尺寸法

昔ラジオで永六輔が面白いことを言っていた。それは尺寸法を復活させようというもの、長さを測る単位として戦後の日本はセンチ・メートルを採用しているが、戦前の尺寸で表記したほうが実生活に即しているしわかりやすく便利だと。

ぼくのいまの仕事=石屋は尺寸方で表記している数少ない職業であり永六輔氏の言うことはぼくには肌感覚でよく伝わる。
例えば、「あの人は背が180センチ以上ある」と言うところを「あの人の背は6尺以上ある」といったほうが感覚的に伝わりやすい。そんなことないと思われるかもしれないがそれは日常的にセンチ単位に慣れてしまっているためで、少ない数で表現したほうが簡単にして明瞭なのは明らか。180センチを「1.8メートル」とか「1メータ80」なんて言い換えても表現が長く複雑になるだけ。
歴史小説によく「身の丈6尺の偉丈夫」とか「3尺5寸の業物を振りかざし」なんて言葉が出てくるが、日本語としての美しさを感じる。

小さいほうでいえば1尺の10分の1「1寸」はおよそ3.1センチで、1センチに比べ視覚的に確認しやすい長さだと思う。1センチは小さすぎる。寸の下の「分」で考えたほうがわかりやすいか。1ミリよりも1分(3.1ミリ)のほうがちょっと大きい分つかみやすいのは当然だろう。事実アメリカなどではインチ法を採用しており1インチはおよそ1寸弱である。だったら戦後インチ法を採用すればよかったじゃないかと単純に思うのだが、当時は当時の事情があったのだろう。

まあ、そんなことをいっても全国共通の単位を変えるなんてことはとんでもなく困難な作業だろうからお金もかかるだろうからね。まずは建設業界が作業範疇で採用し始めれば国云々を通り越して国民に浸透するのだけれど大変なことだろうから無理は言えない。

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