態が続くのです。
これの問題がもう一つあって、伝票発行時に記載した金額と、受領したときの金額(値下げ済み)に差がでるので、毎回手修正が必要になるんですね。そして、経理部に怒られるんですよ。3人もいるんだからちゃんと確認してから発注してください、とか。
meviyは使えるのか?
というわけで本題、meviyは使えるのか?という点。
弊社は3D‐CADで設計しているので、その辺は問題なし。
自分の環境だけではありますが、非常に有効に使えるツールだと感じています。
〇 適用サイズがちょうどいい
対象ワークが手のひらサイズ~両手で持てるくらいのサイズのため、設備に使う部品たちもそれくらいになります。meviy適用サイズと合致します。
〇 金額が明確、納期短縮に貢献
弊社の調達部門では前述のとおり値下げ交渉を行います。
ただし、ミスミの単品部品には実施しません。なぜならカタログに値段が載っており、個別の値下げには応じない、と明確に打ち出しているからです。
VONAなど他社ブランド品をミスミで買うような場合は、別の商流も合わせてゴリゴリ交渉するようです。
この金額が明確であることから、交渉にかかる時間短縮ができるため非常に有効と感じています。(100円安価にするために1日余分にかかってたら問題でしょうて。)
金額が明確なので、相見積りの精度が上がります。弊社担当者の見積りでは精度が甘い!と言われていましたが、加工品をmeviyすると金額が明確になります。図面作成して製作するものが減るので誤差が減ります。
〇 2次元バラシ不要
バラシ不要で金額が出るため、見積時間短縮ができています。
営業の受け売りになってそうで癪に障るのですが、確かに早い。これが短納期にもつながってます。
× 心の余裕がなさげ
でも、いつもの「図面だせたー、ふぅ、図面点検しつつやらかしポイントまとめとこ」という奴をやる時間が無くなっています。
△ 外注さんのもうけ分は?
いつも頼んでる業者さんは、加工とメッキと組立とを受けてくれています。実際はさらに下請けに出しているようですが、ここでやりくりしてコストダウンすれば外注さんのもうけ分が増えます。
他社の利益なんて関係ねえ!って人は良いですが、長ーく存続してほしい会社さんですので、適切な利益は確保していただきたいと思ってます。
meviyだから利益減るというわけではありませんが、金額丸裸になるので大変そう、という印象です。
〇 見積の心理的障壁が少ない
× 焼き入れ不可、ベースプレートなど大きい物不可、10mm以下など小さい物不可
意外と制限に引っかかることがあり、結構困ります。
焼き入れはプリハードン鋼なら、と言われますが、メッキが選べなかったりそもそも硬度が足りないものがあります。
ベースプレート1000mm四方で、meviy対象外のため図面描いて加工してもらってます。
小さいほう、10mm以下で引っかかることもあり、これも結構困ります。外注さんでもチャックがやりにくいと見積に時間がかかることがあります。
??? 後進の育成??
meviyでも寸法公差、幾何公差、などなど、2次元図面で使用する表記を使って表現しています。
図面を作成して、加工班長から怒られる機会が多数あった我々おっさん世代は図面の不備を減らすよう努力してきましたが、2次元図面を描く機会が減ってしまい、怒られる機会が減ってしまうと勉強の機会も減るのではないかなとちょっと心配しています。
それを差し置いても便利な世の中になったもんだ、とおじいさんのセリフを言いたくなります。
おわりに
自分個人としては、この2D図面レス調達だったり、見積回答が即日、という機能に非常に魅力を感じています。また現在業務でバンバン活用もしています。
また、我々設備設計者は、少量多品種というか、1個だけ作って、というものの積み上げのため、加工業者さんからかなりめんどくさい存在だと思われてそうです。リピートがあっても10個がいいところ。meviyのように単発大歓迎、加工の割り振りは全部やりますよ、というのもまた魅力の一つと思ってます。
同様の機能とフットワークとネットワークを持つ商社さんもいますが、うちの調達部で詰まることが一つのネックでした。(書いててかわいそうになってきた)
この記事の8割が愚痴ということにお気づきかな?
ということは取捨選択すればたぶん140字に収まるんじゃないかな。
結論としては、使えるもんはなんでも使って機械作ろうぜ、というお話でした。
こっからもう忘れてそうな自社見積するときのお話
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