つながるDNA 3年 林暖
平素より大変お世話になっております。今回部員ブログを担当する経済学部3年の林暖です。
部員ブログを担当するのも今年で3回目となりました。一か月ほど前にブログを書くようにアナウンスされたときには時の流れの速さを感じた一方、今年こそは余裕をもって提出し、どうせ期日から遅れて提出する怠惰な同期たちをバカにしてやろうと思っていました。
考えが甘かったです。座右の銘が「明日のことは明日やる」なだけあって気づいたら自分が期日を過ぎていました。反省しています。ただ、期日までに提出したのは同期17人中2人でした。こんな首脳学年で申し訳ない気持ちとこれでこそ俺ら74期だよなとも思います。
そんなこんなで後輩マネージャーから未提出について詰められたこともあり、焦って執筆していますので拙い部分もあると思います。またせっかくの首脳学年なので例年よりも長くなりました。ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。
僕個人として、今シーズンは激動の一年だった。
新チームが始動したとき、最初のカテゴリーで僕はAチームにいた。入部以来常にBチームでプレーしていたので、トップチームの選手とともにプレーできることが誇らしかったし、毎日の部活動が刺激的でとにかく楽しかった。
一方でこのときに選手としての限界も感じた。Aの選手とともに活動することで日々その差を痛感したし、残り僅かな期間では公式戦に絡むことや彼らとの序列を変えることは難しく感じた。同ポジションで5人くらい怪我してやっと試合に絡めるかどうかだなと思った。
それでもAチームに昇格できなかったBチームの仲間の分までこの環境を戦い抜こうと、これまで以上に努力した。
その後、リーグ開幕前の県知事杯では防衛大戦で初出場を果たし、次の東海大戦ではフル出場した。その理由は単純明快。
本当に同ポジションで5人くらい怪我した。びっくりした。いつでも出番がきたらやってやるぞと思っていたけど、さすがにびっくりした。
そして6月に今シーズンいや、これまでのサッカー人生で最も嬉しかった瞬間が訪れた。
皆さんご存知、今でもこの時の話を擦っているでおなじみの都リーグ第10節、防衛大戦でのことだ。この日、僕はリーグ戦に初出場し、その2分後に得点を挙げた。ベンチで監督に名前を呼ばれたときの喜びと緊張、そして得点を挙げたときの皆の歓声や自分がヘディングしたボールがゴールに吸い込まれていく軌道まで今も鮮明に覚えている。
だが、この日最も嬉しかったことは初出場したことや得点を挙げたことなどではない。
それは応援席のみんなが僕の名前を歌い、熱く鼓舞してくれたことである。
ピッチに立った瞬間、緊張していた僕はみんなの割れんばかりの声援に勇気づけられた。観客席をみると全力で応援してくれているみんなの姿があり、胸が熱くなった。
間違いなく、みんなの応援があったから得点できた。もし応援がなければ緊張でガッチガチだった僕は得点もしていないと思うし、なんなら失点に絡んでいたとも思う。
得点したのち、無我夢中で観客席まで走り応援のみんなとハイタッチした。みんなが自分のゴールを喜んでくれていることが何よりうれしかった。これほどまでに心を揺さぶられる光景を今後みることはないと思う
そしてこの光景に僕ら横国サッカー部の強さがあると考える。
それは、“仲間のことを想い行動できる”ことだ。
たとえば先ほど挙げた応援。それぞれの立場、それぞれの想いがある中で状況を受け入れ全力で応援する。今シーズンを通して僕らより迫力のある応援をしているチームはいなかったと思うし、白熱しすぎた応援をリーグ戦運営委員として何度注意しに行ったか数えきれないほどだ。
たとえば試合前。公式戦に出るとき僕は毎回ド緊張しているが、そんなとき先輩たちは優しく声をかけてくれ、チームが苦しい状況でもいつも励ましてくれた。
たとえば選手からコーチへと立場を変えたヒデ。毎日の練習に向けてノートにはびっしりと練習メニューが書かれていて、たまたま見えた背表紙の裏には指導者としての覚悟、僕ら選手のために全力を尽くすという旨が大きな文字で書いてあったときにその責任と覚悟を知った。
それからは指導してくれるヒデのために、というのが全力でプレーするモチベーションの一つになった。
たとえば僕が入部してすぐ、YNUS後の帰り際に72期のお調子者として知られる洋介君と光暉君とYNUSは大変だという話になったとき。彼らが「同期が首脳として頑張ってくれているから俺らもこういうところで頑張りたい」と真剣な表情で言っていたことを思い出す。今ならあのときよりもこの言葉の意味や重みがわかる。
たとえば僕は今年、リーグ戦の運営委員として1つのミスも許されない仕事を担当した。一年間常に気の抜けない役割であったが、正直仕事自体にはまったくといっていいほどやりがいはなかった。ただあったのはチームに貢献したい、チームの看板と責任を背負って先頭に立つ首脳を支え彼らの負担を少しでも減らしてあげたい、そんな想いだけだ。
挙げればキリがないけれど、皆が“仲間のことを想い行動できる”こと、またそれが連鎖していくからこそ選手主体でそれほど人数の多くないこの部活は成り立っていて、理念「世界を楽しくする挑戦」の実現に近づくのだと思う。
そして今の横国サッカー部がそうなのではなく、僕らがともにプレーした先輩方や日頃よりお世話になっているOBの方々もそうだった。“仲間のことを想い行動できる”ことは横国サッカー部の文化で、強さで、そして長い歴史の中でつないできたDNAだと思う。
いつか子供を授かったりしたら、きっとその子にこの遺伝子もそっとまぎれこんでいるだろう。それくらいこのDNAは僕にくっきり刻まれている。おそらく、みんなもそうだろう。
もうあまり時間は残されていないけれど、僕は先人たちがそうしてきたように“仲間のことを想い行動できる”DNAをつないでいきたい。そして、これからも横国サッカー部が素晴らしい仲間たちと切磋琢磨し、「世界を楽しくする挑戦」をし続けられる組織として、長い歴史を紡いでいくことを心から願う。
最後に。首脳学年として活動した今シーズン、辛いことはたくさんあったけれど今日まで戦い抜けたのは間違いなく同期のみんながいたから。みんなもそれぞれ心嬉しかったことだったり苦しかったことだったりたくさんあったと思う。そんな今シーズンもあと残りわずか。最後まで全員で走り切ろう。
それから首脳学年の役目を終えたら、みんなおしゃべりだから一晩じゃきっと足りないけれど、これまでの思い出を肴に朝まで語り明かそう。
横浜国立大学体育会サッカー部 74期 林 暖