チャットワークのビジネスの現状と今後の戦略
今回はチャットワークの決算を見ながらビジネスの基本構成とターゲット市場、さらには今後の展開としての vertical horizontal 戦略、DXソリューション戦略(ビジネスチャットを起点としたクロスセル戦略)について見てみたいと思います。
今回の画像は、チャットワークの決算資料より抜粋させていただいております。
決算説明資料_2022年12月期 第3四半期(グラフ修正) https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS04681/542388d3/829e/477b/a8be/bab81e5a8cf3/140120221111564480.pdf
チャットワークの事業概要
ビジネスチャットを中心に展開している
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市場規模
TAMを6,500億円と定義。すべての労働人口に有料プランが導入された場合の想定。
その上で、またビジネスチャットの浸透率が低いため、エマージングだと説明されている。
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KPI
登録IDはフリープランを含めて560万
課金ID数は60万(有償化率が約10%)
ARPUは540円
ARRは、ARPUと課金ID数から考えると32.7億円程度
解約率は、0.4%(課金IDのみであれば1.0%)
LTVは、およそ5.4万円*粗利率(67.5%) = 3.6万円
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成長率
未だにCAGRは30%以上
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業績
4半期売上、11.6億に対して、67.5%が粗利。
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今後の戦略
まず中小企業のNo.1ビジネスチャットへ向かった後に、ビジネス版のスーパーアプリ化を志向(様々な機能を内包したアプリへ)
その後、まだ未導入の企業が多く市場は大きいとしており、ここから更に売上上昇を見込んでいる
ポイントは、ビジネスチャットの切り替えコストを考えて、はじめてのビジネスチャットとしてどう選んでいただけるかがポイント(広告宣伝の重要性)
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中期経営計画の戦略
PLG戦略によって、テックタッチをメインにすすめる
Horizontalなサービスに、業界ごとのVerticalな使い方(機能はHorizontal)を組み合わせて、業界ごとの課題にフィットする
チャットの周辺商材をクロスセルするDXソリューション戦略
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DXソリューション戦略
推察するに
ビジネスチャットは常に使うため接点となりやすい
そこを窓口としたクロスセルに可能性がある
顧客課題にフィットした商材・サービスを並べることでクロスセルを狙う
実際に周辺サービスの売上は2021年/2020年の比率で、40%程度の成長をしている
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DXソリューション戦略における商材としては、
サービス提携による商材の強化(資金調達など)
それらをおすすめするアドバイザリーサービスと一緒に展開
となっている。
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チャットワークだけの課金ではなく、周辺サービス利用の約半数がフリーのユーザーであることからも、チャットワークの課金だけではない方向性を模索
他社サービスへのクロスセルを実現
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特にカスタマーサクセス部門によるDXアドバイザリーで、チャット経由でタッチポイントを形成し、素早く顧客の課題に対する提案を実現しながら
提携先への送客(クロスセルおよび紹介マージン)
SaaSの代理販売における収益増
自社プロダクトによる収益増加
を実施している
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TAMの再定義
これらを踏まえて、単にビジネスチャットの市場領域だけではなく、中長期的にはチャットを基軸としたITソリューション全体へターゲットの市場規模を展開する
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DXソリューション戦略の具体化
DXソリューション戦略は、チャットワークをベースに顧客の課題にリーチして様々なプロダクトを提供するものと考えられる。
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おそらくここに来るお客様はまだ自社の課題を明確に理解しておらず、そのコンサルティングからはじめ、最適なソリューションを提供するものであろう。
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ソリューションとしてはいわゆる人的サービスに加え、SaaS系のソリューションもいずれも存在する。いずれにしても顧客の課題にフィットしたソリューションを提供することをメインに考えているようである。
このベースとなっているのは、APIによるサービス連携であり、その後継として人的サービスを含めたクロスセル戦略を進めていると考えられる。
チャットの窓口としての強みをAPIだけでなく、チャットサポートへも展開し、DXソリューションサービスを拡大しているものであろう。
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株価の推移
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