見出し画像

心の健康は自分にとってのイイカゲンを知ることから始まる

「いいかげんなイタリア生活」結婚を機に15年イタリアに住むイラストレータ、ワダシノブさんのエッセイ。やわらかなタッチのイラストと率直な視点でかかれた文章から、イタリアでの日常が伝わってくる作品だ。

豊富なイラストでおおらかでオシャレなイタリア生活を垣間見ることができる。イタリアの食べ物のエピソードは、じわっとよだれが口に広がる。ジャバンニさんがつくるトマトパスタや、仕事帰りに友人とのアペリティーボ、1杯のドリンクとちょっと食べるおつまみ。旬の食材でつくるシンプルな料理、うん、きっとまちがいなく「旨い」はず。

イタリアの生活にはいつも人と人とのつながりがある。日本の田舎には、そんな雰囲気があるけれど、たぶんイタリアのそれは日本のものよりもずっと濃くて、表現もとってもオープンなんだろう。

イタリアの人にとって気軽に電話をかけたり、日々なにげなく声をかけあって会話を楽しむのは「人の想いは目に見えないから行動として示す」からなのだそう。

たまに煩わしさを感じることもあるけれど、自分が色んな人に支えられて生きているんだと気がつくことができる

『いかげんなイタリア生活』より

お互いを認め合って、かざらない、気さくな関係が人には必要なんだってことがイタリアの人にとっては当たり前のことなんだろう。

私は、人見知りで、気の利いたおしゃべりもできない。でもそんなトーク上手じゃなくても、少しの勇気と笑顔があればいいのかもしれない。

自分はひとりぼっちだと寂しく感じた時があったとしても、人間は一人では生きてはいないのだ。それは年を取れば、取るほど感じる。だから、顔を合わせる瞬間、挨拶やお礼を言うだけでもいいし、ちょっとお天気や体調のことを話すのでもいい。気軽に他愛のない会話ができるようになって、「あなたがいるのを分かっていますよ。あなたがいてくれてうれしいです。」って気持ちが自分のなかにも生まれて、相手にも少し伝わってくれたら、目に見えないものを今という瞬間に表すことができたってことなんだろう。

それをコツコツやり続けるとなにか人との関係が変わってくるのかもしれない。自分にとって、ちょうどいい、人との距離感は、そうやって感じていくのかもしれない。

たとえ、イタリアの人のようになれなくても、自分が気持ちよく声をかけられれば、その気持ちよさが相手にもちょっとづつ伝わっていく。

そしてイタリアの人に学ぶところは、「私があなたに声をかけたいから」であって、お相手の顔色を見て、関係をよくしようとしているわけではない(なかにはそうでない人もいると思うが)という点だ。

私は相手に迷惑じゃないだろうか、とか変に思ってしまうけれど、そうではなくて、自分が気持ちよく声をかけられることが大事なのだ。いい人に思われるためでなく、自分のためでいいのだ。

だから、「声をかけさせてくれてありがとう」「あなたがいてくれてうれしい」と本気で思えるし、自分の心の支えになる。

年を取っても、毎日挨拶する人や、ちょっとした会話ができる人がいてくれれば、きっと幸せでいられそうだ。

イタリアの空気感が伝わってくるこの本、秋の読書にいかがですか。
では、また明日。


よろしければサポートをお願いします。頂いたサポートは、ヨガ、瞑想などのセルフケアを広める活動のために大切に使わせていただきます。