民訴の理解がぐんぐん進むストーリー教材 司法書士物語第4話
久しぶりに、司法書士物語(民訴解説記事)の更新です。
「続編を楽しみにしている」とのメッセージをいただいておりましたので、第4話を書いてみました。
第4話 送達
法律子:
先生、送達のところがうまく整理できません。
条文がたくさんあって頭が混乱しています。
ロウ先生:
条文だけ読んでいてもわかりにくいよね。
原告や原告代理人の気持ちになって、
具体的な事例を条文にあてはめてみるといいよ。
ロウ先生:
まず、おさえておいて欲しいのが、
「訴状が送達されることで、訴訟係属となる」
ということだね。
法律子:
訴訟係属ってどういう意味ですか?
ロウ先生:
誤解をおそれずにざっくり言うと、
「訴え提起をすることで、原告がリングに上がることになり、
送達がされることで、被告もリングに上がってくる。」
みたいなイメージだね。
せっかく訴状を提出したのに、送達がされなかったとしよう。
訴訟が係属しないから、いつまで経っても試合が始まらない。
リングに上がっているのは、原告だけ。
原告には裁判所を受ける権利があるのだから、
必ず送達して裁判を進めないといけないよね。
法律子:
裁判を受ける権利、憲法32条ですね。
ロウ先生:
そうそう。よく勉強しているね。
原告が訴状を裁判所に提出し、不備等がなければ、
送達がなされる。
裁判所書記官さんが送達に関する手続きを担当してくれるよ。
実際に訴状を被告に運んでくれるのは、郵便配達員さんだね。
ちなみに裁判所に出頭している被告に対して(別の事件で出頭している場合など)であれば、
裁判所書記さんが自ら訴状を渡すこともできる。
ロウ先生:
郵便配達員さんが被告宅に到着して、インターフォンを押したところ、
被告が自ら玄関先にでてきて、きちんと訴状を受け取ったとしよう。
これで送達完了だね。
法律子:
はい。
ロウ先生:
じゃあ、被告が自ら玄関先にでてきたけど、「受け取る気分ではない」と言いて、訴状の受取を拒否したとしたらどうなる?
郵便配達員さんは、被告の家に訴状を置いていくことができる?
法律子:
できます。差置送達の規定があったと思います!
ロウ先生:
いいね!じゃあ、被告が居留守を使っていたらどうする?
法律子:
居留守ですか。
玄関を開けてくれないなら、差置送達ができませんね。
どうしましょう。
ロウ先生:
そうだよね。
「被告に居留守を使われたから、送達は不可能です。」
なんておかしいよね。
ここで登場するのが付郵便送達だよ。
法律子:
この付郵便送達っていうのが、いまいちよくわからないんですよね。
ロウ先生:
私も受験生のときは、イメージがつかなかったよ。
わかりにくいよね。
インターフォンを押しても応答がないため、
郵便配達員さんはポストに不在票をいれる。
しかし、被告は訴状を受け取りたくない。
不在票に書かれている郵便物の保管期間が経過してしまったとしよう。
そうすると書記官さんから原告に(代理人がいるときは代理人に)
「訴状が届かなかった。」旨連絡が来る。
その場合、現地調査をしたりして、
被告が居住しているか否かを確認する必要がある※。
現地調査の結果、被告がその家に住んでいると思われるときは、
原告は付郵便送達の上申書を裁判所に提出することになる。
107条1項の要件を充たすと判断されると、
付郵便送達がなされる。
この場合、被告に訴状を受け取らせる必要がなくなり、
郵便が発送された時点で送達されたことになる。
法律子:
なるほど。そういうことなんですね!!
条文だけ読んでいても、イメージができなかったので、
とても助かりました。
先生、有難うございました。
ロウ先生:
どういたしまして。
司法書士試験まであと1か月弱だね。
頑張ってね!
法律子:
はい、ありがとうございます!
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