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日本赤十字社への寄附と、寄附についての私の考え方。

このたびの令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。このような状況ということもあり、日本赤十字社に令和6年能登半島地震に対する寄附を少額ではありますが行いました。1日でも早い日常生活が送ることができるようになることをお祈り申し上げます。
2年前も思えばウクライナ情勢により、年始のタイミング(といっても2月か3月だったと思いますが)に寄附を行いました。ウクライナ情勢のとき、今回の地震と、寄附をされた方はかなり多くいらっしゃるのではないと推察しています。


日本人は冷たいのか?

令和6年能登半島地震 緊急支援募金(2024/1/5 21:42時点)

年末か年始に、故中村哲氏の記事を引用しながら、(私からした薄っぺらい、たかが酒場の一場面から)日本人(デカい主語)は冷たいという見解を出したオンライン記事がバズっていましたが、私はそんなことは断じてないと思っています。

ある週刊誌に「五十代は逃げ切り世代か」という特集が載っていたのを思い出した。
 “逃げ切り”とは、社会保障の破綻など、近未来に予想される“国難”を自分は見なくてすむということだ。この言葉には、「人生の目的は自分(だけ)が幸せになること」で、「死んだらオシマイ、生きているうちにせいぜい楽しもう」という利己的で刹那的な人生観が露骨に示されている。わが亡き後に洪水は来たれ、である。

中村哲医師が日本人を嘆いた理由、いまや世界屈指の「弱者に冷酷な国民性」
(JB Press 2023.12.29)

これは、日本人の国民性によるものではなく、社会保障をはじめとする制度に起因していると私は思っていますが、それについての詳細は述べません。
今回の寄附の金額でも分かるように、寄附している全員が日本人ではないとは思いますが、震災が発生してたから5日間で15億円(人数は約80万人くらいかと思います)を超える寄附が集まるような状況において、安易に日本人を冷たいと評価することは時期尚早なように思います。もちろん、冷たい人がいないとは言いません。それは、その個人の問題であったり、制度の問題であったり、社会的な経験不足による想像力の欠如であったり、いろいろあるのではないか、というのが私の見解で、日本人であるから、国民性だから冷たいということではない。

オオタニサンは凄い。でも、寄附したみんなも凄い

そしてロサンゼルス・ドジャーズとオオタニサンこと大谷翔平は共同で100万ドルを寄付するとのこと。凄い。
それでも、上記のキャプチャの合計金額の方が大きいわけですから、いかに小さな力であってもひとつひとつが協力すれば、大きくなるかということが分かる数字ですね。

寄附(主にふるさと納税)について思うこと

で、寄附の話でした。
ここでの話については、私個人の見解であり、私が所属している組織や団体のものではありませんし、税制について正しい理解、適切な税務処理等については最寄りの税務署、公認会計士、税理士等にご確認いただきますようお願いします。

寄附は、ふるさと納税を通じて、人口に膾炙しただけでなく、実際に利用をしている人が増えた印象があります。私が税理士事務所で働いていた頃は、寄附をしている人はほとんど顧問先(個人、法人含めて)にはいませんでした。いても、せいぜい出身校への寄附、毎年恒常的に行っている(恐らくお付き合いなのでしょう)特定の団体への寄附くらいでした。今では誰でも当たり前のようにふるさと納税の話(返礼品はどこのがいいか、とか)を会社でも耳にします。

ふるさと納税でよく聞くのが、還元率(返礼率)です。これは(私は気にしたことがないのですが)ふるさと納税によって返礼品として届くものが、どの程度の商品価格なのか、そのようなペイに対するリターンの観点、要は買い物と同じ感覚に近い感覚でされている人、もしくは、本当に欲しい商品があるのだけれど、せっかくだったらオンラインや店頭で買うのではなく、ふるさと納税を使用して買おうという人が多い印象です。

ふるさと納税(に限らず寄附)をされる方が気を付けているのは、控除の上限額かと思います。寄附は所得税と住民税の所得控除、もしくは税額控除が適用されますが、これらの控除額には上限があり、その上限額を超えて支出している場合は、控除を受けられないので、(一般的には)商品を市販価格より高い値段で購入しているということになります。ふるさと納税のオンラインサイトには、よく自分の収入金額等を入力することで、おおよその上限額を算定するサービスも付随していて便利ですよね。私もふるさと納税等を行う際には、ざっくりとした上限と下限の数字を入れてみて、ざっくりこれくらいまではしても控除されるだろうなというあたりをつけるようにしています。

仮に、このような制度設計で、寄附を上限未満までしか行わない場合、日本全体の税収はほぼほぼ変わらないことになります。自分が何もしなければ一律で国と住んでいる自治体に徴収される税金の一部を、好きな自治体に納付したり、あるいは任意の団体に寄附したりすることが可能になったわけです。
言うまでもなく、地方自治体が徴収できる税額はまったくもって平等ではありません。例えば、東京都であれば人口が圧倒的に多いですし、その東京都内でも、高所得者層が多い自治体は個人からの税収が多く、大企業が多い自治体はその分法人から多くの税収を徴収することができます。町村であっても大企業の本社や工場がある場所、そこに勤務する人たちのベッドタウンとなっている土地は周辺とは比べようもない潤沢とした税収によりサービスが充実し、それによって人口が周囲から流入し、結果的にその場所は栄えて、周辺の自治体は衰退していく。

ふるさと納税とは、国民が好きな自治体(都道府県や市区町村)を選んで寄付できる制度です。
過疎などにより税収が減少している地域と、都市部との地域間格差を是正することを目的として作られました。

ふるさと納税とは?仕組みやメリットをわかりやすく解説(りそなグループ 2024.1.5閲覧)

このような不均衡を是正するための制度でしたが、返礼品として魅力のある商品を提示できる自治体にはありがたい一方で、そのような商品を提示できない、ブランディングに難儀している自治体はこの制度の恩恵に与ることはできません。
また、控除の限度額は高所得者ほど大きくなります。そのため、高所得者が積極的にふるさと納税を活用することは本来住民税として徴収できた税収が減少し、行政サービスの維持にも影響が発生しうる制度となっています。こんなことは散々言われているものではありますが。
さらに悪いことは、本来、住民からしたら徴収されて終わりと思われていたものが(実際には、それによって各自治体のサービスが維持されていたわけですが)ふるさと納税をすれば幾分なんらかのリターンが返ってくるとなると、やらないで何もならないというよりも、やって得をした方がいいと感じさせてしまっているのが、もうね、やばい。

私がしている寄附活動(ふるさと納税もあるよ❤)

そのため、私個人としては、この制度を破壊しなくてはならないと強く思っており、この制度を破壊しなくてはならないということを共有するためには、ふるさと納税を上限ギリギリまでこの数年はやり続けていてます。これによって、ふるさと納税を運用されたら行政が回らないという自治体を拡大し、自治体から国政へボトムアップで制度を廃止するほかない、私は毎年、その思いから寄附をしまくっています。なんなら、上限を超えているかもしれない。いや、上限を超えたら住民としての本来の支出を上回ってしまうからふるさと納税制度を破壊できないのですが……。

とは言いつつ、ふるさと納税はやはり悪なので、信条としては極力やりたくないという気持ちも持ち続けているわけです。
そうした結果、私の中での折衷案として、毎年特定の団体に一定額を寄附したり、国際情勢、国内の震災等があったときには臨時的に寄附したりしつつ、秋あたりからそれまでに寄附した金額をぼんやり把握しながら、ふるさと納税として使える枠がどの程度あるのかを計算して、残りの寄附金控除枠をふるさと納税に使っています。結局!ふるさと納税による!自治体の!格差拡大に!貢献してしまっている!!!
わけですが、どうか、どうか、ふるさと納税を破壊するための必要悪(必要悪という人間が、必要悪だと思っていることってほとんどないと思う。自分がやってることは良いことだと思ってる。じゃないと必要悪なんて言葉は出てこないので。←突然何?)だと思ってご理解、ご了承いただければ幸いです。いや、まあ、私のお金なんで、ええ、はい。

ふるさと納税を破壊しよう!

何が言いたいかということは、ふるさと納税という制度は地域間格差を是正するどころか拡大しかねない制度であり、地域間格差だけでなく、ふるさと納税の制度に対応するという新しい業務も生まれてしまい、そのコストの負担も当然税金で賄う必要がありますし、さらには、従来徴収できていた人々の住民税の低下を招きかねないものであり、それによって行政の質の悪化も招きかねないという、もうね、本当に嫌いな制度なので、皆さんもふるさと納税制度を最大限に活用して、ふるさと納税を破壊しましょう!
では、ごきげんよう。


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