「今後の世代のために」世代間の公平を

2021年5月12日。
Generationengerechtigkeit(世代間公平)という言葉を頻繁に見聞きするようになってきた。きっかけは4月下旬に独連邦憲法裁判所が下した決定だ。裁判官は、2050年までに炭素中立を実現するとしているにも関わらず環境保護法に明記されている削減目標値などが30年までにとどまり、31年以降は記されていないことは、排出削減の負担の多くを31年以降に先送りすることになり、将来の世代の自由権を不当に制限することにつながると批判し、議会に法改正を命じた。

世代間公平は温暖化防止の必要不可欠のテーマとして政治家が取り上げなければならなくなったのである。メルケル首相も6日に開催された気候変動に関する国際的な非公式会合ペータースベルク気候対話で、「温暖化がもたらす劇的な影響の抑制に向け、我々は今後の世代のために全世界的に迅速かつ決然と行動しなければならない」と明言した。

今回の憲法裁決定はだが、環境にとどまらず、幅広い分野に影響をもたらす見通しだ。憲法の番人である同裁が世代間公平の原則を初めて明確に示したためである。

社会裁判の最高裁である連邦社会裁判所のライナー・シュレーゲル長官は同日開催のシンポジウムで、高齢化により不足する年金など社会保険の財源を税金で補填することは今後、制限されるようになる可能性を指摘した。現在の社会保険制度を不当として遠からず違憲訴訟を起こす動きが出てくると予想している。

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