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ザ・スーサイドスクワッドが最高だった件(ネタバレ有)

お久しぶりです。去年聞いた音楽を解説した以来の更新だでよ。ちなみに全曲解説は終わってない。諦めました。

今年の夏も結局、海にもいかず、バーベキューもせず旅行もせず、降り続く雨ニハマケテ、おうちでゲームしながらTwitterで旅行してる都民の悪口いってたら終わった。
だって、みんな思考回路停止してインスタに越県報告するんだもん、そりゃ地方民からしたら悪口止まらんだろ。こっそり行けばいいのに揃いも揃ってストーリーに上げてて、今年で俺26歳だけど怖くて泣いちゃった。
自分も承認欲求高いほうだと思ってたんだけど、比じゃないレベルで承認欲求の化け物が周りに増えてて怖かった2021年夏でした。完。



完じゃないのよ。

まぁとにかく最近、最高のエンタメ作品を2本連続で見てきたんですよね。
1つ目はザ・スーサイドスクワッド
2つ目はフリーガイ
どっちも僕の見てきた映画の中で上位に食い込むレベルでやばい作品だった。

そもそもお前が言う''最高の作品''って何やねん?

僕が思う最高のエンタメ作品って、大抵はメタ目線で物事を捉えちゃう僕ら大人が享受したその瞬間10歳に戻る作品なんですよ。目の前で起きている事以外を考えられなくなって『わぁ、何この映像すごーい』『ロボットかっこいい…』『お化け怖い…』くらいの語彙力になっちゃう感じ。
逆にいくら計算され尽くされた素晴らしいものでも、見てる途中から『ここがこういう仕掛けになってるのか!』『ここは計算されてつくられてるなぁ』って思っちゃうのは良い作品止まり。

漫才に例えると、良い作品は和牛の漫才で、最高なのはトムブラウンみたいな。余計わかりにくくなった気がするし、和牛にめっちゃ失礼だな。

絶望的に語彙力が無いんだけど、なんか分かってくれます?

で、この夏に見たザ・スーサイドスクワッドとフリーガイは最高の部類に入る作品だったってわけ。
しかもこの2作品はどっちもアメリカ資本をふんだんに使って圧倒的物量と壮大な世界観をぶつけるタイプ。これぞハリウッドみたいな映画。

今回は、特に好きだったスーサイドスクワッドについての感想を。
フリーガイは暇だったら書くけど、多分書かない。

【ザ・スーサイドスクワッド】

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みんな大好きジェームズガン監督のDCコミックス初作品。
本編を語る前に、彼がそうしてこの映画を撮ることになったかを説明する必要がある。
ガンはディズニー傘下のマーベルスタジオで別のヒーロー映画を作っている途中だったんだけど、アンチから過去の倫理を逸脱したヤバいツイート(小児愛やら人種差別)を掘られてしまい、コンプラガチガチのディズニーに『こんなヤバそうな奴いらんわ』って解雇されたんですよ。
んで、途方に暮れてた所にワーナーが『いくら掛けてもええから、うちで最高のヒーロー映画作りや〜!』と助け舟を出して出来た映画がこのザ・スーサイドスクワッドってわけ。ワーナー、マジ良いやつじゃん。ベスフレ。
それに比べて本当に最近、米ディズニーのクソさが際立つ事案が多いですよね。学校に1人はいる親が金持ちなだけの潔癖症の嫌味なやつ。チョベリバ。

まぁアメリカクソネズミの話は置いておいて、あらすじはざっとこんな感じ。

政府に招集された14人。彼らはいずれも終身刑クラスの“クッソやばい悪党”であり、たった10年の刑期の短縮と引き換えに“ミッション”への参加を強制される。それは、とある独裁国家で進められている極秘「怪獣」プロジェクトを阻止することだった。

要は凶悪犯罪者が政府に無茶なおつかいを頼まれるお話ですな。
この映画の何が最高かと問われたら、正直監督の選択全てとしか言いようがない。
いつものごとく音楽の選曲も最高、マーベルでは決して出来ない大規模映画にエログロを持ってくるナンセンスさも最高、カラフルな視覚効果を使ったアクションの見せ方も最高(ハーレークインの戦闘シーンとか)、コメディとシリアスの塩梅も最高。ぜーんぶ最高だからこそ、どの場面も飽きる事なく没入してみる事が出来たんだけど、特に最高なのは監督自身の反省を通して愛で全てを包み込む脚本。

ネタバレしちゃうと、この悪人チーム計14人中8人が死にます。どんな映画だよ。
んで、この死ぬか生き残るかには法則があって、生き残るメンツは悪事は行うけれども信念や独自のルールを持っていて一定の倫理的なラインを超えないんですよね。例えば、ハーレークインは子供や女性には手をかけない一方で、映画の序盤で小さい鳥を無慈悲に殺したサバントというキャラは頭が吹っ飛んで即死という。
悪人の中でもより倫理観がバグっている奴らは酷い死に方をして、逆にそこを弁えている奴らは生き残る。
つまりこれって、過去に自らが投稿した倫理を逸脱したツイートや思想に対して、今現在の彼が『反省』を示した映画なんですよね。
しかもエログロなんでもありの映画で、倫理観に基づいた線引きが明確に行われている事でより彼の伝えたい事を際立たせている。ジェームズガンという男は、それをストーリーを展開させていく中で違和感なくやってのけるんですよ。

そんな自身の反省を通して悪趣味な笑いを交え、味方がバンバン死んでいく中でストーリーは進んでいくんだけど、最強の悪人をもってしても倒せないキモカワな巨大怪獣が出てきて大苦戦を強いられる。そんな中で最後まで立ち向かうのが、手に持ってるライトを使って大量のネズミを操る能力を持つラットキャッチャー2。

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大量のネズミが巨大怪獣を倒していく中で、ラットキャッチャー2とネズミを操るライトを発明したタイカワイティティ演じるお父さん(ラットキャッチャー1)とのホームレス時代の回想シーンへと移るんだけど、そこでの会話がこちら

娘『なんでネズミを操ろうと思ったの?」
父『ネズミはこの世の底辺にいて最も嫌われてるけど、ちゃんと生きてる。私たちと同じだ。』

っていうシーンがあって、絶望的な実力不足で伝わってないと思うけど、劇中歌・圧倒的な映像美・ラットキャッチャー2役のダニエラ・メルシオールの演技も相まってそこで大号泣。改めて見返してみても、なんて素敵なセリフなんだ。

そして、あれだけの役者が揃っておきながら、映画のクライマックスで底辺の嫌われ者であるネズミが力を合わせて巨大怪獣に立ち向かい世界を救うんですよ
あれだけエログロのエゲツなかった映画が、最終的にジェームズガンお得意のどんなはぐれ者も包み込む愛の物語になってるんや、うおおおおおお!!!

しかもしかもしかも、これディズニー(ネズミ)に向けた求愛メッセージでもあるんですよ、絶対そうなんだ。。。(完全に深読み)
マジでジェームズガン天才でしょ😭×2021

文句の付け所が無い今年の大傑作。。。

ちなみに映画好きからすると、イラク戦争を行ったアメリカに対しての痛烈なメッセージも含まれているらしいんだけど、そういうのはよく分からん。
でも、これからは知ってる風で喋ります。

あれはアメリカに向けた痛烈な批評映画です。

めちゃくちゃグロくてキモい描写はあるけど、見終わったら全キャラが愛おしくなって泣いてるそんな映画。脚本だけじゃなく映像がとにかくカラフルで素晴らしいので、ぜひ劇場の大画面で。



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