見出し画像

今日は伊丹空港が逆ランのようだ。普段は南に着陸して北に離陸する滑走路が、風の強さ風向きによって反対になることをそう呼ぶ。台風はまだ奄美のあたりだが、この辺りでももう風は強まっている。前に住んでた家では、真上に飛行機が飛ぶ日が逆ランだった。去年の引越しで伊丹空港に近付いた。普段と音が全然違う。南に離陸した飛行機がすぐに方向転換し、この辺りの上空を飛んでいるのだろう。逆ランというのがある、と教えてくれたのは、大学院生時代、バイトで知り合ったちょっと年下のA君だった。大学で航空部に所属してたので飛行機事情に詳しかった。かなり仲良くなってお互いの下宿を行き来したり、飲みに行ったりしたが、しばらくして縁が切れた。社会に対する考え方は私とかなり違い、最後の方では、こっちが言うことにイライラしているんじゃないか、と感じるようにもなった。こっちが年上だったし、こっちは大学院生です、こっちの方が知的です、という態度が自分にはあったから、対話を通して彼の中で生まれた違和感をこっちは押さえつけてばかりいたのではないか、と今になっては思う。自分は面白い人間で、彼もそれを楽しんでいるのだろうとうぬぼれていたのだが。その後、ツィッター上で一度嫌な絡まれ方をしたのが最後だった。いろいろ欠点のある人でもあったが、面白い人物だった。いろんな情報も教えてもらった。伊丹空港が逆ランの日には、必ず、彼のことを思い出す。たぶん、これからもずっと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?