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夜のお話です。 闇の中、布団の中、月に照らされた中で、昼とは違う一面を見せて大胆になったり、記憶を呼び起こして懐かしんだりするようです。
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2020年7月の記事一覧

左隣の君へ

「隣、空いてる?」

 初めて参加した同窓会で、ずっと好きだった人と再会した。十年ぶりの彼はスーツが決まっていて、前と変わらず爽やかな笑顔が眩しかった。

「空いてるよ」

 烏龍茶のグラスを傾けると、彼は並々注がれたビールで乾杯した。

「酒、飲めないんだ」

「うん、今はね」

「酔ったらどうなるんだろうね、小野は」

 左隣の席に腰を下ろして、彼はふぅ、と息をついた。

「久しぶりだな」

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紙飛行機、届け

紙飛行機、届け

 『おはよ、今日は忙しいのかな?』

 朝のパックをしながらラインを送る。ピン留めしてあるから、彼はいつも一番上にいる。まだ既読はつかない。

 プロフィールを開いて、アイコンをタップした。腕をこちらに伸ばして恥ずかしそうに笑う彼の写真を拡大する。うん。今日もかっこいい。

 パックを剥がしてスマホを置く。ぷるんと潤った肌に下地を伸ばしていく。眉を描いて、まつ毛を持ち上げて、出来上がった顔は何とも

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揺蕩う火を見ている

 暗い部屋で一人、揺蕩う火を見ている。

 もう一度吹き消そうと息を吸い込んで、何度も飲み込んでいる。さっき、21本すべてが煌々と光っていたときは思い切り吹けたのに、なぜか1本だけ残ってしまった寂しいこの火を見ていると、消せない。

 彼は帰ってこない。

 寂しいかと問われれば寂しい。でも、仕方のないことだと諦めてもいた。どうでもいいのかと言われたら、案外その通りなのかもしれなかった。

 消し

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