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夜のお話です。 闇の中、布団の中、月に照らされた中で、昼とは違う一面を見せて大胆になったり、記憶を呼び起こして懐かしんだりするようです。
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2022年10月の記事一覧

熱恋

熱恋

 どく、どく、と動いている。体の内側が熱を放って、皮膚で溶ける。冷感シーツの上で、触れたところだけひやっとして、この暑い夏より熱いあたしの体が泣く。

 熱を測ったら37.3だった、別にいつものことである。生活に支障が出るほどの熱は出ないし、他の人に伝染るような病気でもない。生理の前は体が熱を持つ。

 床に投げられていた眼鏡を腕を伸ばして拾って時計を見ると、16時を少し回ったところだった。眼鏡は

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好きなところ

好きなところ

 どこが好きか、と問われて、まともな返答をする自信がなかった。だからたくさん考えてきたつもりだったのに、口が滑って、やはり変な返しをしてしまった。孝仁くんが目を丸くしている。

「えっと、腕?」

 あたしはちょっぴり肩をすくめて、隣にいる治也の腕をとった。こうなったら、ちゃんと説明しよう。

「そう。例えばこの二の腕のところのカーブと硬さがね、すごくいい感じなの。頭を乗せても、頬を押し付けても気

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ふわふわのラグ

ふわふわのラグ

 櫛を通すたびに髪の毛が抜ける。はらはらと落ちたり、櫛に絡まったりする。自慢の長い黒髪が確実に減っていく。また三本、ふわふわと舞って着地。

 軽く腰を曲げて拾おうとする。爪が引っかかってうまく取れない。仕方がないので掃除機を持ってきて吸い取る。

 鏡に映る自分はそこそこ可愛らしかった。ふわふわのパーカにお揃いの短パン、わざとらしいぶりっこパジャマを来て、髪の毛はまっすぐおろして、パックを終えた

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両想い

両想い

 洗濯機がガラガラとうるさい。シャワーの音もうるさい。シャワーが終わってドライヤーになったら、もっとうるさい。平日の夜はうるさい。一番うるさいこの時間が好きだ。愛おしいな、と思っている。

「そういえばりっちゃんさ」

 聖人は裸で、バスタオルだけ腰に巻いて出てきた。乾かしたての頭がふんわりしていて、どきっとする。

「俺の緑の靴下知らない?」

「それ洗濯出してたから一緒に回してるよ」

 洗濯

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