& episode 019
『理想の結婚生活』
カツレツを取り分けながら、僕はりんに視線を投げかける。
「私は、夫婦で支え合いながら。がいいなと思います。」
ありがとうございます。とりんがカツレツを受け取る。
「セックスアンドザシティのようなきらびやかさも確かに、女性としては憧れますけれどね(笑)
だけど、それは性には合わないなって思ってます。
なかなかロールモデルがないのが本当に残念なんですけれど」
けど、まあ。とりんは続けた。
「男性が奥さんを想うように、私も相手を想って手をつないで生きたい」
世の男性と同じように仕事をしてきた彼女が口にした言葉は、
温かく、しなやかだった。
僕は、『男性が奥さんを想うように』というフレーズが何度も心の中を駆け巡り、そして、くにちゃんやりんをはじめとした彼女たちの謙虚さに脱帽した。
こんな彼女たちを、家政婦にしておくなんて。
そんなこと、出来るわけない。
「結婚しなよ?」
僕は、ありがとう。と、はにかみながら彼女へエールを送った。
もう一度メニューを見ながら、デザートは季節のシャーベットがいいかもしれないね。と口添えをして。
僕が心の中でりんに送った音楽は「スキマスイッチ『青春騎士』」
https://www.youtube.com/watch?v=BcvZeaKKDu4
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