夢から醒めて。

僕は近くのコンビニまで歩いていた。
カップルらしき男女が目の前にいて、男性の方は女性よりも早く歩いていた。
その歩幅は一歩一歩確実に遠くなり、女性はあからさまに置いていかれていた。
僕はそれを後ろから見ていた。

女性は少し俯いて、歩幅を合わせる事を諦めたようで、その後ろ姿はとても小さかった。
悲しみや寂しさだけじゃないだろう、きっと怒りも混じっていたんじゃないか
なぜなら、強く強く拳を握っていたから。

僕とこの女の人は一緒だと思った。
独りなんだ。
置いていかれたのは、単に歩く速さが遅かっただけかもしれない。
でも、本当は男の人が優しさをどこかへ置いてしまったからなんじゃないか。
なんとなくそう思った。

今日は眠れそうにない。
いつもイヤホンをして飽きるまで同じ曲を流しながら眠る。
でも、今日はイヤホンをどこかへやってしまった。

夜中の憂鬱を知っている。
僕も独り。君もきっと独り。
生まれてから死ぬまで、僕は独り。


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