2022年 広島大学 前期 経済 大問3

$${n}$$を自然数とする. 袋の中に赤玉が$${3}$$個, 白玉が$${(n+5)}$$個, 合計で$${(n+8)}$$個の玉が入っている. また, 空箱$${A,B,C,D,E,F}$$が用意されている.
この準備の下で次の試行1, 試行2を順に行う.
試行1 袋から玉を$${1}$$個取り出して, 箱$${A}$$に入れる. 箱$${A}$$に入れた玉が白玉なら$${i=0}$$, 赤玉なら$${i=1}$$とおく.
試行2 次に, 袋から白玉を$${n}$$個取り出して, 箱$${B}$$に入れる. この時点で, 袋に残った玉$${7}$$個のうち, 赤玉は$${(3-i)}$$個, 白玉は$${(4+i)}$$個である. この$${7}$$個の中から$${2}$$個の玉を取り出して, 箱$${C}$$に入れる.
試行2を終えたら, 箱$${A}$$と箱$${C}$$の玉の色を記録して, 箱$${A,B,C}$$の玉を全て元通り袋に戻す. そして次の試行3を行う.
試行3 袋から玉を$${1}$$個取り出して, 箱$${D}$$に入れる. 次に, 袋から玉を$${n}$$個取り出して, 箱$${E}$$に入れる. 最後に袋から玉を$${2}$$個取り出して, 箱$${F}$$に入れる.
このとき, 次の問いに答えよ.
(1) $${i=0}$$であったとき, 試行2において箱$${C}$$に赤玉が$${2}$$個入る条件付き確率$${p_0}$$を求めよ. また, $${i=1}$$であったとき, 試行2において箱$${C}$$に赤玉が$${2}$$個入る条件付き確率$${p_1}$$を求めよ.
(2) 試行1において, 箱$${A}$$に赤玉が入る確率$${q_A}$$を$${n}$$を用いて表せ. また, 試行1, 試行2を順に行うとき, 箱$${C}$$に赤玉が$${2}$$個入る確率$${q_C}$$を$${n}$$を用いて表せ.
(3) 試行3において, 箱$${D}$$に赤玉が入るという事象を事象$${X}$$, 箱$${E}$$に入る玉が全て白であるという事象を事象$${Y}$$, 箱$${F}$$に赤玉が$${2}$$個入るという事象を事象$${Z}$$と呼ぶことにする. 事象$${X}$$と事象$${Y}$$がともに起こる確率$${P(X\cap{Y})}$$を$${n}$$を用いて表せ. また, 事象$${Y}$$と事象$${Z}$$がともに起こる確率$${P(Y\cap{Z})}$$を$${n}$$を用いて表せ.
(4) (3)の事象$${Y}$$が起こったとき, (3)の事象$${X}$$が起こる条件付き確率$${P_Y(X)}$$と, (3)の事象$${Z}$$が起こる条件付き確率$${P_Y(Z)}$$をそれぞれ求めよ.

解答
(1)
$${i=0}$$のとき, 袋の中は赤玉$${3}$$個, 白玉$${4}$$個だから, ここから$${2}$$個取り出してそれがともに赤である確率は
$${p_0=\frac{{}_3C_2}{{}_7C_2}=\dfrac{1}{7}}$$である.
また, $${i=1}$$のとき, 袋の中は赤玉$${2}$$個, 白玉$${5}$$個だから, ここから$${2}$$個取り出してそれがともに赤である確率は
$${p_1=\frac{{}_2C_2}{{}_7C_2}=\dfrac{1}{21}}$$である.

(2)
最初袋の中は赤玉$${3}$$個, 白玉$${n+5}$$個だから, ここから$${1}$$個取り出してそれが赤玉である確率は
$${q_A=\dfrac{3}{n+8}}$$である.
同様に考えて, それが白玉である確率は$${1-\frac{3}{n+8}=\frac{n+5}{n+8}}$$である.

試行1の結果が赤玉である, すなわち$${i=1}$$のとき, 箱$${C}$$に赤玉が$${2}$$個入る確率は(1)より$${\frac{1}{21}}$$だから,
試行1の結果が赤玉, かつ, 試行2の結果箱$${C}$$に赤玉が$${2}$$個入る確率は
$${\frac{3}{21(n+8)}=\frac{1}{7(n+8)}}$$である.
試行1の結果が白玉である, すなわち$${i=0}$$のとき, 箱$${C}$$に赤玉が$${2}$$個入る確率は(1)より$${\frac{1}{7}}$$だから,
試行1の結果が白玉, かつ, 試行2の結果箱$${C}$$に赤玉が$${2}$$個入る確率は
$${\frac{n+5}{7(n+8)}=}$$である.
よって, 試行1, 試行2を順に行うとき, 箱$${C}$$に赤玉が2個入る確率は
$${q_C=\frac{1}{7(n+8)}+\frac{n+5}{7(n+8)}=\dfrac{n+6}{7(n+8)}}$$である.

(3)
試行2の後, 全ての玉を袋に戻しているので, 試行3を始める前の袋の中の状態は初期状態と同じだから, 確率$${P(X\cap{Y})}$$は「最初に取り出す玉が赤玉」かつ「赤玉$${2}$$個, 白玉$${n+5}$$個から$${n}$$個取り出して全て白玉」である確率を考えることになる.
最初に取り出す玉が赤玉である確率は, 試行1の結果が赤玉であることと同等だから, その確率は(2)より$${\frac{3}{n+8}}$$である.
赤玉を取り出した後の袋の中は, 赤玉$${2}$$個, 白玉$${n+5}$$個だから, ここから$${n}$$個取り出して全て白玉である確率は
$${\frac{{}_{n+5}C_n}{{}_{n+7}C_n}=\frac{(n+5)!n!7!}{n!5!(n+7)!}=\frac{42}{(n+7)(n+6)}}$$である.
よって, 求める確率は
$${P(X\cap{Y})=\dfrac{126}{(n+8)(n+7)(n+6)}}$$である.

事象$${X}$$が起きない, すなわち最初に取り出した玉が白玉であった場合,
袋の中は赤玉$${3}$$個, 白玉$${n+4}$$個であるから, ここから$${n}$$個取り出して全て白玉である確率は
$${\frac{{}_{n+4}C_n}{{}_{n+7}C_n}=\frac{(n+4)!n!4!}{n!7!(n+7)!}=\frac{210}{(n+7)(n+6)(n+5)}}$$である.

ここで事象$${Y}$$が起きた後の袋の状態を考えると,
事象$${X}$$が起きて, かつ, 事象$${Y}$$が起きた場合,
袋の中は赤玉$${2}$$個, 白玉$${5}$$個であるから, ここから玉を$${2}$$個取り出してそれがともに赤玉である確率は, $${p_1}$$と同等, すなわち$${\frac{1}{21}}$$である.
同様に事象$${X}$$が起きず, かつ, 事象$${Y}$$が起きた場合については$${p_0}$$と同等だからその確率は$${\frac{1}{7}}$$である.
よって, 事象$${Y\cap{Z}}$$が起きる確率は
$${P(Y\cap{Z})=\frac{126}{21(n+8)(n+7)(n+6)}+\frac{210}{7(n+8)(n+7)(n+6)}}$$
$${=\frac{6+30}{(n+8)(n+7)(n+6)}=\dfrac{36}{(n+8)(n+7)(n+6)}}$$である.

(4)
(3)の途中式より, 事象$${Y}$$が起きる確率は
$${P(Y)=\frac{126}{(n+8)(n+7)(n+6)}+\frac{210}{(n+8)(n+7)(n+6)}=\frac{336}{(n+8)(n+7)(n+6)}}$$であることがわかる.
よって, (3)の$${P(X\cap{Y}),P(Y\cap{Z})}$$と合わせて,
$${P_Y(X)=\frac{126}{336}=\dfrac{3}{8}, P_Y(Z)=\frac{36}{336}=\dfrac{3}{28}}$$である.

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