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壷阪健登 : 注目の日本在住ピアニストvol.1

壷阪健登のソロ・デビュー作が完成した。

漲るエネルギー、自身のピアノを問う気概に満ち、彼のピアノからパッションと創造性が溢れ出してきた。ジャズクラブで偶然彼を聴き、ソロでの演奏を勧めたという小曽根真氏でさえ、その時自らプロデュースを買ってでるとは思っていなかったかもしれない。

その期待に応えるようにして、壷阪は今作に収録したほとんどの楽曲を書き下ろした。

例外として「With Time」は、バークリー音楽大学在校時に作曲し、録音もした。学生時代から彼を知る筆者にとっても、今作での彼のピアノはフレッシュで、かつ迫力をもって迫ってきた。

嬉しいのは、ジャズというカテゴリーに自らを閉じ込めることのない自由と、ジャズでしか成し得ない即興演奏の妙が、演奏内で自然に合体していることだ。

壷阪さん自身が語った。

「真摯に自分自身と音楽に向き合った結果、生まれた曲に関しては、潔く受け入れてくれることができるだろう、たとえそこに何かのリファレンスが感じられたとしても、必要以上にジャッジせずに世界に送り出せるだろうという想いから制作したものです」。

音楽への没頭力にも優れた彼だが、それ以上に音楽への献身が嬉しい。5月には東京フィルハーモニー交響楽団と「ラプソディー・イン・ブルー」を共演、成功させた。

ジャズ・ピアニストとしては、コンボ、ピアノ・トリオにもしっかり取り組みたいと言う。楽しみばかりの、壷阪健登である。 


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