2022年 広島大学 前期 経済 大問4

実数$${a}$$に対して, 座標平面上の点$${(a,0)}$$を通る傾き$${4a}$$の直線を$${L_a}$$とする. $${a}$$が実数全体を動くとき, 直線$${L_a}$$が通り得る点全体からなる領域を$${S}$$とする. また, 2点$${P(0,1)}$$と$${Q(0,2)}$$に対し, $${\sqrt{2}AP\le{AQ}}$$を満たす点$${A}$$全体からなる領域を$${T}$$とする. このとき, 次の問いに答えよ.
(1) 領域$${S}$$を図示せよ.
(2) 領域$${T}$$を図示せよ.
(3) $${S}$$と$${T}$$の共通部分の面積を求めよ.

解答
(1)
$${L_a}$$は$${(a,0)}$$を通る傾き$${4a}$$の直線だから, その式は
$${y=4a(x-a)=4ax-4a^2}$$と表せる.
よって, これを$${a}$$についての2次方程式とみて, 実数解を持つ範囲を考えればよい.
$${4a^2-4ax+y=0}$$の判別式を$${D}$$とすると,
$${\frac{D}{4}=4x^2-4y\ge{0}}$$より, $${y\le{x^2}}$$
これは放物線$${y=x^2}$$の下方に当たるから, 下図の射線部分である.
ただし, 境界を含む.

(2)
点$${A}$$の座標を$${A(X,Y)}$$とおくと
$${AP=\sqrt{X^2+(Y-1)^2}}$$, $${AQ=\sqrt{X^2+(Y-2)^2}}$$だから
$${\sqrt{2}AP\le{AQ} \Leftrightarrow \sqrt{2}\sqrt{X^2+(Y-1)^2}\le{\sqrt{X^2+(Y-2)^2}}}$$
両辺ともに正なので辺々2乗して
$${2\lbrace{X^2+(Y-1)^2}\rbrace\le{X^2+(Y-2)^2}}$$
これを整理して$${X^2+Y^2\le{2}}$$
これは原点中心, 半径$${\sqrt{2}}$$の円の周および内部だから下図の射線部分である.
ただし, 境界を含む.

(3)
(1),(2)より, 求める領域は下図の射線部分である.
ただし, 境界は全て含む.

ここで, $${y=x^2}$$と$${x^2+y^2=2}$$の第一象限における交点を求める.
2式を連立して$${y+y^2=2}$$より$${y=1, x=1}$$を得る.
この点を$${R(1,1)}$$とおく.
この点は直線$${y=x}$$上の点だから, 第一象限において直線$${y=x}$$と放物線$${y=x^2}$$で囲まれる部分の面積は
$${\int_0^1(x-x^2)dx=\Big[{\frac{1}{2}x^2-\frac{1}{3}x^3}\Big]_0^1=\frac{1}{2}-\frac{1}{3}=\frac{1}{6}}$$である.
また, 原点, $${R(1,1),(0,\sqrt{2})}$$からなる扇形の面積は$${\frac{\pi}{4}}$$である.
よって, 第一象限において, 領域$${T}$$に属するが, 領域$${S}$$には属さない部分の面積は
$${\frac{\pi}{4}+\frac{1}{6}}$$となる.
これは第二象限においても同様に考えることができるから,
全体として領域$${T}$$に属するが, 領域$${S}$$に属さない部分の面積は
$${\frac{\pi}{2}+\frac{1}{3}}$$である.
したがって, 求める面積は
$${2\pi-(\frac{\pi}{2}+\frac{1}{3})=\dfrac{3}{2}\pi-\dfrac{1}{3}}$$である.

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