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何者でもない自由だったあの頃

25歳になったとき、一人暮らしを始めました。

会社は実家からでも余裕で通える距離だったけど、今出なきゃ絶対後悔する!!という強い気持ちで部屋探しに奔走した。


私は親離れができていない。
そして親も子離れができていない。


うちが過保護すぎることも、それが窮屈でたまらないと感じていることもうっすら気づいていた。かと言って自分から進んで家事を手伝うわけでもなく、世話焼きの親に甘えっぱなしの毎日だった。だから自立の意味も込めて、早く自分の部屋がほしかったし、好きなことをして好きに時間を過ごせる自由な居場所を手に入れたかった。

親元を離れて(と言っても二駅くらい。笑)
自分は人としてかなり未熟であることを痛感する。何もかも頼りきりだったから仕方ないんですけどね。

一人暮らしをして、始めたことが2つある。

まず、料理。

自分で食材を買って保存して調理する。親が当たり前のようにしていたことが、こんなにも体力と時間がもっていかれるなんて知らなかった。でもとても楽しかった。
小さい頃からレシピ本を読むのが好きで、お菓子だけはたまーに作ったりしていた。料理も、あぁ、こんなご飯食べたいな。私ならこのレシピ作れそうだな、と思ってはいた。思ってはいたけど、母に「これ作って!」とは言わなかった。たぶん言えなかったんだと思う。

一緒に作ればよかったのに、と今なら思うけど、母の料理を手伝うために私がキッチンに入ると途端に喧嘩になるような人だった。手伝って!と言ってるのに強い口調でダメ出しされるし、料理中ずっと母がイライラしてるのを感じる。だからキッチンには一緒に並びたくなくて、無意識に避けてたのかな。

1人でキッチンに立つ私は機嫌がいい。食べたいものを好きに料理できるこの時間が楽しい。それは、夫と結婚した今も変わらない。
ちなみに夫は、私と付き合ってから料理の楽しさに目覚めた男。笑
次は私が教える立場になるのだけど、なるべく注意はしないように、優しく、褒めて褒めて褒めてを心掛けていたら、どうやら上手く導けたらしい。料理は2人の共通の趣味になった。


もう一つは、ラジオ

一人暮らしは家に帰るとどうしても寂しさを感じてしまう。部屋がシーンとしているのが苦手だと友人に話すと、ラジオを薦められた。速攻でradikoというアプリをダウンロードし、音楽好きの私にもってこいのFM802を聴き始めた。(私は関西人です)

朝と夜に聴くラジオは日課になり、日常になった。

当時よく流れていて気に入ったのが、King Gnu「白日」、Official髭男dism「Pretender」、ビッケブランカ「Ca Va?」、あいみょん「ハルノヒ」「真夏の夜の匂いがする」、星野源「Pop Virus」、今をときめくMrs. GREEN APPLE「ロマンチシズム」

などなど数えるとキリがない。バンドの曲をあまり聴いてこなかった私の音楽の幅は大きく広がって、毎日とても楽しかった。
好きになった曲は、LINE MUSICにプレイリストを作っていて、今でもたまに聴いたりする。
そうすると意識、感覚が完全にあの頃へ引きずり戻されてしまい、心が大変なことになる。

大阪での暮らし。自由で楽しい毎日。好きな時に寝て、起きて、ご飯をたべて、本を読んで、恋人と長電話して、デートの予定を立てたこと。金曜日の夜はほとんど飲み歩いててよく終電で帰ったこと。寂しくなったり、落ち込んだ時にはラジオから流れてくる音楽やDJさんのテンションに救われたこと。


あぁ、あの頃に戻りたいなぁ……


忙しなくすぎる今の生活、19時を回り、発車したバスに揺られる帰り道、ぼんやり窓の外を眺めながら涙ぐんでいる自分がいた。

結婚を機に地元だった関西を離れ、東海地方に引っ越して新しい職場で働いている。あの頃よりも1時間早く起きて、通勤時間は徒歩15分から電車とバスで1時間になった。
晩ごはんは毎日作るようになったけど、大好きな夫の帰りは22時〜23時。平日は家事が疎かになってしまうので、残ったタスクを土日にこなす日々…


なんだか毎日疲れている。

あの頃の自分は何者でもなくて、ただただ楽しくて未来を夢見てイキイキしていたなぁ。自由で気楽で少し孤独だった。
大好きな人と結婚して、仲良く暮らす、自分がずっとずっと望んでいた夢が叶ったのに、どうしてこんなに暗い気持ちになってるんだろう。

幸せはいっぺんには手に入らない。
過去のおかげで今の自分がいるのは紛れもない事実だけど、うしろを振り返ってばかりせず、今をしっかり見て生きていかないとなぁと思います。

料理のレパートリーが増えて手際も良くなったのは今までずっと料理を続けてきたから。
過去の自分に感謝して、これからもずっと楽しみながら続けていこう。

また心を揺らす音楽が流れてきたときは、過去を懐かしむ。あぁ、あんな時もあったね。あの時の自分も好きだったな。少しは成長できたかな?と思えるように、心にゆとりを持ってまた明日から一日を始めていこうと思います。

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