& episode 011
りんはカウンターで信州りんごのジュースで割ったジンをオーダーし、ギャラリーの回覧をしようと言った。
今回の個展のテーマは、「LIFE with clothes」
フォトグラフ、グラフィック、CG、彫刻、プロダクトデザインなど、多様な表現方法で服と生き様を切り取っている。
りんは、一枚のグラフィックの前で足を止めた。
女の子がいかにも好きそうなマカロンカラーでメルヘンチックにまとめられた一枚だ。
「くに子さんも、こういうのお好きなんでしょうか?」
僕も、ふと足を止め絵を見やった。
くにちゃんとマカロンカラー
普段、彼女が着るものはシンプルなものが多い。
まるで個性などを一切主張しないような、シンプルなもの。
ただし、それは外出の時だけで、
部屋着においては、このマカロンカラーのようにお菓子の国のような甘い柄や素材のものを好む。
彼女曰く「こころが欲する」と。
「うん、彼女、大好きだよ。こういうの」
りんはハッとし、驚いた表情を見せる。
「イメージにないですね」
「そう見えるかもしれないね」
「女の子ですものね!」
「そうなんだよ・笑」
このたまらないギャップが、彼女が無意識に人を惹きつける魅力なんだと、僕は心の底からそう感じている。
りんのホッとしたような、小さな発見をした子どものような笑顔に、僕も心が軽くなった。
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