見出し画像

別れた彼がデキ婚de失恋-7kgダイエット


この話は、私が30歳だった頃の話。

20代後半、残業しコンビニで夜ご飯を買い、帰って食べてすぐに寝るという生活を繰り返し、私は、すっかり「小太り」になっていた。

毎年受けていた健康診断。
体重の適正グラフの、オレンジの標準層からピンクの「やや肥満」と赤い「肥満」のゾーンの堺をかろうじてかすりそうなポジショニングにまできてしまった。

やや肥満。て。

もちろん、当時、彼氏はいなかった。
今振り返っても、あんなに彼氏がいない期間が長かったのは、後にもない。

初めて結婚前提に親に会わせた前彼と別れて、もう三年ほどたつ中で、仕事の面白さと、体型の変化は比例して、肥大化していた。

当時の写真は、一枚も、ない。

そんな私を見かねたのか、職場の同じ歳の友人が、久々に合コンに誘ってくれた。5月のGWの頃だったか。

お相手は、工場勤務のお兄さんたち10名近くに、私と友人の4人グループと、友人も知らない別の女子グループ5人ほどの、3グループ合同の飲み会で、なんだかわちゃわちゃした雰囲気だった。

友人は、オシャレタトゥーがチラ見えする年下男子を狙っていた。
私は、ウェイ系オラオラ系が非常に苦手なので、行った時から「はい、今日はないな。」と思っていた。

勢いある雰囲気の中、初見の女子が張り切りすぎて、なんとマーライオンし、酔い潰れて全身脱力。
カオスと化す中で、割と冷静だった私と、男子グループの中で、車で来ていた子と数名で介抱していた。

その事がきっかけで、その車で来てた(聞くと4つ歳下の)男子と話すようになり、連絡先を聞かれ、口説かれ、付き合う事になった。

久々の彼氏!

小太りを自覚していながらも、彼氏できんじゃん、私!しかも、年下!
まだいけるのかな!わたし!
なんて、少し浮かれていた。
それまでスーツの似合う年上男性と付き合う事が多かった私にとって、ガテン系の年下男子は新鮮だった。

当時、私は30歳、彼は26歳。
もちろん結婚を意識している年頃。
その一つ前の恋愛の事を思うと、自ずと「今度こそは」と、結婚アンテナがビリビリと立ちまくっていた。

彼は「弁当作るの得意だから、一緒に住んだら作ってやるよー。」とか、
「俺の家族とか親戚めちゃ仲がいいから、会ってみて欲しいなぁ」とか、
会話の端々に、同棲や結婚を匂わす言葉をまぶしていた。
付き合ってすぐからである。

早い、早いよー。待て待て!
あー。ついに、私も結婚かー。結婚しちゃうのかーー、しかも年下と。うひょーー!と、
勝手に心の中でニヤニヤしていた。

会えばお互いの家でいちゃつきながら、会えない日もLINEで連絡を取り合い、常にラブラブな生活だった。

3ヶ月ほどたった、8月のお盆前。
突如、彼の連絡が途絶えた。
LINEを送っても既読にもならず、返信もこない。
--携帯、壊しちゃったのかな?
--なんか事故に巻き込まれてないかな?
3日ほど立ち、やっと既読。しかし、返事がない。
電話をしても無視が続く。

私の中で、不安は疑念に変わり、「こりゃ、別れるな。」と、ドヨンとした思いが巣食っていった。

夜になって、何度目かの電話で、彼はやっと出た。

「別れたいの?」と私から切り出すと、
「うん、別れたい」と、彼は白状してきた。

私の予感は的中してしまった。
こんな目に合うのは、もう何回目だろう。何度経験しても、この突き落とされる感覚は慣れない。

私は、ぐっと飲み込んで、受け入れた。
でも、私の中では一つも納得したものはなかったので、お互い家に置いていったモノも返さなきゃという事で、彼と会って話をした。

聞くと、なんと、私の前に付き合ってた看護師の彼女とヨリを戻したい。なぜならば、彼女が妊娠したので、結婚するつもりだと。

私は、彼の目の前でわんわん泣いた。泣くもんかと我慢しても涙が出てくる。

信じられなかったけど、彼女の妊娠がまだ3ヶ月とかいってたので、私と会ってる時にリンクしてるのが、分かった。私は、二股かけられてたのだ。

なんて奴だ、最低。よくもまぁ、家族に会わせたいだの言ってたけど大嘘つきめ!

私は彼に「嘘つきだね」というと、悪態をついてきて、「私に愛情を感じなくなった」「彼女っていうよりお母さんみたいな感じ」と言ってきて、
「お風呂あがりに、裸でうろうろして色気がない」と言われたww

今なら笑って話せるが、当時の私は、それはそれはショックで、ギャン泣きした。
地獄絵図w

もうその彼女に負けたというか、全体的に女として完敗だった。

私は、彼から散々毒を吐き出させた後、私は「会えて嬉しかった」と、最後は笑顔で「ありがとう」と言って別れた。
そして、LINEも携帯番号の登録も消した。

私は、その日は眠れなかった。
それから1週間、水分以外、ご飯を食べられなくなった。
自分でも初めての経験で、自分の身体がこんな風に反応するんだ…と、なんだか自分の身体じゃない感じがした。
心配した友人がポタージュスープを作ってくれて、やっと飲めたのが1週間後だった。
週末はお盆休みで、実家に帰ったけど、食欲は湧かず(梨の一切れが限界だった)、夏盆のお手伝いで気を紛らすか、
それ以外はずっと床の間で、泣きながらふて寝して過ごした。
それから一人暮らしに戻っても、朝ごはんは食べず、昼ごはんは会社の同僚と食べても、トイレで吐いていた。
家に帰ったら、なにもかも思い出したくないので寝てた。

ある日、普段着で出かけようとしたら、それまでパツパツだったストレッチデニムのお尻のあたりがブカブカになってた。

私は思わず、喜んでしまった。こんな事は初めてだった。失恋ダイエット。

私の中で、何かスイッチが入った気がした。
せっかく痩せたんだけど、これはご飯を食べてないからだ。これで、また食べ初めたら、リバウンドするはず…。

そこから、私はプロテインを飲み始めた。これなら、固形物でなくて飲み物だし、栄養素もひとまずは補える。

そして、苦手だった運動もしてみようと思い、ウォーキングをやり始めた。
家から5kmぐらい先を目指して折り返して帰ってくる。だいたい1時間ちょっと。

21時前に家に帰れたらやろう!と決めて、仕事も早く切り上げるようになり、週5ほど、ほぼ毎日歩くようになった。

時々、思い出しては泣けてくる事もあり、夜道を泣きながら黙々と歩き続けた。
今思うと、かなりやばい奴だ。

やがて普段の仕事でも、歩く事が苦にならず、少しの距離だと、バスや電車に乗らずに、歩いて移動するようになった。

そんな生活を続けて11月頃、私はすっかり痩せて、以前のスーツや服や下着がブカブカになった。
痩せる途中で体重計を買ったので、スタート時が何kgだったか正確な数字はわからないが、3ヶ月で7kgは確実に痩せた。
仕事では、私が病気なんじゃないかと噂を立てられていたようだ。

身長153cmで、実はLサイズ11号の服を着る事もあったけど、その頃はSサイズで7号の服も着れるようになっていた。

特に嬉しかったのは、当時ロングブーツにデニムインする着こなしが流行っていたのだけど、私は足が太く無理だと思っていた。
それが、余裕で入ったのと、MOUSSYのデニムが履けるようになったのが嬉しかった。

クローゼット総とっかえで、ダイエット貧乏になったけど、全然、嬉しかった。

そして、驚いたのは、痩せてから、めちゃくちゃモテた。
こうも外見で男の人の反応が違うのかと思ったけど、それまで相手にされないだろうと思っていたような人にまで、言い寄られたりもした。

そうしてすっかり痩せた体で自信を取り戻した私の元に、見知らぬ電話番号から着信があり、出ると、なんと私を振ったアイツだった。
正直この頃には他に好きな人ができて、なんであんなヤツと付き合ったんだろうと、思うぐらい、気持ちが無くなっていた。

聞くと、彼の好きなアーティストのライブのチケットが取れたらしく、「一緒に行かないか」というお誘いだった。
私は、「嫁といけよ!」と思ったが、確かに付き合ってた頃に「一緒に行こう」と言ってたのを思い出したのと、痩せた姿を見せつけたいのもあった。

そして、ライブに行ったのだけど、案の定、彼は私の激変ぶりにビックリしてた。

私は、痩せた理由を「失恋したから」と、笑いながら伝え、その日は終わった。
大満足だった。

それから少し間が空き、冬になり、彼からまた電話がかかってきた。

「嫁と仲がうまく行ってない、ヨリを戻したい。会いたい。」

私は、もう怒りにも似た感情が湧いてきて、コンコンと説教した。

「それで親になる資格があるのか?責任持て。子供が産まれるんだから、親としてしっかりしろ!
なに元カノに電話かけてメソメソしてんの?
馬鹿じゃない?もう二度と電話かけてくんな。」

いや、彼にはとても、感謝してるんです。
私の痩せるモチベーションになったから。
でも、私はある意味、こんな情けない男性を夫にすることなく、ふられて良かったなぁと、改めて思ったわけです。

この後の恋愛も、一生懸命好きになっては、うまく行かない事の繰り返しになるんですけど、
そういうジェットコースターみたいな心の動きすら、とても眩く思えて、やめられない。

私はこれからも、傷つくことを恐れずに、今の彼をずっと愛し抜いて、つまづいたらつまづいたで、何かを掴み取って這いあがろうと思う。

※写真はそのダメ彼が激似だったハイウォーの人

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?