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アファンディ通りの家へ

5月にジョグジャに訪れた時に、いくつかの家を見せてもらったが、いずれも帯に短しタスキに長しでしっくりくるものがなかった。希望はカンポンの住まいである。とはいえ家賃や規模、安全性も重要な要件である。ガジャマダ大学はRC造の低層中層の集合住宅を提示してくれたが、生活や地域と切り離された住まいに住むつもりはもとよりない。まちの暮らしを実感したいのである。今回の滞在は、これまでの自身の研究の蓄積を一歩前に進めるための機会である。インドネシアの地域や住まいの実態を実感することは研究の深化ためにも重要である。

5月の物件巡りをアテンドしてくれたのは、ジョグジャのアトマジャヤ大学のアグン先生である。あーでもないこーでもないと言う中で、家の2階が空いてるから住んでみてはどうかと控えめながら提案を受けた。家の周りにはいくつかの大学があり、昔から家の2階部分は周辺の大学に通う学生に貸していたという。コロナを迎えて賃貸をやめていたというが、今後再開するために家の中に階段を設置するなどして動線を分離する工事をするという。とはいえ再開を急いでいるわけではないから、しばらくの間借りてもらってもいいとのことであった。

二つ返事というわけではないが、契約の手続きや家具の購入など色々考えると、しばらくの間貸してもらえるのはまさに渡りに船である。結局しばらくの間貸してもらうことにした。

数ヶ月の間に、階段の設置やお願いしていた寝室へのクーラーの設置工事も終わっていた。寝室一部屋ともう二部屋を自由に使って良いという。かつて共同で使われていたであろう台所や水浴びスペースやトイレも占有させてくれるという。ありがたい話である。廊下からはすぐ先に建つ方形(宝形)2重屋根のモスクが見える。周辺にはパダン料理屋をはじめ定食屋的な店が多くある。北隣はコインランドリーのイメージで洗濯機を借りて自分で洗濯ができる店舗である。路地を挟んで南隣はふわふわのパンを提供するパン屋である。前面のアファンディ通りが若干うるさいが、まさにまちなかの住まいである。

住めることを確信して、持参した荷物を整理した後、学生たちと合流するためカウマン地区へ向かった。240816

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