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最近の記事

真面目で繊細な君が損するこの世界で

私の両親は、私がJKだった時に離婚している。 華のJKである私に、母は、男なんて男なんてと言い続けた。 おいおい、青春時代真っ只中(彼氏募集中)の娘にそんなこと言っていいのか?と思いつつ、うんうん、そうだよね、お父さんはひどいよね、と私は懸命に母に寄り添った。 そして、ある程度愚痴を吐き出すと、母はスッキリとした顔をする。 まるで、母の味方がこの世界で私しかいないかのような目。 恐怖。なぜ? なぜ、私が母の味方であることが怖いのだろうか。 それとも、私以外に母の味方がいな

    • 青の花園

      お前の世界と俺の世界。 人間は誰しも、一人一人、自分の世界を持っている。 何が普通で、何が変なのかはわからない。 でも、俺の世界が「普通でない」ことは確かだ。 「友達たくさん出来ますように!」 「………」 「俺の名前の由来。友達!たくさん出来ますように!!」 「…………うるさい。」 大学の入学式。俺と長谷は、晴れて同じ大学に入ることができた。 長谷はともかく、俺はよく頑張った。 長谷はともかく。こいつは天才だからだ。 俺はとにかく勉強ができない。 勉強をしようと机に向か

      • 夜のままで

        僕には好きな人がいる。 2つ上の、大学の先輩だ。 先輩と僕が所属する文学同好会では、毎週火水金曜日、部室に集まり、雑談したり、読書会をしたり、小説を書いたり、お菓子を食べたり、雑談したり雑談したり雑談したりしている。 文学同好会と言うよりは、雑談同好会の方が正しいかもしれない。 (なんて言うと、部長に叱られるので言わない。) ある日の昼休み。次の授業の教室への移動途中。 校舎の前では、サークル部員たちが一生懸命ビラを配っている。 桜の花は散っていて、葉をつけ始めていた。

        • 幽霊

          私はもうすぐ死ぬ。 心音が遠のく。 握られた手は強ばり、声は遠くなる。 この世に結び付けられていた糸がプツリと音を立てて切れ、身体はあの世へと投げ出される。 宙に浮いた身体、魂。 私は死んで、きっと幽霊になって、49日の間、この世をさまようのだ。 その間、きっと悲しむ両親や妹を眺めて、胸を締め付けられるような思いに駆られるのだろう。 ……と思っていた彼女だったが、そんなことは忘れて、知らぬうちに塵となり無となり、知らぬうちに転生した。 とある若夫婦の、長男となった。

        真面目で繊細な君が損するこの世界で

          繊細と繊細

          1ヶ月ぶりのデート。 初夏のじめじめとした空気と、刺さるような熱い日差しの中で君を待つのは幸せだ。どうかしている。 待ち遠しい待ち遠しい、夏が待ち遠しいと風が鳴るのを聞いていると、君は少し小さくなりながら「お待たせ」と言い、やってきた。 「そんなに待ってないよ」とは言うものの、かなりの時間突っ立っていたこと、君にはお見通しだろう。 ということを、僕はお見通しだ、というか、まあ、そんなことはどうでもいいのだ。 普段はパンツスタイルの多い君だが、今日は珍しくレース地のワンピー

          繊細と繊細