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にんげんに会いに行った話
昨日、にんげんに会いに行った。
こだまっていうかわいい名前の電車に乗った。
にんげんの棲む場所はおおきなみずうみの近くで、とてもとてもきれいな水面を見せてくれた。
電気じゃなくて、陽の光がきれいに映っている水面。
ほんとうに暗い夜空。
だれのものかわからない原っぱ。
みずうみがすぐそこにある道路。
わたしにないものばかり。
あまりにきれいでみずうみの写真を撮った。
目で見ているとおりに撮れた。
にんげんに見せたら「写真に撮るときれいだね、じぶんにはこうは見えないけど」と言っていた。
にんげんにはにごった水にしか見えないらしい。
「目がおかしいのかも」と言っていた。
にんげんはわたしの帰らなくちゃいけない時間をずっと気にしていた。
わたしよりずっと気にしていた。
さみしいよりもほっとするさよならをした。たぶんにんげんも同じ。
ひかりというきれいな名前の電車に乗って帰った。
のぞみといううれしい名前の電車が横を通るとき、ひかりはぐらぐらと揺れていた。
船とビルの電気がうつる水面。
暗くなりきらない夜空。
きれいな四角の公園。
道路に挟まれた道路。
わたしのもってるもの。
ここがわたしの棲むところ。
にんげんにもいつか遊びにきてほしい。
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