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音楽と共に蘇る過去の思い出

私は通勤時間に音楽を聴くのが好きだ。
高校生の頃に買ってもらったSONYのウォークマンを未だに大事に大事に使っている。理由はiPhoneの充電を減らしたくないから。笑 でも最近は現代人らしくLINE MUSICのサブスク会員になって流行りの曲を聴いたりもする。

音楽は自分の歴史になっている。
当時の感覚と今の感覚が同じままではなく、もちろん違っていることもあり、曲の捉え方や曲に纏わる思い出の認識が変わっていることだってある。最近あぁ、なつかしいな…と感じたことがあったのでお話ししてみようと思います。


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「ふっかつのじゅもん」/sumika

もう5年も前のことだけど、当時私は久しぶりに好きな人ができた。今まで出会った男性の中で一番長身でイケメン、漫画やゲームが趣味で、音楽はバンド系の邦ロックが好きな人。私と正反対だった。4回目のデートでドライブをしたとき、彼のiPhoneで好きな曲を流してもらった。

「俺、sumika結構好きやねんな」

隣に座る綺麗な横顔はそう教えてくれた。
最近はポップでキラキラした曲が多いけど、この「ふっかつのじゅもん」はロックな感じで好きらしい。その後もsumikaの他の曲や、他のバンドの曲を流していたけどほとんど私には分からなかった。

その彼とは何回か会ったけど、なかなか付き合うまでには発展せず、痺れを切らした私が人生初の 告白をかまして見事にフラれ幕を閉じるのでした、、、彼にとって私との時間はデートだと思われてなかったんだろうな。めちゃめちゃ辛かったな。
フラれて人生どん底だった私を救ってくれたのがラジオでした。流行りの曲をカウントダウン形式で流したり、リクエスト曲が流れる音楽番組を朝から晩まで毎日聴いていろんなアーティストの曲を聴き、彼の好きなsumikaも他のバンドも分かるようになっていた。


それから半年経った頃、私はライブハウスに向かう道中にいた。sumikaのライブに行くのだ。


すっかりファンになり、友人がライブに誘ってくれた。あの時一曲も分からなかった私がグッズを買ってライブを観ようとしている。そして今立っているこの場所はちょうど一年前に彼とデートの待ち合わせをした駅だった。
彼との思い出の場所に今の自分がいて、彼が好きだった歌手のライブに今から向かおうとしているこの状況はあまりにも心臓に悪くてさすがに感傷的な気持ちになってしまった。だけど前を向いて成長しようとしている自分がちょっと誇らしくも感じた。


「メロンソーダ」/aiko

さきほどの彼にフラれ、ラジオ三昧だった頃によく流れていた曲。大阪のラジオ番組、FM802の春のキャンペーンソング。皮肉にも彼の好きなジュースは「メロンソーダ 」だった。デートの時よく頼んでいたな。こんなことでも私の古傷をえぐってくる。
あの頃は何度も泣いて部屋にこもっていた。でもせっかくの春だから!と無理やり前を向いて新しい出会いに期待を膨らませようと努力していた気がする。

あの春から4年、「メロンソーダ 」を聴きながら大きな扉の前に立つ私と夫がいる。
私たちは2月の終わりに結婚式をした。春のテーマソングにぴったりで、新しい門出をそっと見守ってくれるような曲だから、披露宴の再入場のBGMに選んだ。

隣にいるのはあの彼ではないが、私は最高の運命の人に出会えた。
記憶はきっとこれからも蘇る。忘れることはないと思うけどそっと心の奥にしまっておこう。今の幸せを大切に噛み締めながら。

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