クロストーク第6弾~YNUSYSCCフットサルスクール~
「大学サッカー」
「人生の夏休み」とも揶揄される大学生活の中で、サッカー中心の生活を決断した横浜国立大学体育会サッカー部の現メンバー達。
横国サッカー部にはYNUSという地域貢献を目的とした部署がある。
現在はコロナ禍の影響で止まってしまっているが、普段はフットサルスクールの運営や地域との交流を図ったイベントを行っている重要な部署である。
今回はYNUSの運営を担っていた3人に話を伺ってみた。
左から順に、
・渡部圭 WATANABE KEI 69期幹事
経営学部経営学科 都立三鷹中等教育学校出身
・中島風 NAKAJIMA KAZE 67期幹事
経済学部経済学科卒 芝高校出身
・関恵佑 SEKI KEISUKE 70期会計
理工学部数物電子情報系学科 さいたま市立浦和高校出身
・YNUS&YSCCフットサルスクール
YNUS=YNU Sports Academy の略。
YNUSは「地域にスポーツ文化を拡げる」をモットーとして、横浜国大の協力支援を得て、地域の人びとを対象にした各種スポーツ普及・振興事業を実施するとともに、青少年の健全な成長と市民の健康増進に寄与し、スポーツを通じてのコミュニケーションの場を提供することを目的としています。
サッカー部ではYSCCフットサル(Fリーグ1部所属)の高橋健選手を招いて、毎週月木に地域の小学生を対象にフットサルスクールを開催している。2017年の夏に開校し、すでに3年が経つ。
コロナ禍前にはスクール生は30人近くまで拡大していた。
(普段のスクールの様子)
・フットサルスクールを立ち上げた経緯
――3年次にフットサルスクールを立ち上げた経緯を教えてください。
風:YNUS自体は3つ上の代が地域貢献をしようという目的で始めた。
でもその後、始めた人達が引退してからは「なぜYNUSをやるのか?」は考えなくなり形骸化していた。
形だけ子供を呼んで、サッカースクールを単発的に行うだけになっていった。
俺は中長期的にサッカー部が強くなるにはどうしたらいいかを考えていた。毎年の受験の結果でたまたまいい選手が入ってくるかどうかが横国の現状。何かを積み上げていって、横国に憧れて入ってくる選手が増えれば強くなる。
そんなチームを作るために、幹事としてサッカー部の制度を変えたようとしていた。A以外の試合数がかなり少ないから練習試合を増やしたり、Iリーグに参入したりってね。
その時に、YNUS事務所側にYSCCのGM渡邉さん、健さんからスクールをやりたいって連絡がきたんだよね。
俺がそこに食いついた。普段の選手の活動はグラウンドで練習して、授業を受けて、横浜でバイトするだけのとても内輪だったから、もっと外向きな活動をしたかったし。
色々やりたいうちの一つの手段としてフットサルスクールを始めた。
――新しいことをやることに対して周りの反応は?
風:とはいっても1人ではできないからメンバー集めから始まった。スクールを開催するには健さんのアシスタントコーチを出さなくてはいけないから、みんなに呼びかけてコーチに興味がある人に集まってもらった。
半強制的だったけどね。(笑)
メンバーが集まれば小学校・幼稚園を回ってビラ配りをしたりした。
圭:ビラ配りめっっちゃ懐かしい!
(当時みんなで配っていたビラ)
風:あとは上の代の反省を活かして「何でYNUSをやるのか?」を定期的に部員にプレゼンしていた。けどあの時はあんまりみんなに浸透してないように感じたかな。
スクール自体は初めての試みだったから、焦らず地道にビラ配りなどをやっていったら、ぽつぽつと生徒が増え始め自分が引退の時には十何人にも増えていたのは本当にうれしかった。
実質の運営は圭が来てくれたから回るようになったと思う。最初はマジで頼りなかったけどね。(笑)
圭:約束すっぽかしたり、担当を忘れていたり本当にご迷惑おかけしました。
――「なぜYNUSの活動をやるのか?」ここをみんなに理解してもらうことがとても大事なんですね。
・YNUS活動とサッカー
――YNUS活動を通してサッカー部は強くなるのでしょうか?
風:経緯で話したように中長期で強くなるためには絶対に必要だと思う。
圭:YNUS活動(地域の子供向けのフットサルスクール)を開催するからこそ、外部との接点が持てるようになって、部の強化の幅が広がっていくことは実感している。
実際に地元のスポーツショップにスポンサー活動するときに、武器になったのがYNUS活動だと思う。地域貢献というビジョンの一致があることで、スポンサーを組むメリットを明確に提示することができたのではと思う。
そうやって環境面の強化をしていくことで、最終的にサッカー面の強化にも繋がると信じてる。
関:もちろんYNUS活動をやればサッカーの技術が上がるわけじゃないけどそうやって環境が整っていきますよね。
(パートナーショップのANDOスポーツ様)
・組織に貢献したいという思い
――圭と関は何でYNUS運営をやろうと思ったの?
圭:組織の成果に貢献したいってのが一番かな。
大学サッカーで自分の立ち位置を探した結果、プレーでチームに貢献するのはもちろんだけど、ピッチ外では横国のブランディングをしていきたいと思った。筑波大学みたいな強豪のように、サッカー部に入りたくて横国を選ぶ人なんて皆無に等しいし。
とにかく、ピッチの中だけでなくピッチの外でもチームに貢献できる人になりたかった。1年のころから、そういう思いで部活をやってたかな。
関:自分はこのままでは70人ほどいる部員の中の有象無象になってしまうと思って、とにかく何かやりたかったです。
運営に参加した動機はそんな感じだったけど、実際にやってみてから、ブランディングとか楽しくて考えるようになりましたね。
風:圭とこれからYNUSを拡大していくのに二人では人手が足りないよね。って話していた時に、関が手を上げてくれた。一年からそういうこと考えていて本当にすごいなと思った。
(”マリノス観戦ツアー”での1枚)
・どうやって拡大していったのか
――風さんから圭に引き継いでからの2年間どんなことをやってきたの?
風:俺は自分で短期的に広げていくってより、中長期的に大きくなってくれればいいと思っていたから、引退の時にちゃんと引き継いで身を引いていた。
スクールを絶対に残してほしいというより、周りを巻き込んで動いてそのリターンが貰えるようなことが何かできればいいと思っている。
スクールはあくまで一つの手段。
だからなんかしらの手段で残してほしかった。今は想像以上の成果だけどね。
圭:風さんに言われてよく覚えていることは、実際にお金を払ってくれているのは親御さんだからそこも大事にしないといけないってこと。だから親御さんにも楽しんでもらえるような親子サッカー大会を開いた。
祐太朗君、倫也、晶斗とかが積極的に参加してくれて、試合の間に親子で楽しめるゲームを企画したりして保護者の方も楽しそうにしていて本当によかった。
企画としても70人くらいの人が参加してくださり、大成功だったと思う。
風:圭のイメージが変わった。(笑)
関:圭君はできるイメージですよ。(笑)
(その時の”親子サッカー大会”での集合写真)
関:スクールは口コミの効果が一番でした。
友達が行ってるから行きたいって感じで広がっていって。なので親子サッカー大会とかで多くの人にフットサルスクールを知ってもらうのが大事です。
圭:関にはほんとに助かっている。企画に手詰まり感があった時に、みんなから意見を集める企画発表会をやりませんかって言ってくれて、あれは良い会になった。
関:スクールは作ってしまったらあとは継続するだけなので正直手詰まり感がありましたね。
もっと活動の枝葉を伸ばしたくて、みんな何か意見あればそれを集めていろいろやりたかったんです。
実際、この企画発表会で出た和田町地蔵祭りでのラムネ売りとか、地域清掃、マリノス観戦ツアーを実現することができました。
風:部員がYNUS活動に参加できる機会をたくさん作れたのはいいね。
圭:実際に、YNUS活動に参加した人の意識が変化したのは感じました。
晶斗とかYNUS参加してからめっちゃスクールに積極的になってくれたし、すごい楽しんでコーチをやってくれてたと思う。
(企画発表会で採用された”和田町地蔵祭り”)
・ゼロイチの楽しさとスピード感
――YNUS運営の楽しさってどんなところにある?
風:スクールの立ち上げっていうゼロからイチを作るのをの大人のバックありでノーリスクで挑戦できたのは良かった。実際生徒もゼロから増やしていったわけだしね。
関:首脳にならなくても、人を動かしたり、運営できるのはいい経験かなって思います。首脳だと責任が重すぎるけど、YNUSならある意味ノープレッシャーで思ったことをチャレンジできるのが楽しいです。
あとは言ったことをすぐできるスピード感。
圭君と練習後に、やるか!って言ったらすぐやれちゃう感じ。(笑)
風:本当にしがらみがないのが良いよね。(笑)
――スクールの楽しさは?
圭:3年間スクールに参加してくれた生徒の親御さんに丁寧に「3年間ありがとうございました」って言われたのは本当にうれしかったし、生徒が「横国入りたい!」って言ってくれてサッカー頑張ろうってなった。
子供の無垢さに触れられるというか、、スクール自体すごい楽しいんですよ。
風:めっちゃ先の話だけど生徒が横国のサッカー部に入ってくれたらうれしいよね。
圭:横国のサッカー部員が地域のあこがれになれたらいいなって思います!
(和田町の”餅つき大会”に参加する関)
・今後の展望
――今後はどのような活動をしていくのですか?
風:イベントをやるだけでなく情報発信も大事。
サッカーキングに記事を載せてもらったのはみんなに認知してもらうのに本当良い機会だったと思う。
今は情報発信の意識はより高まってきて、noteとかでいろんな企画はできているからどう後輩たちにつなげていくかが重要だね。
――こちらがサッカーキングに取り上げてもらった記事です!
圭:フットサルスクールもそうだし他のイベントも継続していきたいかな。
関:正直コロナの影響ですべての活動がストップしてしまっているし、いつ再開できるかわからない。
でも自粛期間中に企画発表会くらいはやればよかったと後悔している。自粛期間中でもそれくらいはできたはず。
風:ただ単にイベントだけを引き継ぐのではなく、理念を達成するために一手段としてYNUS活動をやっているということは忘れないで欲しい。
みんな今やっていることを「何でやっているのか?」を忘れがちになってしまう。
それを結びつけるのが理念だと思う。何でやっているのかを分かっていないと結局次に繋がっていかなくなってしまう。
だからまずは理念の考え方を引き継いでほしい。
関:理念に関しては、、、あんまり今の部員は形だけ知っているくらいになっている気はしますね。
・理念の浸透が一番の鍵
――今後もYNUS活動を引き継いでいくには理念が大事とのことですが。
圭:結局、理念を浸透させるには、現段階で中心になる人が周りを巻き込んで行動するしかないと思う。
特に今の3年生が、4年になった時に。
サッカー上手い人は、4年になったら余生を過ごすって雰囲気があるけど、俺はそれは良くないと思っていて、だから俺は部員インタビューとかクロストーク企画をやったりした。
1,2年生は最初から挑戦しろっていわれても難しいから4年が1,2年を巻き込んで一緒に挑戦していく。
挑戦することで見える景色があるからそれを知って欲しい。
俺の場合は風さんが巻き込んでくれて、地域と交流したりする楽しさを知って、スポンサー活動をやろうと思えたりした。
だから1人の挑戦がほかの挑戦を繋げていけたらいいと思う。定期戦をやれたらいいなって案とか、ニッパツ借りてやったりとか夢があるから一緒にやっていって欲しい。
関:理念って自分のプレーにしか興味のない人にとっては関係のないものに感じていると思う。
だからこそ、そういう人たちを巻き込んで挑戦できたときに「理念ってこんな使い方があるのか、こんな意図があるのか」って知ることができて、その人の挑戦に繋がる。
だんだんその輪が広がっていって、理念の外側にいる人が減っていけばいい。
今はその基盤づくり。
理念を分かっている人が、アクションを起こして、そのアクションの根幹には理念があることを伝えていくのが大事になってくる。
――サッカー部に理念を作った思いはこちらの記事にまとまっているのでぜひご覧ください!
――3人ともありがとうございました!
今まであまり語られていなかったフットサルスクールの立ち上げについてなど貴重なお話を伺うことができました!
これからもYNUS活動を続けていくために、ひいては長期的に横国サッカー部を強くしていくために先ずは”理念の輪”を広げていきましょう!
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