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金利:公定歩合は変えていない

2023年に学びたいこと 経済 テーマとして消費税を書こうと考えていたが
1月10日中には記載が終わらないボリュームになっていたため、日銀の金利について記載する

経済学の分野 しっかりとしたマクロ経済を学べていない私は間違えた情報を受け取ってしまうことがある。マクロ情報、政策を正しく読み取りたい。

特に公定歩合が変更したわけではないのに「金利があがった」と勘違いしてしまったので改めて12月20日記者会見を整理したい。

一次情報:黒田総裁 日銀定例会見

議事録
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2022/kk221221a.pdf

今回発表があったのは、長期金利・・・違う。長期国債の金利の設定幅の増加だ。
実質金利が増えることになるということが各種質問されているので原文をあたるとよい。

世間では、金利が上がるというニュースや噂として広がっているとのことだ。私も、そのように考えてしまったが、もう少し言葉を整理していきたい。

用語

イールドカーブコントロール

これがなんやねんだね。

2016年に日銀が作成した運用手法なんだと

イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)は、2016年9月の日銀金融政策決定会合で日銀が新たに導入した政策枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の柱のひとつ。
2016年1月から始めた短期金利のマイナス金利政策に加え、10年物国債の金利が概ねゼロ%程度で推移するように買入れを行うことで短期から長期までの金利全体の動きをコントロールすること。
日銀は指定する利回りで国債買入れを行う指値オペレーションを新たに導入するとともに、固定金利の資金供給オペレーションの期間を1年から10年に延長することによりイールドカーブ・コントロールを推進する。

野村証券 証券用語解説集

さて。日本語では長短金利操作。金利操作のことだ。金融緩和の柱の一つと記載がある。アベノミクスの展開の柱そのものじゃないだろうか。

平成24年が第二次安倍内閣。平成24年は2012年。少々違うか。
調べると日本銀行自身が変遷を述べている。

面白いのは日銀ホームページにはアベノミクスの言葉は一切出てこない
唯一以下くらいだ

今回はっきりと発言されたのでサイトにはなくてもこれまで多く発言されていたのだろう。

2013 年以降、ご案内の通り、政府と日本銀行は共同声明に沿って、必要な政策を実施してきました。そうしたもとで、わが国の経済・物価は着実に改善し、デフレではない状態を実現したわけでありまして、現時点で共同声明を見直す必要があるとは考えておりません。

2022年12月20日 日銀総裁 記者会見より

なお、私自身、連携しているのはわかっている。ただ、学習で研究課題のようにまとめているので改めて確認している。そう、一次情報にあたったことがないのだ。人が解説したもの、教授に教えてもらったものばかりに触れ知ったことだったので、生情報に触れているし、自身の学習記録の面でも記載している。

YCC

=イールドカーブコントール
「YCC」で会話され始めてちんぷんかんぷんになった。郵政省の運用とか、健保運用とかいろんなことを考えてしまった。

イールドカーブ

文章ではよくわからない。言葉をさらに分解する。カーブなのだから多分グラフだろう。

素晴らしい。図だ。

大和証券 金融・証券用語解説 [イールドカーブ]より

金融緩和時が現状。今回の黒田総裁の記者会見は、スティープ化されたという発言に他ならない。
実際の利率をあげたではなくて幅を設定した0.5%までOKということ。国債を発行するさい。長期国債=10年が、0.5%を付けることもある。ということ。0.25%よりは長期買って欲しいということ。短期国債がどれくらいなのかはわからないが、これを引き上げたということ。実際に上がるかはわからない。
わからない・・・?
ちなみにイールドとはyieldで、金融界では利回りと訳されるようだ。収穫量(=収量)とか、生産量など業界ごとに利益を上げるものに対して使われる英語のようだ

「指値オペを毎日する」

長期国債の利率は、実際にあがるのだろうか。これに関しては、オペレーションの幅であるということだから、実際にあがる。これに対して明確に次のように黒田総裁は会見で述べている。

具体的には、国債買入れ額を大幅に増やしつつ、長期金利の変動幅を、従来の±0.25%程度から±0.5%程度に拡大することとしました。また、10 年物国債金利について、0.5%の利回りでの指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日実施致します。

2022年12月20日 記者会見議事録より

「指値オペ」とは、株取引の時の用語だがこれは、日銀側の発言。これはすごい。国債と言われる、資金を集める「債権」と呼ばれる方法。10年後に0.5%の利子をつけてお金を返しますよということ。いつ変わるのかではない。この発表以後、+0.5%という利率を指定したうえでこれを買いたいと「指値」をしてきた方に対してすべて販売しますと言っている。

国債を買える方は主に証券会社や銀行。日本人の一般国民は買えるかというと実は買えない。銀行が買った国債を国民は買っている。つまり物価の上昇にあわせてや国際情勢(戦争にかかること)にあわせる形での国債発行を行うと言っている。

実質の金利の上昇になるのだろうか

なりえることはある。それが思ったことだ。公定歩合を利上げしたわけではない。しかし、銀行や証券会社が金融資産を構成しているのは国債はかなり大きい。これの金融資産を元本として各種運用しているのだから何らかの金融商品への作用があると考えて差し支えない。
しかし、金融商品である個人ローンや法人ローンとはそこまで直結はしない。どちらかというと他の指標や情勢との相関で影響がでると考える。これ一つで、貸付金利が上がるとは考えるものではない。

しかし、報道がおかしい個所を一つ見つけた。

読売新聞記事を引用する

 金融市場は、日銀が金利上昇を容認したとして、金融緩和策の修正とみなした。発表直後、長期金利は従来の上限である0・25%程度から一時0・460%まで上昇した。金利上昇は企業や家計の利払い増加につながる。今後、住宅ローン金利などに影響が及ぶ可能性がある。

「日銀が事実上の利上げ、黒田総裁「賃上げしやすくなる」…住宅ローン金利上昇の可能性も」読売新聞
(2022/12/20 23:40)

該当の質疑応答箇所を記者会見で見つけた

読売新聞のヤマウチと申します
(問)
今回のYCCの運用見直しが景気に与える影響についてお伺いしたいと思います。今日の段階で長期金利は上限の 0.5 の手前の 0.4%台まで既に上昇しておりまして、この金利上昇で企業の借入金利ですとか、個人の固定型の住宅ローン等に影響が広がるとも予想されます。市場機能改善という目的があるにしても、そういう悪影響も懸念されると思いますが、この点について総裁どのようにお考えか教えて頂けますでしょうか。
(答)
まず第一に、短期の政策金利を-0.1%、10 年物国債の金利目標をゼロ%程度というYCCの基本は全く変わっておりません。そういう意味で、経済に対する刺激効果というか、経済成長を促進し、経済の拡大を図っていくという効果に基本的な変更はありません。また、こうしたYCCの運用の一部の手直しによって、企業金融への波及がよりスムーズに安定的に起こるということで、景気にはむしろプラスではないかというふうに思われます。またいずれにせよ、これは公表文等で申し上げていることではありませんけれども、ご承知のように年初の頃は物価上昇率 1%未満でしたか、その後ウクライナ戦争その他を経て国際的な商品市況が上昇し、また夏にかけて非常な円安が進んだということもあって、輸入物価が大幅に上昇し、消費者物価への転嫁ということで、足元、消費者物価の上昇率は 3.6%まできています。それよりも何よりも、物価上昇期待というか、予想物価上昇率自体も上がって
きております。ということは、名目金利が同じでも実質金利はどんどん下がっていまして、実は景気拡大効果というか、景気刺激効果がより強まってきているわけです。そうしたもとで、このイールドカーブの歪み、その 10 年のところを是正することが何かイールドカーブ・コントロール全体の効果を削ぐとかいうことは全くないというふうに考えています。

2022年12月20日 日銀総裁記者会見より

対象個所の時間を仕込んだ動画リンクも置いておこう

黒田総裁の受け答えも悪いと言える。何をこたえているのかわけわからない。しかし、読売新聞記者は冒頭から「長期金利」と言っている。私も住宅ローンの金利の30年物とかそういうことを考えた。それが長期金利だからだ。
しかし、黒田総裁は一切それを肯定していない。個人消費上プラスになることはあるがとか刺激を与える趣旨はあるとだけ答えている。

私は悲しいかな、この新聞記事やそれを解説した素人のノイズ論評を読んでしまって意識をコントロールされたと言える。

日銀の存在意義

そもそも社是は何なのか。そういったことにも触れている。

日本銀行法では、日本銀行の金融政策の理念を「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」としています。

2%の「物価安定の目標」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」
日本銀行

知らなかった。物価の安定が法律で定められているのだ。日本銀行の経営理念たる、金融政策の理念だった。

(通貨及び金融の調節の理念)
第二条 日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。

日本銀行法 第二条

国債はどれくらいの資産構成比率か

これは調べる先が多すぎるというよりもたどり着くのが難しそうだ。2つほどピックアップして終える。よき資料があれば教えて欲しい。
東京三菱銀行関連で

三菱UFJフィナンシャルグループ 中間決算 2022年9月のIR
https://www.mufg.jp/dam/ir/presentation/2022/pdf/slides2209_ja.pdf

銀行自体の保有資産2022年9月末時点
保有資産で、さらに保有有価証券は33.6兆円。そのうち 10年超え国債は1.4兆円、5年超え10年国債は4.6兆円
長期金利がどちらを指すかわからない。長いほうだけ(1.4兆円)での比率で、3.8%。両方で16.5%(6兆円)。

三菱投資信託銀行

http://apl.morningstar.co.jp/webasp/pdf/prospectus/2000020801_P1_20210508.pdf

資産配分が書いてあるがこれは参考には程遠いかもしれない。保有資産で顧客への販売も行っているのかはっきりしない。でもまあ多少の参考になる。

第360回利付国債(10年) 債券 国債 日本 1.3%
第354回利付国債(10年) 債券 国債 日本 1.2%
第166回利付国債(20年) 債券 国債 日本 1.0%

三菱UFJ ライフ・バランスファンド(安定型)

参考になるのはまず、国債は20年があるということ。バランス型では3.5%の比率。

第360回利付国債(10年) 債券 国債 日本 0.9%
第354回利付国債(10年) 債券 国債 日本 0.9%
第166回利付国債(20年) 債券 国債 日本 0.7%

三菱UFJ ライフ・バランスファンド(安定成長型)

次の金融商品では、比率が2.5%である。
選択的構成をできるファンドからすれば比率は自由だ。長期国債が個人に与える影響は包括的に話されるものではない。これと住宅ローンは関係ないとかなり言い切れるが。

せめて、リート関連だけでも見てみる。東京三菱銀行のリートはなさそうだが。

https://j-reit.jp/download/brand_file/53_9922227272212.pdf

三菱地所物流リート投資法人
債券保有者は東京三菱銀行だから筋は一緒か。

保有物件数 32 テ ナ ン ト 数 97 総 賃 貸 面 積 1,109,785.78㎡

三菱地所物流リート投資法人
保有物件数より

国債の長期金利が住宅の投資に使われるリートの中にそもそも入っていない。なぜ住宅ローンに関係するという話になったのだろうか。

まとめる

実際に、法人ローン、住宅ローンが変動した箇所があったら教えて欲しい。事実ベースでみるべきものが他にあるのだろうが、つたない知識ではそれを探し当てることはできていない。


#今こそ学びたいこと



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