ミッドウエスト2022訪問記

みなさまお久しぶりぶりです。
自身の環境が変わったり、そんな感じでこちらも全く記載ができずでした。

さて、と、言うわけで3年ぶりに帰って参りましたシカゴ。一昨年は苦渋の中のオンライン開催、そして昨年は現地での開催。日本人が昨年行くのは大変ハードルが高く、見送っていましたがだいぶ規制も緩和され、久々のシカゴとなったわけです。

規制も緩和された。といってもまだまだハードルは高いのです。
アメリカ入国にはブースター(ワクチン)摂取2回、日本に至っては3回の摂取が求められます。それが出来ないと当地でのPCR検査を受け、日本のフォーマットの検査報告書を提出しなければなりません。水際対策という意味では日本が厳しく管理されてるという感じでしょうかね。
そこに、アメリカ入国にはESTAと接種証明となる宣誓書の記入、日本はVisitJapanWebへの登録が必要となります。
宣誓書に関しては出国時の各航空会社への荷物預けの際に回収、VisitJapanWebに関しては出国時の荷物の預けの際に口頭確認、帰国時のパスポートチェックの前にアプリの画面を目視確認を行います。
来年の同じ時期にはどうなっているかわかりませんが、コロナ前と異なり事前準備が必要な項目が増えています。結構疲れますが、事前の準備さえ頑張れば大丈夫です。と、なるとブースターを打たない(打てない)方は現状、渡航は難しい状態です。
ここのサイトがなかなかよく纏まっております。

https://www.tokutenryoko.com/news/passage/12849#attestation

と、前振りはともかくとして、規制はあるものの、ようやくいけましたシカゴ。
マコーミックは新型コロナ初期、療養施設としての役割で利用されて、それを超えての通常営業。ミッドウエストの表示を見るだけでグッど来てしまいました。
おかえりなさい。ミッドウエスト。
マコーミックのエントランスにある昇りが色々な記憶を思い出させます。


そうそう。今回は恒例のシャトルバスを使わないctaを利用しました。グリーンラインのマコーミックプレイス駅から歩きました。ループのエリアから大体10分弱でしょうか。グリーンラインは朝、少し遅れますがバスを使うより相当コストは押さえられます。
マコーミックプレイス駅からは歩いて10分ほど。コンサート会場のマコーミックウエストはマコーミックプレイス駅から最寄りなので、感覚的にも近く感じます。3年ぶりの来場だったので、ホテルもmetolaマコーミック駅にあるだけだったハイアット以外にも北にマリオットホテルなど新しいホテルや何軒か食事場所やコンビニもできていて、マコーミック周辺も街として広がりを見せている様です。とはいえやはりループ周辺には劣りますが。

→ 今年はシャトルバスに乗車するために「パス」の購入は不要でした。フロントに確認したところ、今年は「パス」は必要なく、名札があればだれでも乗車可能との事でした。だから別のホテルに宿泊している人が、名札を見せてバスに続々乗っていました。
とのお話をJBA副会長の井上学先生からお伺いしました。なんか狐につままれた気分です。

さて、本年のミッドウエストは4日間の開催でしたが、いつもの日程とは異なる月曜スタート。色々と毎年恒例のスケジュールがずれていた様です。
パンデミックで客足が鈍る。というのはどこの国でも同じ様でミッドウエストも、シカゴ響ですらお客さんが戻ってこない。という有様。心なしかミッドウエストも少し寂しいかな。という雰囲気はありましたが、とはいえやはりアメリカ全土から集まる最大級の吹奏楽イベント、各地から同窓会の様な雰囲気を醸し出す感じがとれて見えます。

内容として変わったのがコンサート=クリニックの割合がコンサート<クリニックになったことでしょうか。海外のバンドはともかく、小中学生のバンドが出ないとそれだけボリュームは縮小されますね。おかげで、聴ける公演も増えましたが、絶対数としては大きくコンサートの数は減っています。クリニックはどうしても英語のウェイトが多く、日本人にはハードルが上がりますね。

今回は色々な事情で初日の夕方から3日目の午前中の参加でした。このスケジュールですと、3つくらいしかコンサートも聞けないのですがそこはやむなしで。
この会期で日本人が一番楽しみにしているアメリカの軍楽隊の演奏は今年はnavyが担当。初日の朝にあるチェンバーは聴けませんでしたが、コンサート#1を拝聴しました。navyの実演は初めてでしたが、CDの印象とは異なり、吹奏楽のスタイルを持ちながらさまざまなチャレンジをしているように見受けられました。
マーチでは、障害を持った児童に2人の介助者を連れて、バンドの中で演奏。これは3年前にも中学生のバンドであった内容でしたが、国のセントラルバンドが率先して受け入れをしていく様は、色々と考えが良い方向に変わっていく様を見たり、メイン曲のヴィエット・クオンのvital scenesでは弦楽器を加えたセプテット+バンドという、PAを用いた新しいサウンドの試みなど、新鮮な内容と、トラディショナルな響きを見せる姿に関心を集めました。やや、曲に偏りがちな面もありましたが。

会期中、一番最初に聞いたのがローンスター高校ウインドシンフォニー。グレード2から5のレパートリーを幅広く取り上げ、そのほとんどが日本には馴染みのない出版社と作曲家陣。各作曲家のタイトルのネーミングにアメリカらしさを感じさせるわけですが、ステファンソンのwildcat runはオープナーとして心を鷲掴みにさせます。日本でもお馴染みのワイン〜もたいへん熱演。会場にマッキーも登壇して興奮した様子。アメリカの高校生が取り上げるのは珍しそうでしたが。直後に設定された自身のクリニックに颯爽と会場を走り去って行きました、

二日目は本当にタイミングが合わずで結局アメリカ空軍エアマン・オブ・ザ・ノートのみ。それ程までにコンサートの絶対数が少ないのです。参った。
PAは入っているものの、トランペットのプレスなど、見せ場はたっぷり。どんな曲でもこなすぜ。と言わんばかりのグルーヴ感はお見事。コロナ前から続いている新曲の作曲コンテストは続いている様です。例年インターナショナルの吹奏楽団体が出る枠でタイミングが合わず聴くことが出来なかったのですが、今年はこの枠に吹奏楽団体が入らなかったため、ようやくフルサイズで聴くことができました。

この日、日中から4日目の天気が相当やばいストームに見舞われるというニュースが流れていました。ミッドウエストもその影響を懸念して前代未聞の4日目が中止に。3日目のブースも17時終了予定が14時終了と、なんだか周辺が騒がしくなりました。

その4日目のファイナルコンサートの予定していたベイラー大学が2日目の夜2130からのスタートで変更となりまして、個人的には聴ける予定が無かったため、この移動は大変ありがたかったのですが、2130とは。終わり23時回るけど苦笑
このプログラムで一番注目はやはりジョンマッキーのクラリネットコンチェルト。ジュリアン・ブリスを念頭に置いたクランポンの最高級モデルディヴィンヌをタイトルにしてしまうあたり。直球笑
曲想はいかにもマッキーらしい雰囲気、3楽章は色々な曲のパロディが出てアメリカ人大爆笑。ここら辺で大笑いできるのがお国柄かなあとも。それにしてもブリス君、いや、もうそんなお年頃じゃない。ブリスさんうますぎ。
もう一つありました。注目曲、ゾエ=タンのシンフォニア。本年度のABAオストワルド賞を受賞した作品。
時間の関係で全曲演奏は叶いませんでしたが音の構築感が素晴らしく、今までのオストワルド賞作品から一風変わった作品。ちょっと玄人向けかなと思いますが多様性を重んじる作品が選ばれるのも面白く思います。
オリジナルはクォン、ドゥーリーにアレンジが古典の祝典序曲にエルザ。いかにもアメリカの大学生らしいプログラムで、なんか懐かしさを感じさせてくれました。

と、3日目の午前中はコンサートも間に合わなそうにもなかったので、今回は4つのコンサートを聞くことができました。

続いてブースです。
こちらは変わらずの出店数でしたが、大御所、barnhouseが出展しておりませんでした。ベテランの作曲家勢が不在のミッドウエストも寂しいですね。スウェアリンジェンもハックビーもいらっしゃらない、、色々な事情もあるのでしょう(後述しますが)。無論、最大勢力であるハルレオナルドやマンハッタンビーチ、ブラボー(ブレーン)など変わらない場所に変わらない会社もありますが、どこか寂しいのはいつもの場所にいつもの会社がいないからでしょうか。
そして一番変化を見せたのが各種サンプルCDの配布がなくなりました。全盛期からみたら5/1以下です。出版社はスコアにQRコードが入り、大学などはyoutubeに誘導、そして軍楽隊や作曲家はデジタルアルバムを作る時代になりました。とはいえ、やはりお客さんは現物を頂く方が喜んでいそうでしたが。

最後にレパートリーの流れをチラッと。
出演数が少なくなった。という話は前に触れましたが
、その影響か、ヨーロッパの作品はもちろんのこと、邦人曲も吹奏楽での演奏はありませんでした。(→すいませんブルックリンWSさんが天野作品を取り上げておりました(未聴)、こちらも井上先生、ご指摘ありがとうございました)
レパートリーも3年経つと大分様変わりしたようで、マーフィーミュージックの出版譜が一番多く取り上げられ、作曲家ではpaul dooley、Viet Cuongの作品が複数取り上げられていました。変わらず人気なマッキーは取り上げられていましたが、常連のティケリ作品は一曲も取り上げられずじまい。もちろんbarnhouseの作品たちも取り上げられず。さて、これが流行り廃りなのか、アメリカ全土の流れなのかは来年のミッドウエストで答えが出るのでしょう。少なくとも数年はアメリカのレパートリーが中心でミッドウエストは組まれそうな気がします。


コロナの中、2年目の開催となったミッドウエストクリニック。コロナと向き合いながら進めていく姿勢がよく分かりました。日本同様に客足が伸びないまま、この先を模索する。そんな雰囲気を多く感じ取りました。1年後の光景がどうなるかはなんとも言えませんが、来年のミッドウエストの開催がアメリカの現状とイコールするのでしょう。ぜひ、この様な情勢でハードルは高くなってしまいますが、現地でその空気を感じてもらいたいと思います。

内容の修正や校正は後日行うかもしれませんが、とりあえず、ここで一区切り。筆を置きたいと思います。

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