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797日目の「はじめまして」|YOASOBI武道館ライブ『NICE TO MEET YOU』Day2公式レポート

はじめに

みなさまこんばんは。この度、YOASOBI武道館ライブ「NICE TO MEET YOU」Day2の公式レポーターを務めます、っきーと申します。自分でもこの名前の読み方はわかっていませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

今回YOASOBIのみなさまに密着させていただいたのは、当日朝10時前から夜8時過ぎまでの10時間以上。ライブでは見えないYOASOBIの裏の顔(?!)を、たっぷりレポートに詰めてまいりました! ながーーいレポートになってしまいましたが、ぜひ最後までお付き合いください。

それではさっそく、夜の宴に出発です!

ライブを「四方から」支える|テクニカル・リハーサル

朝10時前。会場周辺では急ピッチで準備が行われていました。多数の大型トラック、多数の会場スタッフのみなさん。

まだ開演までは7時間以上、グッズ販売までも1時間あるのですが、人、人、人。10~20代メインではありつつ、もう少し上の方もちらほらいらっしゃいました。子ども連れのご家族が通りがかって、小学校低学年くらいのお子さんが「ええ、あのYOASOBIのライブあるの!」と叫んでいたり。

11時以降グッズ販売が始まると、武道館周辺は早くも大盛況となりました。やはりここでも10~20代が多いイメージ。そして性別問わず愛されているんだなあと感じます。相当な数のレジが用意されていましたが、それでも長蛇の列。ここにいる人たち全員(※)で夜のライブを盛り上げるのだと思うと、昼から感慨深くなってしまいます。とにかく、朝から大盛況の現場です。
※厳密には、チケットのない方でもグッズの事前購入・会場受け取りは可能でした!

一方、舞台内では技術チームによる最終調整が進んでいました。メインステージのディスプレイを、細かくコントロールしていきます。

スモークのあの独特な匂い。スポットライトがきびきびと動いて照らす光。

さて、今回のセットをご紹介しましょう。今日の舞台は、上下に可動するステージが中央に9枚と、それを取り囲むように非可動式のステージが32枚からなります。

中央とサイドすべてのステージはディスプレイになっていて、高精細な映像が映し出されます。さらに計144台ものLEDスポットライト、また中央ステージの下にもLEDライト、その他多数のライトが搭載されていて、まさに演出の可能性は無限大。いい意味で、武道館とは思えない演出の自由度の高さです。

整然と並んだ大量のLEDスポットライトくん、ずっと見ていると小動物的な愛着がわいてきます(?)。144匹の彼らのパフォーマンスは相当重要ですからね、プレッシャーもかなり感じているのではないでしょうか。電磁波クラッシャーikura氏もいるわけですし。おっと誰か来たようだ。

音響も最終確認。音源を流しつつ、記憶してあるシーンを音にあわせて手動で切り替えていました。楽曲の1音1音にあわせるコントロール。この細かい調整それぞれが、ライブの完成度をさらに高めてくれるのでしょう。

ちなみに、LEDスポットライトを大量に一気に動かすとそれなりに音がしますし、ステージ昇降もまあまあ大きな音がしてしまいます。ライブの世界観を邪魔しないよう、それらを使うか使わないか、絶妙な判断が求められているのかもしれません。

ステージの昇降も調整が進みます。特に仄雲氏のブロックは入念にチェックが入っていました。ドラムとの兼ね合いでしょうか。3m近くまで上がります。すごい迫力。

12時をまわると、昼休憩をとられるスタッフさんも多い中、特に楽器の調整が進んでいました。AssHさんのギターも舞台入り。今日のギターソロも今から楽しみです! 

音響チェックも最終段階。「あの夢をなぞって」の音源をつかっての調整が行われていました。会場内の音圧がひたすらにすごい。まあ観客が入ると音は相当人間に吸収されてしまいますから、なかなかこの空の箱の状態でチェックするのも大変なはずですけれども、念には念を入れて、すみずみまで調整されている姿勢が伝わってきます。 

YOASOBIのパフォーマンスを、文字通りあらゆる面から支える舞台・照明・音響技術。今日はどんなアートがみられるのか、期待で胸が膨らみます。

オフYOASOBIとオンYOASOBI|リハーサル

場の準備が整ったところで、ついに直前のリハーサルが始まりました。今日も笑顔あふれるメンバーのみなさんですが、音が鳴った瞬間、一気に真剣になる表情。

ikura氏ことボーカルが到着する前に、バンドサウンドのチェックがくまなく行われます。Ayase氏も微調整に余念がありません。

ikura氏と合流した後は、1日目と演出が変わった部分などを通しで練習。本番さながらの演出も含め、あまりに集中された雰囲気に圧倒されてしまいました。オンオフが非常にはっきりしています。

オフYOASOBIにはゆるさもしばしばみられるのですが、オンYOASOBIはきわめてストイック。リハーサルは数十分で終わったものの、そんなYOASOBIの2つの面がはっきりと感じられた時間でした。

特集1|本番直前インタビュー!

さてさて、ライブを直前に控えたAyase・ikura両氏に、お忙しい予定の合間を縫ってインタビューにご協力いただきました!

まずはAyase氏。

――普段曲作りの際、歌詞と楽曲(旋律)はどちらを先につくっていらっしゃいますか。
旋律からですね。

――ええ、それでよくあれだけ歌詞がぴったりと旋律にはまりますね。
あ~たしかに! でも逆に、歌詞からつくるといい旋律が生まれてこないタイプなので、やはり旋律からつくりますね。

――最新作「もしも命が描けたら」は、はじめて戯曲に挑戦されたということで、物語自体も比較的長く、なかなか苦労されたんじゃないでしょうか。
そうですね、ただやはり長さというよりは原作自体の要素の数が多かったからこそ大変だったのだと思います。登場人物も多いし、起こっている出来事も複雑で多いし。

――たしかに、いわゆるループものですしね。そういう意味では、短編をあえて選んで音楽にしていくというような意識はあるのですか。
最初の「夜に駆ける」をつくったころは、普段小説にあまり触れない人でも触れやすいように、あえて短編を選んだというのはあります。ただ、その曲ぐらいでしょうか。あくまで、YOASOBIの1曲目としてはそれがふさわしかったということですね。

――その後はアニメの主題歌だったりと(「怪物」「優しい彗星」)、さまざまな形態がありますものね。作品の世界観すべてを、3分か4分の音楽にすべて詰め込むAyaseさんのひたむきさには、本当に感動します。
ありがとうございます。ただ、物語のすべての要素をあえて入れない曲もあります。「あの夢をなぞって」には、原作では恋愛と未来予知という2つのテーマがありますけど、楽曲では恋愛にフォーカスして描いていて、未来予知の部分はあまり触れていない。楽曲をシンプルな恋愛ものとして、他の要素は入れなければ、逆におもしろいのではないか。曲を聴いたあとに小説を読んでより物語を深めてほしい、そういうねらいがあるからなんですね。曲によってねらいは違います。

――今後の「小説を音楽にする」なかでの目標などあれば、教えてください。
読み物としての物語を、聴くものとしての物語に変換する。読み物としてそれを読んでも、聴くものとしてそれを聴いても、そのあとに抱く感情が似たようなものになることを目指しています。

――デビューからわずか2年で、アーティストさんの大きな目標となることも多い武道館ライブを達成されたわけですが、今後のYOASOBIとしての目標は何になるのでしょうか。
ライブの規模を大きくしていきたい、たとえば次はアリーナだとか、そういう目標は当たり前にあります。ただそれだけではなくて、小さい規模でのライブもやりたい。2、3千人規模ぐらいのキャパで、ライブハウスでのパフォーマンスもしてみたいんです。Zeppツアーとかやりたいですね。

――たしかに、そのキャパのライブでは、武道館とはまた違ったYOASOBIがみられそうです。今日はお忙しい中、ありがとうございました。
ありがとうございました!

続いてikura氏。

――シンガーソングライターとしても、YOASOBIボーカルとしても活躍されているikuraさんですが、それらの違いをどう意識されているんでしょうか。
幾田りらとしての楽曲は、自分でかく曲なので、何も色をつけたりせずに、自分そのものからできている曲だと思っています。一方で、YOASOBIは「小説を音楽にする」というコンセプトのもと、物語に沿った音楽を奏でているので、楽曲を聴いたうえで、じゃあどういう声がいいのか、どのような歌い方にするのか決めていきます。そこの順番は大きく違いますね。

――それほどまで物語に忠実に紡いでいく姿勢、本当に感動します。今後、どのような物語に挑戦されるのでしょうか。
原作の形も、ジャンルも特に問いません。実際、BEASTARSはもともとマンガだったのを板垣先生が小説にし、それを原作としたものですよね。何も制限はなく、そこに物語さえあれば、なんでも成立するんです。

――そこに物語さえあれば……これからも楽しみです。YOASOBIとしての今後の目標などありますか。
有観客ライブを開催したことで、今回YOASOBIはスタート地点にやっと立てたのだと感じています。今回は、ご時世もあって来てくださるお客さんも抽選で限られていました。これからさらに有観客ライブを行っていきたい。デビューからこの2年、たくさんの方々にお世話になってきました。そういった方々に向けて、音楽を届けたいんです。例えばですが、全国ツアーとかやってみたいですね。

――そのバイタリティーが本当にすごいですよね。いつも元気なikuraさんしか拝見したことがありません。
元気がないときだってもちろんありますよ(笑)。ただ、オン・オフはしっかりつけるように意識しています。ラジオでもテレビでも、なんでもお仕事では常にオンです。一歩でも出たら「ちゃんといよう」と思っているんです。

――オフのときは何をされるんですか。
割とひとりの時間を過ごすのが好きです。オンのときにはこれだけたくさんの人と過ごせているので、逆にひとりの時間がほしくなるんですね。YouTubeをみたり、韓国ドラマをみたり。大食いの方のチャンネルとか、おいしいものをひたすら観るとか、ゲーム実況も観ます。

――以前雑誌のインタビューで、3日間休みをもらっても1日で飽きてしまうとのお話を伺いました。やはり音楽にかける熱意はお強いんですね。
今は特に忙しくて休みはほとんどないですけれど、もちろん身体の疲れなら3日とか休みたい気持ちはあります笑。でも、歌うとかそういうクリエイティブなことは、3日休みをもらったとしても、1日しっかり休んだ後は勝手に体が歌いだしたり、歌詞を書きたくなってきたりするんですよ。こんなにも自然と溢れ出ちゃうほど大好きなものをお仕事にできているのは、本当に幸せだと思います。

――その歌声をこうして聴けるのも本当に幸せです。この後のライブも楽しみにしております!ご協力ありがとうございました。
ありがとうございました!

開演までのひととき

リハーサル後は、メンバーのみなさんそれぞれが、思い思いに過ごされていました。遅めの昼食を召し上がりつつ、雑談にいそしむ午後3時。

この方、「なす」派 vs 「なすび」派の論戦を繰り広げていらっしゃいました。まさか開演2時間前にそこで揉めているとは、誰も思いません。ゆる~いトークで、いつの間にか時間も過ぎていきます。

仄雲氏は、ライブ直前ラジオ体操を開催。これにいたっては開演1時間前を切っています。YOASOBIの強さ、こういうところにあるんですね(白目)。

いや、冗談抜きでメンバーのみなさんの仲の良さを再認識しました。仲が良いだけでもなくて、それぞれを心から信頼しきっていらっしゃるんですよね。控室には開演直前まで、常に笑い声がこぼれていました。

いよいよ開演が近づくと、さすがの「なす」「なすび」論議班も動きが慌ただしくなってきました。ステージ入口に集合し、メンバーで最終確認が進みます。

いつもの円陣を組んで準備は万端。
YOASOBI武道館ライブ「NICE TO MEET YOU」Day2、開演です。

いざ、開演

開演直後、武道館は暗闇に包まれました。オープニングとともに、アリーナまで張り出した巨大なステージのへりが、きらびやかに点滅、点灯。これから何が起こるのか、絶妙に心が躍る音響効果。会場一体となった手拍子。

光のカーペットの上を、盛大な拍手のなか、YOASOBIとバンドメンバーが堂々と入場。心なしか、1日目よりも緊張がほぐれているようにも見えます。

会場全体が、彼らを待っていたんだ。満面の笑みのAyase・ikura両氏。
これでもかというほどカラフルな衣装に身をまとったお二人。最高に映えています。

会場が急に静まりかえったところで、1曲目「あの夢をなぞって」。
夢のようなパフォーマンスが、いま始まります。

M-1 あの夢をなぞって

暗闇の中に、一筋の白い光。照らされたikura氏による、冒頭のソロ。

音の無い二人だけの世界で聴こえた言葉は
「好きだよ」

心から澄みわたった、透明なikura氏の歌声が、巨大な会場すみずみまで響きます。ソロを終えたikura氏の表情がよい。とてもよい。

はじめまして、YOASOBIです!よろしくお願いします!

その合図で、ステージに色とりどりの花火が咲く。12月の夏祭り、開宴です。

昨日に引き続き、Ayase氏の楽器たちは白を基調にまとめられています。それとは対照的なお二人の衣装と、ステージの花火。
楽曲自体も、ライブ1曲目にふさわしい、重すぎないアレンジです。

AssH氏のギターソロも絶好調。これがかっこいいんですよ本当に。表情もよい。こんなに満面の笑みで弾かれたらもうどうしようもありません(褒めてます)。

きれいなハモりも魅せてくれますikura氏。純粋に、きれい。1曲目にふさわしい鮮やかさ。これぞYOASOBIの醍醐味だというところを、余すことなく披露してくれます。

歌い終えたikura氏の笑顔よ。一生ついていきます先輩。

 NICE TO MEET YOU!はじめまして!YOASOBIです!

ikura氏がそう宣言して幕を開けた武道館ライブ2日目。

2日目なんだから「はじめまして」じゃないじゃん、そう言う人がいるかもしれません。でもそうではない、今日も新しい「はじめまして」なのだと、Ayase氏は開演直前に語っていました。

今日だってはじめましてであることに変わりはない。今日は今日としてのはじめましてを届ける。全部、はじめましてのテンションでいきましょう。

YOASOBIのあまりの熱気に、会場も一瞬で温まったところで、間髪入れずに2曲目へ。今日もアッツい夜遊びが始まります。

M-2 大正浪漫

2曲目は「大正浪漫」。遠距離、いや時間軸で100年以上離れた恋愛の物語を、異国情緒ただよう独創的な旋律で奏でます。

さっきまでの表情との差。0.1秒で物語に入り込む6人組、YOASOBIです。

演出がすごい。そもそものMVもすごいんですが、その世界観を今度は舞台上にもってきてしまいましたYOASOBIさん。このユニット、表現の幅に制限なんてないんだと毎回思い知らされます。

和風かつ鮮やかな装飾。目まぐるしく変わる映像は、時を越えて行き交う登場人物たちのメッセージをイメージしているのでしょうか。3D版万華鏡、宝石箱のようなきらびやかさで、2曲目から涙腺が崩壊しつつ。配信なら思う存分泣きますが今日はレポーター、ぐっと涙をこらえます。

元音源からアレンジのきいた間奏をはさみつつ、物語は中盤へ。

中央のステージが上昇し、さらに立体的な演出に成功。ただでさえ鮮やかなセットの中で、カラフルなikura氏がみずみずしく純恋を歌う。Ayase氏が物語を紡ぐ。バンドメンバーそれぞれが踊りながら曲を支える。これほどの美しさが、他にあるでしょうか。

クライマックス、例の144匹のLEDスポットくんたちが本領を発揮します。こんな中にいたらテンション爆上がり、間違いありません。やまもとひかる氏もこの表情。

ちなみに、先ほどの「あの夢をなぞって」と「大正浪漫」は、開演前最後のリハーサルでも特に入念にチェックが行われていました。この2曲にかける想い。命をかけて物語を紡ぎ、かつ観客を祭りで楽しませようとする姿勢が、こういうところからも溢れ出ています。

M-3 ハルジオン

早くもプログラムは3曲目、「ハルジオン」。1秒たりとも休まずに3曲を歌い切ってしまうYOASOBIさん。そうでした言い忘れました、この方々、尋常でない体力もお持ちなのです。下手するとまさかの観客が置いていかれるぐらいの元気さ具合。恐れ入ります。

全体的に白色で統一された演出が、ただただかっこよい。それにあわせてモノトーンのステージ映像。クールな空気の中、常にアップテンポで物語は進行します。

楽しそうなザクロ氏。前日の夜にTwitterでトレンド入りを果たした彼女ですが、今日もテンションMAXで祭りを駆け抜けます。

スモークの中で幻想的なAyase・ikura両氏。涙腺うるうるポイントでもあります。
ドラムス仄雲氏の真剣なまなざしに思わず鳥肌が立ちつつ、物語は終盤へ。

ドローンも登場。美しいステージのディスプレイとあいまって、淡々とクールな演出です。YOASOBIの魅力は実はそこにもある気がしています。

つまり、いくら物語が原作にあるとはいっても、常にその登場人物に入り込んで重苦しく歌うわけではない。物語の出来事を淡々と進める、そういうクールな一面もあっていいのだと思うのです。

YOASOBIの楽曲ではそこが徹底されている。小説を丸ごと音楽にするのであればなおさら、緩急をつけた物語の表現が求められるけれども、そこを毎回見事にクリアしているんですよね。聴いていて心地が良い、飽きない、疲れないというのは、こういう細かい配慮からきているのかもしれません。

M-4 三原色

さ~て3曲もやったしさすがにMCでも入るんじゃないかな~~~と思うも、手拍子コールが始まり会場の盛り上がりも最高潮。何度でも言いますがYOASOBI、体力が鬼です。そのまま本日4曲目、「三原色」に突入します!

もともとリズミカルな手拍子が冒頭から入っている曲ですが、それを観客が担当するという一体感。ライブならではの楽しみ、出てきちゃいましたね~~~。この手拍子のうねりが、会場内の熱気をさらに上げます。

「三原色」、もともととても好きな曲で何百回も聴いているのですが、今回この「三原色」への想いが届いてレポーターに選んでいただいたので、さらにさらに思い入れのある曲となりました。

「色」を音楽で表現するのってめっちゃ難しいはずだよね、なのにこの曲は聴いただけでカラフル感が伝わってくるよねっていうようなことを書いた拙稿も、よろしければご覧くださいませ。

ここまで白色ベースだった照明も、やはりこの曲では三原色に。

バンドメンバーの迫りも上がり、立体感がさらに強調される演出。みてくださいこのザクロ氏の表情!骨の髄から楽しんでいらっしゃるのが伝わってきます。あの熱気、思い出すだけで心が躍ってしまいますね。

原作は「R」「G」「B」という3人の人生をそれぞれの視点から描いている作品ですから、バンドメンバーそれぞれの立つステージがその各々の人生を表していたりとか考えてしまいますね。エモエモ。

 「三原色」の中で、いやYOASOBI全曲の中で個人的に一番好きなシーンがこちら。

 ねえここまで歩いてきた道は
それぞれ違うけれど
同じ朝日に今照らされてる
また重なり合えたんだ

 冒頭から終始カーニバルのようなお祭り気分のこの曲、このシーンで急にしっとりと歌い上げる旋律がたまりません。この直後、転調してクライマックスを迎えるわけですから、本当に束の間のエモエモシーン。

以前のYouTube無観客配信ライブ「SING YOUR WORLD」でも、このシーンは急に舞台が暗転してAyase・ikura両氏が浮かび上がるエモエモ演出だったわけですが、今回もそのイメージは健在。暗闇・スモークの中に、でもはっきりと立つ彼らの姿は、YOASOBIが2年間積み上げてきたものの強靭さを表しているといっても過言ではありません。いやちょっと言い過ぎたかも。いずれにせよ、大好きなシーンのひとつです。

 バンドサウンドとともに、さらに盛り上がっていくパフォーマンス。前回ライブのトップバッターを飾ったこの曲、今回もしっかり存在感を残しておりました!

MC-1

さて、ここで会場はいったん暗転。

4曲をぶっ通し歌いきった人間とは思えぬ元気さで、本日1回目のMCが始まりました。会場を埋めつくす観客に、満足なご様子のikura様。

ikura めちゃめちゃいますね!
Ayase めちゃめちゃいるよ!

どうしてだろう、こんな会話さえも尊いのは。その無邪気さに、会場からも思わず笑みがこぼれます。そのまま、Ayase・ikura両氏の改めての自己紹介と、本日の衣装紹介。 

ここで、ライブ前にAyase氏がおっしゃっていた、今日の衣装にかける想いをご紹介しましょう。

――今日の衣装は昨日とは大きく変わりましたね!
1日目からバキっと変えたいと思って、昨日はモノトーンだったので、今日は派手に、カラフルに行きたいと考えました。それと、「手作り感」を出したかったんです。

――ライブの手作り感ですか。
そうですね。YOASOBIは演出に死ぬほどこだわっています。ただ、そのデジタル的な作りこみだけではなくて、ちゃんと人の手で組み立てられたんだよっていうライブの手作り感もみせたいと思って。

――その手作り感がしみ込んだ衣装と。
つぎはぎで作ったり、あえてほつれさせてボロボロにしてみたり。デジタルでは伝えきれないぬくもりを、この衣装に込めました。

――バンドメンバーの衣装に追加されたバンダナも、この手作り感、ぬくもり感の象徴というわけですね。
そうです。今回、バンドメンバーは鼓笛隊をイメージした衣装に仕上げてもらいました。そして2人(※Ayase・ikura両氏)が指揮者のような役割で。カーニバルとかパレードとか、そういったお祭り気分を味わっていただけたらうれしいです。

――昨日の「大正浪漫」の演出など、まさにお祭り気分で拝見していました。今日もまた新しいお祭りがみられることを楽しみにしております!

 一方で、少ししんみりする場面も。

 Ayase もう始まってしまってるからさあ。もう曲が進むのが名残惜しくなっちゃってるの、こんなまだまだ前半戦なのに。

 まったくの同感です。YOASOBI側近の(?)カメラマンさんもおっしゃっていましたが、1日目は「まだ明日がある」っていう安心感があるけれども、今日はただただ終わりに近づいていくから寂しいと。もうまったくの同感です(2回目)。なんなら朝からずっと、ふとした瞬間にそう思っていました。

でも私たちは「大正浪漫」のように時は越えられないので、今を全力で楽しむしかないわけですね。ikura氏からも、「この1秒1秒を大切に歌う」との宣言が。「今を噛みしめる」、そう言い聞かせて、また緩みはじめた涙腺を締め直します。

Ayase・ikura両氏からのエモエモ話も挟みつつ、「Hava a nice day!」で始まったのは、早くも本日5曲目「もう少しだけ」。フジテレビさん「めざましテレビ」史上初、「もう少しだけ」原作の小説「めぐる。」を題材にした連続ドラマも現在ちょうど放映中で、なんともタイムリーな楽曲でもあります。

 このタイミングで組み込んでくるということは、やはり残るセトリをhava a nice day!してほしいというメッセージが込められているんでしょうか。心機一転、またYOASOBIによる物語が、進みはじめます。

M-5 もう少しだけ

 一気にポップな空気感に変わった武道館。みずみずしいikura氏の歌声と、やわらかいバンドサウンドが絶妙にマッチしています。

ここで中央ステージはなんと階段状に変貌。ikura氏が階段を降りて移動しつつ、ピンスポットライトがその後を追います。各バンドメンバーに寄り添いながらしっとりと歌い上げる「もう少しだけ」。最高of最高of最高のパフォーマンスです。

そういえば、前回ライブでもikura氏は会場内を歩きながら歌われていましたっけ。いろいろなシーンをめぐっていくその様子は、原作「めぐる。」の世界観にぴったり。今回はステージ上をめぐれるよう、曲中でもステージが昇降を繰り返していました。

あのトリックアートでよく見る無限階段が、まさかYOASOBIライブで実現してしまうとは。というか、そこまでして物語をベストな状態で紡ごうとする姿勢に対しては、心から尊敬の念に堪えません。

M-6 ハルカ

6曲目は「ハルカ」。こちらも冒頭から明るい楽曲ですが、ステージ上に映し出されたイラストたちで、さらに空気が和みます。武道館のカラフルな椅子も、パフォーマンスに彩りを添えていて。笑顔が溢れるYOASOBIのおふたりとバンドメンバーのみなさん。

一時は売れ残ってしまったマグカップの一途な物語。「あの夢をなぞって」や「ラブレター」などとはまたまったく異なるやさしさ、ぬくもりが一音一音からも感じ取れます。本当にやわらかい空気感でした。心地よい時間が過ぎてゆきます。

 ハモりも入りつつ、やはり伸びやかな歌声が存分に発揮されているこの曲。ひかる氏のハモりも入りつつ、Ayase氏の真剣かつ楽しそうな表情。アアア推せますね。

前回ライブでは、「ハルカ」は大阪桐蔭高校吹奏楽部のみなさんとの共演だったのでブラスバンドアレンジがかかっていました。リズミカルなメロディーが分厚い木管楽器セクションで奏でられていたのは新鮮でしたねえ。今回はまた異なるアレンジ。当たり前ですけれど、楽器で曲の雰囲気まで大きく変わるのだということを改めて実感します。

M-7 たぶん

照明がしぼられ、うっすらと青く照らされた幻想的な空間。特徴的なギターとともに始まったのは、7曲目「たぶん」。

さよならだ

 こうikura氏がつぶやくと、あたりは暖色の電灯を意識したやわらかい演出に。一つひとつの言葉を丁寧に置くように、淡々と物語は進んでいきます。ところどころのギターソロは今回のアレンジバージョンでしょうか。

全体的に落ち着いたアレンジながら、やはりバンドサウンドが素敵でした。薄暗く、スモークを活かすような演出になっていたのも、原作や楽曲の世界観にぴったり。というか、「少し冷えた朝」、まさにその時間、その空気感が絶妙に表現されています。

しずかに、しずかに曲は終わりました。

M-8 もしも命が描けたら

暗闇の中で、幻想的なSEとともに、ステージ中央が青白く、鋭く光ります。何が始まるのか。さっきまで拍手が溢れていた会場内も、しんと静まり返りました。

舞台の端に、ぽつんと座るikura氏。「もしも命が描けたら」、原作の要約が、ゆっくりと、丁寧に朗読されます。

自分の命を、絶とうとしていたのです

ここの鳥肌。一生忘れられません。

 原作監督の鈴木おさむ先生が抱いていた、YOASOBIはこの楽曲をどうライブで演出するのだろうという疑問。その答えが、少しずつ明かされます。

朗読が終わり、再び舞台は暗闇に。時計の針の音と心臓の鼓動。「もしも、命が描けたら」。それを合図に、ピアノソロから物語が始まります。鳥肌、涙。レポートなので言葉にしなくてはならないのですが、どうしても表現できない心の動きが、この場面にはありました。

 Ayase氏ご本人がこの曲は最高傑作だとおっしゃっていた理由が、曲を聴けば聴くほど、わかるような気がしてくるのです。比較的長く複雑な原作の要素すべてが、3分21秒の楽曲に凝縮されている。鮮やかで、でも神妙で、シンプルなのに全力で訴えかけてくるあの空気。

しかも、この楽曲がすごいのはその物語の進行スピードに緩急があること。ぬくもり感と白いクール感が交互にくる。

この世界と
さよならしよう

と同時に、ものすごい速度で物語が進んでゆきます。その後も絶妙な駆け引きがあって、最後はピアノの1音で静かに終わるのです。個人的に今もっともアツい作品。原作小説を読んでからもう一度聴くと、涙腺崩壊必至だと思います。ぜひに。

MC-2

さて、ここでMCを挟みます。恒例、バンドメンバー紹介です!

まずは前日夜にTwitterでトレンド入りを果たしたザクロ氏(キーボードほか)。本番直前のインタビューでは、2日目は絶対に1日目を超えていかなきゃいけない、それをファンのみなさんも期待しているはずだとのコメントをいただきました。気合10000%で2日目も演奏されています。

そしてミラクルボーイ、AssH氏(ギター)。各曲のギターソロ、今日もかっこよいです。「今までで一番の武道館ライブを目指す」、そう意気込みを語ってくださいました。

つづいてピンクの髪がチャームポイント、やまもとひかる氏(ベースほか)。直前にいただいたコメントは「ぶっとばーーーす!!!!!」一言なんですけれど(???)、ステージ上では打って変わって真剣なまなざしが。そのギャップにも注目ですね。

最後に仄雲選手(ドラムス)。直前の意気込みは「舞え、武道館」。非常に、非常に仄雲氏らしいコメントをいただきました。何をおっしゃっているのか聞き取れなくて、何回も大声でこの意気込みを言わせてしまったのも、今となってはご愛嬌(ごめんなさいお許しください)。

ikura氏私物のフィルムカメラでの記念撮影などもありつつ、次第にライブは後半戦へ。

しかしなんとなく、前日よりもゆったりしたMCだったように思います。終わってほしくない、そんな気持ちが無意識にはたらいていたのかもしれません。もう一生これが続いていてほしい。

さて、そんな気持ちを吹っ飛ばすようにikura氏によるコール。そのテンションのまま、9曲目「夜に駆ける」に突入します。

M-9 夜に駆ける

みなさまご存知のYOASOBIデビュー曲。しかし何百回、何千回、いや何万回聴いても飽きがこないのがこの曲の魅力のように思います。今回もバンドアレンジが効いていて、会場の盛り上がりも最高潮です。

そして目玉は藍にいな氏が手がけるこの演出。MVの世界が、またまたステージに降りてきてしまいました。これにAyase氏、バンドメンバーの演奏と、ikura氏の堂々とした歌唱が合わされば、完璧な夜に駆けるワールドの完成!

 ちなみに、にいな氏ご本人にも当日お会いすることができました。YOASOBIメンバーととてもとても仲良くされていたのが印象的。最近では「ツバメ」MVもにいな氏が担当されていますが、早く次のコラボも拝見したいですねえ。あの世界観、本当に毎回楽しみです。

ピンクとエメラルドグリーンのレーザー光が激しく動きつつ、メンバーのみなさんも会場内もノリノリ。あっという間に終わってしまいました。

M-10 怪物

さて、休む間もなく怪しげな前奏。真っ赤な舞台。悲鳴。
そうです、「怪物」の時間がやってきました。

前回ライブのときもその演出に驚愕したわけですが、今回も凝りに凝られております。踊り狂うバンドメンバー、熱狂的な観客の手拍子とともに、怪物がゆっくりと動き出します。

 いやあikura氏の表現力も本当に素晴らしいですよね。1曲ごとにガラっと変わる表情、声色。何かオーラまで操っているような気もします。
そしてサビでは炎まで登場。物理的な熱感も伝わってくる演出です。

この間、配信ではドローン映像をふんだんに使った激しい切り替わりも。終始薄暗いながらも、きわめて力強いパフォーマンスが繰り広げられました。

本当の僕は何者なんだ
教えてくれよ

 の「教えてくれよ」、鳥肌が止まりません。そしてその直後の展開部、急に幻想的な演出に変わります。スモークの中に浮かび上がる6人。

ikura氏の歌声にもさらに熱が入ります。AssH氏のギターソロも見どころ。激しく動く仄雲氏ドラムも圧巻です。 

割れんばかりの拍手が送られて、怪物は暗闇の中に消えてゆきました。
ただ熱せられた観客のテンションは少しも下がることなく、次のセトリに移ります。

M-11 優しい彗星

「怪物」とは打って変わって、文字通り優しい歌声が響きました。11曲目「優しい彗星」。先ほどの「怪物」がアニメ「BEASTARS」のオープニング主題歌、そしてこの曲「優しい彗星」がエンディング主題歌に起用されるという異例のタッグ。

瞬時に空気感を変える力を、たしかに彼らはもっています。

 ステージには広大な宇宙を表現した映像、それにさらにスモーク。まるでスモークが雲海のようにみえて、幻想的な空間が広がります。

そして観客もスマホのライトで参戦。武道館全体が一体となって「優しい彗星」の世界観を表現する、やはりこういうものは無観客では実現しようがないものですからね。

ikura氏がステージのへりに座って歌唱されるのもエモエモでございました。

M-12 Epilogue

さて、そのままEpilogueへ。

この先もずっと、どこまでも。音楽が鳴り続けていますように。

M-13 アンコール

ザクロ氏のキーボードと、ikura氏の寄り添うような歌声から始まるこの曲。お二人がアイコンタクトをとりながら、一言ずつ紡ぎ出してゆく様子が印象的です。

先ほどの「ずっとどこまでも音楽が鳴り続けていますように」という願いは、実は「アンコール」にもかかっていたのではないでしょうか。

世界最後の日に偶然出会った2人が、最期の最期まで音楽を鳴らし続ける。それと今のご時世、なかなか音楽を鳴らせない日々が続いていることとをかけたのだとしたら、YOASOBIのみなさんの音楽を奏でるということへの強い想い、あるいはコロナの時代を乗り越えて今日武道館ライブを開催できたことへの大きな歓びが、この一言に詰まっているような気がしてなりません。

こういうゆったりした楽曲だと、ikura氏のみずみずしい歌声がより魅力的に聴こえますね。

舞台の演出はシンプルながら、ぼんやりと明るい雰囲気で、しっとりと物語が進行していきます。引き続き、観客ライトによるエモエモ演出は続きます。

M-14 ツバメ

さて、今回のセトリも残りあと2曲。14曲目は「ツバメ」。

NHKさんのSDGs番組「ひろがれ!いろとりどり」マスコットキャラクターとして活躍される、5人のこどもユニット「ミドリーズ」とのタッグが実現したこの曲。本番前のインタビューでは、Ayaseさんがこんなことをおっしゃっていました。

――2年連続紅白出場を勝ち取られ、本当におめでとうございます。さらに幅広い年代から愛され、国民的ユニットになっていくのだと思いますが、特にどの層をターゲットにしたいといったことはありますか。
どんな年齢層の方が聴いてくれても嬉しいですし、あえてどこをフォーカスして楽曲をつくる、などということはしていません。
ただ特に、小学生とかに聴いてもらえるのは本当にうれしい。小学校中学年とかって、今から青春に飛び込んでいく時期じゃないですか。自分自身もその期間に聴いた曲って今でも聞くとエモい感じがして。その曲がYOASOBIのものっていうのは、やはりうれしいですね。

――とすると、「ツバメ」はかなり近い層がターゲットですよね。
2、3歳の子が「ツバメ」を聴くと踊り出す、みたいな話を聴くと本当にうれしくて。

 そんな子どもたちの夢までも乗せて、ステージには大きなツバメが映し出されます。

Ayaseさんからのメッセージ。

本当に後悔のないように、すべて目にしっかり焼き付けて、……最後まで楽しんで帰ってください!

この1文に、Ayase氏の想いが、願いが相当こもっているのだろうというのは、表情からもよく伝わってきました。それと同時に、YOASOBIのお二人やバンドメンバー、スタッフのみなさんのライブにかける想いが走馬灯のように頭の中を駆けまわって(私死ぬんか?)、改めてものすごいイベントが、幕を閉じようとしていることに気づかされます。寂しさが急にこみあげてきても、涙をぐっとこらえる。目にしっかり焼き付けないといけませんからね!

原作は「小さなツバメの大きな夢」。そのコンセプトどおり、小さな1羽のツバメ視点で、物語は進んでいきます。

ミドリーズとのハモりが楽しめるシーン。今日はミドリーズはいらっしゃいませんが、バンドメンバーとの掛け合いも新鮮で楽しい楽曲です。AssH氏の安定の笑顔。

手拍子で一体となった会場。美しい旋律を、のびのびと歌い上げるikura氏。藍にいな氏のMVをもとに再構成された演出。

そしてステージにはドローンからの映像が映し出されるわけですが、これって飛んでいるツバメ視点の映像なのでは…?とか考えてしまうと、エモエモで涙が止まりません。

M-15 群青

今回も、ラストを飾るのは「群青」でした。

前奏が始まると同時に、ikura氏からのメッセージ。

最後はみんなでひとつになって、終わりましょう!

会場中が手拍子に包まれて、最後のプログラムが始まります。
水面のような舞台。やはり青を基調とした幻想的な空間が表現されています。

エモエモなバンドアレンジですが、これも前回は吹奏楽部との共演だったので、今回新鮮なアレンジを楽しめます。ポップで明るい旋律。前に、前にいくリズム。ただただ、心地よい空気でした。

 バンドメンバーの最後まで楽しんでやるぞという気概がひしひしと伝わってきます。

あとは楽しむだけだ

この一言で感極まって涙がこぼれかけるikura氏。前回ライブのラストも、Ayase氏の「あとは楽しむだけ」という言葉で始まっていますからね。この言葉にかける想い。デビューから2年、さまざまな出来事が一瞬にして溢れだしたのかもしれません。……みたいなことを考えていたら私まで号泣しました。ウッウッウッ

ドローン映像も、前回ライブを思い出させる角度(前回は170名あまりの吹奏楽部員を、今回は1万人あまりの観客を映像に収めています)。最後にこのエモさはずるいです。本当に。

涙をこらえながら、でも最後まで堂々と立つおふたりの姿。
最後まで楽しそうに奏でて退場していくバンドメンバーの姿。

YOASOBIが2年間積み上げてきたもの、きっと我々はまだその1億分の1も知らないのかもしれないけれど、しかし彼らがいかに大きなことを成し遂げたかは、この武道館の空気から存分に感じ取ることができました。

アンコール

YOASOBIメンバーが退場するやいなや、アンコールの手拍子が響き渡る会場。12月の夜とは思えない、熱い熱い祭りになったことは間違いありません。

しばらくして、メンバーの再入場と同時に、嵐のような拍手が巻き起こりました。グッズTシャツやパーカーを身をまとったメンバーのみなさん。宴はまだ終わりませんね!

この空間には愛しかないなと思って

まさに同じ想いです。愛を核にして、すべてのメンバーとスタッフさんがともに作り上げてこられたこの2日間。それに360度から愛を送る観客。でもやはり当たり前だけれど、その愛の核の、さらに中心にいるのはYOASOBIのおふたりなわけで。「小説を音楽にする」、そのコンセプトで小説と音楽、映像、美術、あらゆるものをつなげてくれたのも彼らなわけで。今までつながりようもなかったたくさんのもの、人を紡いでくれたのも彼らなわけで。改めて、深く深く感謝と、最大限の尊敬をお伝えしたいと思います。

楽しみだからこそ、始まったら終わってしまうってことを考えて

これ、先述しましたが本当にこの日ずーーーっと、Ayase氏もカメラマンさんもスタッフさんもおっしゃっていたことです。開演直前、それこそ17時半の円陣も、このしんみりモードで迎えていたYOASOBIチーム。そして少しずつ長くなっていくMCからも、名残惜しさは手に取るように伝わってきました。でも幸いなことに、まだ今日は「はじめまして」のライブです。私たちはみんな、「二度目まして」ライブを心の底から待っています。

 では、まいりましょうか。

「NICE TO MEET YOU」、本当のラストは「ラブレター」。
……愛じゃん。追い愛(?)じゃん。こんなにさらに愛をいただいちゃっていいんでしょうか。

ENC ラブレター

FCで募集していたサプライズメッセージがステージに。
愛を歌い奏でるYOASOBIと、彼らに愛を送るファンとで、もう愛が渋滞しています。

もう、これ以上は言葉にできません。誰かが言っていたけれど、人間の感情ってすべては言葉で表せないから。だから音楽をつくるし、絵を描くし、それを聴いて、観て、心を温めていくのだと思います。

ただひとこと、ikura氏の言うように、あの瞬間の武道館は、愛と感謝にあふれた世界一素敵な空間であった、と記しておきます。

 ああいつも本当にありがとう

こちらこそ、本当に本当にありがとうございました。最大限の愛を、感謝を。

今日いちばんの拍手とともに、メンバーが退場。

ステージ消灯。

どこからか「ツバメ」が流れて。

抱擁するYOASOBIのみなさん。

メイキング映像。

エンドロール。

ついに終わってしまったんだ、その実感が少しずつわいてきます。

最後に楽屋から、満面の笑みを浮かべたメンバーのみなさんが映って終演。いや、終宴とでも呼ぶべきでしょうか。

ikura氏が叫んでいたように、「またどこかで、必ずお会いしましょう!」
本当に、感動をありがとうございました!

特集2|本番直後インタビュー!

今回の密着レポートでは、終演後のAyase・ikura両氏にもお話を伺うことができました。フレッシュなお気持ちを、そのままお送りします。

――まずは、いまの率直なお気持ちをお聞かせください。
Ayase 本当にあっという間に終わってしまったなあと。そしてまだ当面次のライブもまったく決まっていないので、普通に寂しいという気持ちです。ただ、無事終えられたという安堵感もすごいありますね。
ikura 大きなチームで大きな出来事を成し遂げることができたな、そしてみなさんからの期待にも応えられたんじゃないかなという達成感が一番です。

――本当に、感動をありがとうございました。Ayaseさん、今日は涙をこらえたんですか。
Ayase
 基本的に僕、もらい泣きするタイプなんですよ。昨日はザクちゃんにやられたし。
ikura 群青のところで泣いちゃったときに、「Ayaseさんももらい泣きしちゃったら誰がこの場をまとめるんだ」って思って、Ayaseさんの顔を見ないようにしていました。私の責任が!って思って(笑)。
Ayase たしかに、あの瞬間見てたらもうダメだったかもしれん(笑)。涙はたまりにたまってましたけど、昨日は俺が泣いたから、そして今日はりらちゃんがもう泣いたから、どっちかは泣かずに、みんなで笑顔で終われるように、というのはありました。

――楽屋からの満面の笑みのシーン、素敵でした。YOASOBIって本当にコンパクトだなあと。メンバー間の距離が近くて、すっごい仲が良くて。何かその仲の良さに、秘訣などはあるんでしょうか。
Ayase & ikura
 う~ん、なんだろう(笑)。
Ayase でも僕らだって誰とでも仲良くできるわけではないし、やっぱり偶然というか、奇跡的な出会いなんだろうなと思いますね。

――ikuraさんも、「みんな何者でもないけど偶然集まってYOASOBIがスタートした」っておっしゃってましたね。
Ayase
 そうやってこう、僕とikuraがいて、スタッフがいて、バンドメンバーがいてっていう核から広がる感じで、本当に奇跡的に仲良くやれているというか。楽しく切磋琢磨できていて。そしてそれを見てくれた他のスタッフさんたちにも、自分でいうけど、そういうやさしさみたいなのが伝播しているような気がしています。僕らが核にいての現場なら、どこでもにこやかにやれる自信はありますね(笑)。

――その和やかさ、やさしさ、楽しさがパフォーマンスにもにじみ出ていました。
Ayase
 これからも楽しくやりたいですね。またYOASOBIと一緒に仕事したい!って思ってもらえる現場にしたい、というのは常に思っています。

――スタッフさんの表情も生き生きとしていました。今日はお疲れのところ、本当にありがとうございました!
Ayase & ikura ありがとうございました!!

おわりに

小説から音楽に、映像に、美術にと、小説をさまざまなアートと結びつけてきたYOASOBI。今回、小説から紡ぎ出されたもの(パフォーマンス)を、また文章という形に「戻す」という貴重な体験をさせていただきました。

Ayaseさんのお言葉を借りるなら、本来はライブを見た後の感情と、このレポートを読んだ後の感情が似ていないといけないんでしょうけれど。

そんなもの無理に決まっています。言葉ではどうしても表せない心の動きが、この日のライブには詰まっていました。愛だって、感謝だって、このレポートで書いた何億倍もの気持ちが、YOASOBIのみなさんからも届き、私たち観客からもYOASOBIに届けられたのではないかと思っています。

それでももし、このレポートでそんなライブ特有のわくわく感、臨場感を思い出したり、楽しんだりしていただけたならば、私は本当に幸せです。長文レポートを最後まで読んでくださったみなさまに、心から感謝申し上げます。

そして何よりも、YOASOBIのみなさま。感動をありがとうございました。この機会をくださったスタッフのみなさまにも、とてもとても頭が上がりません。本当にありがとうございます。

YOASOBIにしかできない新しい芸術をまた現場で体験できることを、心から、心の奥底から願っています。さらに叶うなら、今読んでくださっているあなたと。一緒にYOASOBI、推していきましょう!

これからのますますのYOASOBIの発展を祈って!

YOASOBI武道館ライブ「NICE TO MEET YOU」Day2 公式レポート、完。


カメラマン:Shinsuke Yasui


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