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雑記「趣味趣味音楽」ほか

趣味趣味音楽

趣味を聞かれた時、すごく困る。

楽器をやっているので音楽は趣味といえば趣味だが、他の何を差し引いても好きな一番の心の友かというとちょっとわからない。自分の実現したいサウンドを手元に出現させるために楽器を使っているときや、ステージパフォーマンスのために楽器を練習しているときの方が多いため、心から演奏が好きで楽器を触っているギターキッズみたいな人材に比べると若干のやる気のなさが否めない。

では映画は?絶対にこう返される。「えーじゃあ好きな映画なに?」これに何の見栄も調整もなくノータイムで映画の名前をひとつ出せる人間でなければ、危険な選択だ。「えーうーん...いっぱいあるんだけど、あ、でも一個あげるとしたら、うわー知らないかな〜古いんだけどね、◯◯の監督の映画でちょっと初期のやつでさ...」なんて話し始めるような人は要りません。

これ、読書も同じで、人気の小説や話題の本を読んでいる方なら良いのだが私の場合刷数1のニッチな教養書とか老後の蓄えに読むタイプの新書みたいなのばっかりで、全く華が出せない。

ということであと残ったものを出すと「うーん最近は、散歩、ですかねぇ...」となる(が、このあと無料の博物館を巡ったり道の曲がり方から古い土地の使われ方を想像したり舞浜でリゾートラインに乗ってディズニーシーの豪華客船SSコロンビア号が実は地面の上に建設されている事実を裏側から見にいくといった"散歩"の内容をキショキショと語る羽目になるため結局のところデッドエンドである)。あなたの趣味はなんですか。


あるインセプション

南風の柔らかさに春の兆しを感じながら、久しぶりのひとり旅。勢いで始めてしまった新婚の同居生活、小言と家事にまみれた日々から少しでも逃れようと、文庫本を数冊鞄に忍ばせてはなるべく時間をかけて鉄道を乗り継ぎ、瀬戸内に面した小さな港へやって来た。先日眺めた観光雑誌によれば、ここから離島行きのフェリーが出ている。平日だからか観光客は少なめで私以外にひと組の子連れと、おとな旅を楽しむマダムがちらほらと見えるのみ(空いていてたいへんよろしい)。チケットを買って手続きを済ませ船着場へ向かうと、目の前に一面の海と、遠くに島々が見える。今日は雲が少し多めでやや荒めの波が立っており、観光日和とは言い難いか。しかしこの灰色に近い景色が逆に切ない男の旅情をそそってくれる。さて船に乗り込み、ガラガラな船中を見渡して見つけた窓側の手頃な座席に腰掛けいざ出航。

「すみません。」という落ち着いた声に驚くと、隣に女性が座ってきた。なんと、それはほかでもない、私の妻だった。なぜだ。私はひとりでここに来た。わざわざスーツで準備をし、出張だとことわってこっそりと旅に出たはずなのに。全てを見通した顔つきで、妻は私を見つめる。心の平穏が揺らいでばくばくと心臓が高鳴るのに呼応して、ぐらりと船が大きく揺れた。

妙な揺れに目が覚めた。夢だ。部屋はまだ暗く、ベッドの隣で私の彼女が寝返りを打っている。その沈み込みが私の三半規管を刺激して、穏やかな夢から引きずり起こしたのだ。しかし先ほど、夢に登場した私の"妻"こそ、腕の中で眠るこの娘だった。私は付き合って間もないこの娘を、既に無意識下で私との婚姻関係に堕としていた。しかもその人生には、仄かな雲行きの怪しさを感じていたようだ。確かに、私はこうやって彼女と生活を始めてから妙に落ち着かない毎日でうまく眠れず、今も浅い眠りの結果としてたかが隣の寝返りに貴重な睡眠を断たれていたのだった。しかし本当に身体がぐらりと揺れる感覚で夢から覚めるのだな。映画『インセプション』では寝床から押す・蹴飛ばす・川にダイブする・部屋を爆破して床を抜くなどあらゆる方法で眠っている仲間を「落とす」ことによって覚醒へと導く「キック」が登場した。私のキックは同居人の寝返りか。なんと映画映えのしない目覚めだろう。

まだまだ全く睡眠が足りない。もう一度寝よう。向こうを向いてしまった彼女は呑気に惰眠を享受し、すやすやと寝息を立てている。これが望んだ幸せだったのだろうか。愚かにも捨ててしまった独り身の豊かさに想いを馳せ目を閉じる。しかしいくら寝ようとしても、なんだかむずむずして眠れない。身体中に虫唾が走るような、ピリピリとした痒みがある。なんだろう、痒い。痒い。どんどんと強くなってくる。これは、まさかトコジラミか。連日ニュースでも取り上げられているやつを、連れ帰ってきたのか。そんな、これはまずい。まずは寝ている彼女に知らせなければ!しかし身体が全く動かない。手足はどんどんと斑点状の真っ赤になっていく。おい、トコジラミがいるぞ!起きろ!声が出ない!どうしてだ!まずはこのベッドから出なければ、なんとか身体をよじり踏ん張って、力の限りベッドから……。

「ドスン!」一瞬何が起きたのかわからなかった。ううううと呻く男の声が聞こえたが、それはほかでもなく私の口から出ていた。状況を整理するまで数十秒を要し、その間は動かない手足と背中の痛みをゆっくりと咀嚼した。どうやら、私はベッドから落ちたようだ。ようやく、現実の世界に舞い戻った。薄暗い部屋。週末の朝、まだ起きるには早い時間。「キックだ......。」ぐっすりと寝ていた私は、夢の中で旅行をし、その夢の外にトコジラミを持ち帰り、想像の痒さにもだえた結果、ベッドから落ちて起きたのだった。まさに"夢の中の夢"。これが本当に現実か、トーテムを取り出して確認しなければならないな。そんなふうに笑って痛む身体を無理やり起こし、這うように動き出す。そしてやはりそんな私には気づかず、ベッドではいつもと同じ「愛すべき」彼女だけが眠りを続けていた。



ITパスポート、面白いけど大変です

勤め先からの指令でITパスポートという資格の勉強をしている。参考書をめくりながら進めているが技術っぽい話から会社っぽい話まで、IT初心者にとって基礎知識のうちの基本のきを身につけるような内容だ。

さまざまなジャンルを浅く跨っていて非常に範囲が広く、SSDとHDDの違い、みたいなガジェット好きにはお馴染みの話が出たかと思いきや社内セキュリティの脆弱性の話が出てみたりするのが厄介。また頭文字をとったアルファベットの用語が大変多く、覚え分けるのに苦労する。

更になまじコンピュータに半端な興味がある私のような人間は学習内容がところどころ自分の興味分野とリンクしてきたりするのが良くも悪くも勉強のスピードを落としている。

音声データ拡張子でmp3が出れば「あ!MPEG-1の規格競争で3番手に回ったが圧縮率が高くのちの個人インターネット全盛時代になって市民権を得たAudio Layer-3だ!」とか、メモリの話題が登場すれば「ROMはRead Only Memoryだけど途中から全然writeもできるから命名が下手くそだしRAMはRandom Access Memoryだから規則に全然則ってないよな」とか、\が¥と表示されることもある話に対して「あぁ〜日本の文字コード技術者が後先を読まず対応させた結果だな」とか、そんな付け焼き刃の知識があらゆる部分に枝葉としてくっついてきてしまい、結果として参考書を読む時間よりそばの雑学を漁る時間の方が多くなってしまっている。

これは理解を深めるという意味ではよいのかもしれないが、資格取得という観点でいえばまだまだ先が長そうだ。



税金をとりもどせ

私たちは毎日多くの税金を払っている。しかし果たして自分の生活に充分還元されているだろうか。せっかく払った税金、少しでも取り返したい?そんなときは図書館へいこう!新書や文庫でも1ヶ月で5冊読めばそれだけで5,000円もタダ読みした計算だ!

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