カルト宗教が育んだ愛のゆくえ
母親が送りつけてきた宗教本に目を通したら怒りが收まらないので、「特殊な愛を受けて育った子の理想的な成長」についてアイデアをまとめてみたい。
ちなみに、大人になった今でも、半年に一度くらいの頻度で母親にぶっ殺す、と叫び続けたり、実際に殴り殺そうとする悪夢で目覚める大人に成長した。
幼少期からの母親に対する怒りや不信がとくに解決しないまま、そこに蓋をして押さえつけて大人になったので、腐った感情が時々溢れて異臭がするのである。
なお、ここまで読んだ、物好きなあなたに注意したい。
私は「カルトと呼ばれる宗教を信仰する、不憫な親を持つ子の悲しさ」という平凡な事実を書きたいわけではない。
むしろ、特殊な愛を受け育った子が特殊な成功を納めるシンデレラストーリーの見届人になってほしいとすら考えている。
たとえば、今回母親が送ってきた宗教本で、いかに家庭を大切にすべきか意気揚々と書かれていたのを読み、自分たちの家庭がどれほど踏みにじられてきたかが思い出され、私は逆にこの宗教本の書き手側になるのはどうか、と考えた。
母の信仰の二世として作家になる、表向きはこれ以上ないほど立派な親孝行である。
その実、縦読みの書籍の中に横読みで「お前ら全員死ね」と読める文章を全ページに織り交ぜるなどが実現したいことの一つだ。
死、という言葉を全ページに織り交ぜて他人にポジティブな感情を与える、読み応えのある文章を実現させるということは、物書きとして誇るべき文章力であろう。
そのような特殊な細工を施した文章が、校正校閲をくぐり抜けて印刷される。全国津々浦々に存在する信者の手元に苦労して生んだ私の文章が届く。
そして、ある日誰かが気づくのである。
自分たちの宗教で育った、とある家庭の子どもが今は自分たちの喉元に食い込み、自分たちを媒介して新たな特殊な呪いの種を撒いていた、という恐ろしい事実に。彼らは、特殊なモンスターを自分たちが育てたことを知るのだ。
なんと愉快なシンデレラストーリーだろうか。
このシンデレラストーリーを想像するだけでも、貧困と愛情不足で悲痛な思いを押し殺して死に、地縛霊となった幼少期の自分の呪いがいくらか浄化される。
本当に実現できたなら、自分の呪いだけでなく、他人の呪いも少しは解放できるかもしれない。
親の想像をはるかに超えた、立派な成長を遂げた子の証明とも言える。
もしこれで地獄に落ちるなら、地獄で再会した両親をぶっ殺して一家心中でもすればいい。
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