新月効果なの?シンクロニシティか。読書中に出てきた美術館で、抗議活動が。

 10日ぐらい前から読んでいる本があるんですけど。

 図書館で、なんとなく魅かれてひょいと取った本です。
 国立西洋美術館の誕生秘話。日本の実業家で政治家でもあった松方幸次郎が、日本に初の西洋美術館を作るために欧米諸国で集めた美術品:松方コレクションは膨大な数だったが、第2次世界大戦を経て消失したりフランス政府に没収されたり、そのコレクションの一部を、日本政府、関係者たちが日本に「帰還」させるまでの話(最後までまだ読んでいないけど)。
※03/13に読了。最後の最後でもう一人、このコレクションを守るために人生ささげた人のエピソードも。


 私は、美術に知識も興味もセンスもなく、日本で美術館にはあまり行ったことないんですね。年に数回程度で、それも規模のあまり大きくない展示ばかりです。
 ですから、西洋美術館は名前だけ聞いたことがある程度でしたが、この松方コレクションを是非観に行くかなくちゃ、と思っていた矢先に、

 こんな抗議活動が西洋美術館で行われたのです。

 抗議行動は「展覧会出品作家有志を中心とする市民」によるもの。「パレスチナで現在起きているイスラエル政府のジェノサイドに強く、強く反対します」と表明し、国立西洋美術館のオフィシャルパートナーである川崎重工業株式会社に対し、イスラエルの武器の輸入の取りやめを要求。また国立西洋美術館に対しては、川崎重工に対しイスラエルの武器の輸入・販売の取りやめを早急に働きかけるよう訴えた。

  川崎重工の前身・川崎造船所の初代社長が松方幸次郎氏。川崎造船所も戦争の特需と松方氏の才覚で、大きくなった会社。そのお金で買い占めた西洋の名画たち。本を読んでいる時も複雑な気持ちで読んでいたのです。

 この抗議、特別展のマスコミ向けの会見時に突発的に行われたもの。美術館のパートナーへの抗議、ということで美術館側も困惑したそう。
 ただ、外野からはまた「アートに政治を持ち込むな」的な発言もあったそうですが、美術とは政治に限らず、あらゆるものを表現するものだと思うのです。そんな疑問を持つ方へは、この記事を。

 

   松方氏が収集を始めた1910年から1920年代頃は、日本ではモノクロの写真でしか西洋美術は観たことない時代。美術に全く関心がなかった松方氏が啓示を受けたのがこの壮大なコレクションを収集することになったきっかけ。結局オープンしたのは1959年。いくつかの戦争はそれを遅らせたのですね。
 一方、イスラエルがガザの病院、大学をはじめありとあらゆる建物を破壊尽くしました。その中には美術館も博物館も映画館もあったと思います。
 そんな残虐な行為を止めるための抗議活動なんですけどね。

 まだ政治がなんちゃら、とかいいますかね。
 この松方コレクションもフランスとの関係修復が、戦いではなく「平和」であることを願っての「寄贈返還」だということです。

03/13 追記。
 この返還は、敗戦国である日本がフランス政府との交渉で得たもの。ドラマチックであります。一方、中国や朝鮮など他国を植民地化していた時、その国の文化をことごとく否定して、美術品などは破壊していた日本。個人が収集した作品と植民地下での支配と比較は比較してはいけないものなのか。   なぜかすっきりしないここ数日。
  オスカーでのアジア系(非白人への態度)が可視化されてから、そして自分はどうなのか、と問いた時に、マイクロアグレクションしている。と改めて気づいたこともあるからですね。嫌な感じ。

 「人の振り見て我が振り直せ」です。

 

 
 

 

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