階の四 「ニューロとエルバー」
君の立ち上がったあと 残された木の椅子が
周りの石造りの灰のなかで その位置を示す時
見上げるほど高い柱よりも その空席が僕を刺す
「先に行くよ」と そんな空言を残して
あの知識の山の頂まで半分の高さに達した
残りの半分は300年後に積み上げたあとで辿ろう
7合目で君を待つ賢人が
僕を待つ愚行を犯す前に
万華鏡の内側の ステンドグラスの虹が
空の色だけは映さずに 冬を作っている
監獄の中に入れずに苦しむニューロ
囚われの身になれず悶えるエルバー
君は登らなくていい ニューロ
触れていい肌もなく 足をかけていい窪みもないから
君は飛ばなくていい エルバー
身の軽さは失われて 重力も信頼をなくしたから
ただ吸い込まれていけば それでよい
ただ吸い込まれていけば それでよい
ひしと 手を握れ
ひしと 手を握れ
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