見出し画像

お客が選ぶのか、お客を選ぶのか~お付き合いを断るべき判断基準~

いつの時からか「お客様は神様」と言われるようになりました。「売ってやるよ」「買わないんなら来るな」みたいな横柄なお店もどうかとは思いますが、逆にお客さんの方が「金払ってんだからわがままきいてよ」みたいなことも目に付くようになりました。

整体院においても院とお客さんのお付き合いはなかなかに難しく、身体に触れる整体という仕事ならではのトラブルリスクも常に付きまといます。
整体院経営者としてあるいはスタッフとして、どのようなことに注意し関係を作っていけばいいのか。少し考えてみましょう。


お客さんの立場が強くなってきた

ここ数年の変化として感じるのはお客さん達の立場が強くなってきたことです。

多くの人は自分が欲しい商品やサービスがあればインターネットで検索します。そこには沢山の比較サイトやランキングサイト、あるいは口コミサイトなど情報があり、その中から「コスパの良いものを選ぶ」という習慣が定着しています。
お客さんが「選ぶ人」であり、私たちは「選ばれる人」あるいは「選んでいただく人」という関係性が強くなったのです。

しかしもともとは整体などでは、「先生=怖い人」で少し近寄りがたいイメージもよくありました。「先生・・・腕が痛いのですが・・・」「よっしゃよっしゃみたろ。ちょっとみせてみ」というイメージです。

しかし今どきは「今日はどうされました?」「ちょっと腕が痛くて」「そうですか。ちょっとみさせていただきましょうか」という感じになっています。
もちろん丁寧な接客をすることは大事ですが、あまり丁寧すぎて自分の立場を下げ過ぎると思わぬトラブルを招きやすくなるものです。

整体院でおこりやすいトラブル

どんな業界でもお客さんとのトラブルはありますが、整体院ならではのトラブル、特に注意すべき問題がありますので、二つほど説明しましょう。

予約キャンセル、ドタキャン

地味に経営のダメージとなるのが予約のキャンセルです。
最近はネットで簡単に予約できるサービスが広がっていますが、その分キャンセルもより手軽にできるようになっています。

もともとキャンセル料がかかることが一般的なホテル旅館業界でも、最近はキャンセル料無料の予約サイトなどもでてきたほど。一般ユーザーのキャンセルに対する心理的抵抗は今後も低くなっていくと思います。

しかしやはりキャンセルは経営にダメージです。キャンセルによってその分の売り上げが減少するだけでなく、本来ならばその日時に予約したかった人もいたことでしょう。他のお客さんにも迷惑がかかるし、それがきっかけでお客さんが離れていくこともあるかもしれません。

あまりお客さんを大事にし過ぎて、気軽にキャンセルできるような関係性をつくってしまうのは考えものなのです。

クレーム、過剰な要望

整体院とお客さんの関係が崩れてくると、どんどん甘えてくるお客さんもでてきます。
時間外の予約を求められたり、来院していない普段の生活中でもしばしば連絡がきて返事を求められたり、施術が終わってもなかなかかえってくれなかったり、予約時間に平気で遅刻してきてこちらのスケジュールを狂わされたり、スタッフにしつこく付きまとったり、さまざまな甘えが表面化してきます。

もちろんそういうお客さんは一部でしょうが、その一部の人への対応にかなりの労力やストレスが発生してしまい、院全体のパフォーマンスが低下してしまいかねません。

※整体院ならではの接客問題についても詳しく解説『整体院経営百科』→

https://amzn.asia/d/hvYyicI


【ワンポイント!】こんなお客さんには要注意

お客さんの立場が強くなるにつれ、私たちの負担も増えていきがちなので、あまりにややこしそうなお客さんとは距離をおくのもまた経営のポイントです。

大事なお客さんとの「距離を置く」というのは口で言うほど簡単ではありませんが、お客さん全員と上手くやろうというのはとても難しいものです。傲慢な人は一定数いるものです。他の院で散々トラブルを起こして出入り禁止になってやってくる人もいるかもしれません。

そういう人は、できるだけ早めに見極めて距離を置く方が良いのです。では実際にどんな人が要注意なのか。私の経験から数例ご紹介しておきます。

「わたしを大事にした方がいいよ」とPRしてくる人

例えば「私が気に入ったらたくさんの知り合いを紹介してあげる」というようなことをはじめに言う人です。本当に「良い人」ならこんなことをわざわざ言わず、黙って紹介してくれます。わざわざ言うということは、「私を優遇したら得だから優遇してね」と暗にプレッシャーをかけているのです。

同情を買おうとする人

例えば人より自分がはるかにからだが弱くて苦しんでいると、はじめにみっちりと伝えてくる人がいます。実際に苦しいのだと思いますが「自分だけが他の人よりはるかに苦しんでいる」と思い込んでいる人は、対応を間違うとやっかいです。「自分が一番苦しんでいるんだから自分が優遇されて当然」とそんなふうに思っている人がたまにいるからです。整体の世界には病に苦しむ人も多いですから大事にはしてあげたいですが、注意も必要です。

地位の高さをアピールする人

自分は地位が高くてとても忙しくスケジュールがつまっているからキャンセルもしかたないという、いわゆるエリートさんも要注意です。整体を受ける以上は、エリートもノーマルも一緒です。病気は平等にやってきます。自分はエリートだから周りが自分に合わせるべきとその人が考えるのは自由ですが、あなたが合わせるかどうかはあなたが決めていいのです。まあ本当のエリートは気遣いもエリートなのですが。

頻繁に予約を変更する人

これは非常に分かりやすく距離を置いた方が良い人ですね。例えば平均3回に1回キャンセルするようなら、その人の1回の施術の為に3つの予約枠が消えてなくなるという事です。それをどう捉えるかは経営者次第ですが、経営的にも気持ち的にも負担になるのではないでしょうか。

「前回の施術あと痛くなった」としばしば言う人

前回施術後の反応を確かめるのは整体師として必須です。なんらかのマイナス方向の反応があったと言われたら、その原因を検討し今回の施術で対応しなくてはなりません。それは当然という前提の上で・・・
あまりしばしば「前回のあと○○が痛くなった」としばしば言う人の中には、ややこしい人が紛れている可能性があります。そういう人はもしかしたら「クレームにするかもよ」というプレッシャーをかけている可能性があるからです。滅多にないことですが気にはしておいたほうが良いでしょう。

【対応について】大事なのは観察力と経験。そしてはっきりと伝えること

ではこのようにあなたの院経営にマイナスとなりかねないお客さんをどう見極めたらいいのでしょうか。できれば未然に気付いて対応したいものです。
その方法は実際の現場で一つ一つ確認していくことが一番確実ですが、ここで伝えられる範囲で説明していきましょう。

対応①事前にしっかりとやり取りをする

初来院されるまでに何度かメールやLINEなどで丁寧にやり取りをすることです。送られてくる文面からその人がどんな人か、ある程度見えてきます。配慮がある人かわがままな人か、丁寧な人か雑な人か、あなたの院をどう思っているか。そんなことを行間から読み取るのです。コツをつかむと意外に多くのことがわかるものです。

対応②接客は最大限丁寧に

実際に院に来られたら、できるだけ丁寧に接客してください(もちろんどのお客さんにも対してもです)。人は丁寧に対応されると丁寧に応えたくなるものです。そこから良い関係がはじまります。
こちらが丁寧に応対してもどんどん偉そうになっていく人は要注意かもしれません。そういう見極め方もあります。

対応③できないことはしっかり伝える

お客さんからの個人的要望について、できない、したくないと思うことは「できません」としっかり理由を付けてお断りを伝えます。あなたが伝えた理由に納得してくれたら、その要望を諦めてくれるでしょうし、あなたを対等な関係として認めてもらえる契機になるかもしれません。
一番ダメなのが、「いやだいやだ」「ふざけるな」と内心で思いながら営業スマイルでお客さんのわがままに付き合い続けることです。そんな関係からはストレスしか生まれませんし、関係が悪くなっても良くなることはありません。
できないことについては「こうこう、こういう理由でできません」と丁寧にはっきりと「できない理由」を伝えるのが良いです。

いかがでしたか。地味に大事なお客さんとの関係づくり。そのためにはお客さんが私たちを選ぶだけでなく、私たちもお客さんを選ばなくてはならないという話でした。
ご参考になれば幸いです。

三宅弘晃

整体院経営を学ぶなら〈あかつき〉です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?