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熱が出なくなった話

20歳からパッタリとあらゆることへの興味がなくなった。

ADHDという障害を持っているため、注意力散漫はめちゃくちゃあるが、はっきりと、20歳から【情熱を持って心血注いで熱中すること】がなくなった。


中学時代は絵を描くことに夢中だった。自分の絵が下手だとは思い続け(本当に描けない)ながらも、好きなキャラクターを描き続けた。

高校時代は部活に熱中し、全国大会出場も果たした(競技人口が少なかったからこそできたこと)。趣味も栄華を極めていたと言っても過言では無いほど楽しんでいた。

小学生の頃からずっと友達とは何か、これは友達なのか等々考えていたので、友達はいなかったが、そんなことどうでもいいと思えるほど、熱中していた。


小学生の頃からずっと夢があった。地元の大きな祭の踊り子になること。

20歳になる年、その夢を叶えた。

同時に、壊れた。


私はみんなに楽しい気持ちを分けたかった。

ただみんなに笑顔になって欲しかった。

誰よりも私は人を笑顔にできると信じていた。 

ただ一点

光り輝く舞台の裏には当然ながら影ができる

それを知らなかったのだ。


20歳の1年間で、私は大切な人と出会い、失った。

彼は、同じ舞台に立つ人だった。彼もまた、影に足を掬われた。

記憶喪失になった。私を誰だと問うた。


その日から、私はあらゆることに興味がなくなった。


ずっと夢だった舞台は、私を拒んだ。

最愛の人は、私を二度と思い出せなくなった。


どんなに思い入れを持って打ち込もうが、最大級の愛を与えようが、結局は拒まれ、忘れられるのだ。


全てが、最高にどうでも良くなった。

努力は無駄だ、私には報われる瞬間などない、と。


何かに熱中して、燃えていた頃は、生きることに意味があることを自覚していた様に思う。

今はどうだろう。

死ねないから生きている、謂わば惰性だ。


あの頃の熱量は、どこへ消えたのか。

私は、何に対しても熱が出なくなってしまったのだ。


2020.11.24  ヨガタリセラ【熱が出なくなった話】

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